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レバノン新首相レースで外交官がリード

未来運動はレバノンのドイツ大使、ムスタファ・アディブ氏を公式協議で首相に指名する。(資料/AFP通信)
未来運動はレバノンのドイツ大使、ムスタファ・アディブ氏を公式協議で首相に指名する。(資料/AFP通信)
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31 Aug 2020 01:08:52 GMT9
31 Aug 2020 01:08:52 GMT9
  • レバノンの未来運動が、イスラム教スンニ派の者が選出されなければならないこのポストに、ドイツ大使のアディブ氏を指名
  • ベイルートの湾港での壊滅的な爆発の後、ハッサン・ディアブ首相率いる政権は今月すでに総辞職していた

ナジア・フサリ

ベイルート:フランスのエマニュエル・マクロン大統領が8月31日、ベイルートに到着する前に、レバノンの長く反目し合う政治家たちは30日、先を争って表面上の安定を繕おうとした。

ドイツ大使のムスタファ・アディブ氏は、首相に指名されることが確実視されている。アディブ氏はその前に、サード・ハリーリー元首相率いる主要スンニ派勢力、未来運動と、ゼブラン・バジル元外務大臣率いる最大のキリスト教勢力、自由愛国運動の両方から指名されていた。

イランが支援するヒズボラグループとその支持者、アマルもまた、アディブ氏の指名を支持することが予想される。

ベイルートの湾港地区で壊滅的な爆発で、190人近くが死亡したことを受けて、国民の怒りが噴出した中、今月辞任したハッサン・ディアブ氏とアディブ氏は交代することになる。レバノンはまた、国内経済を壊滅させた財政危機にも頭を悩ませている。

アディブ氏(48歳)は政治学の博士号を取得しており、2013年からレバノンの駐ドイツ大使だ。同氏はナジーブ・ミーカーティー元首相と親密な関係だ。

未来運動の主要人物、ムスタファ・アロウシュ博士は、未来運動が「政治的野心のない人」を指名するだろう、とアラブニュースに以前語っていた。

「私たちの指名は、フランスのエマニュエル・マクロン大統領の条件と一致するものとなるでしょう。つまり、指名される人物は、権力の座にある政治家の1人であるべきではありません」と、アロウシュ博士は語った。

レバノンの無能で腐敗した政治エリート層に対する抗議で、昨年10月以来、アディブ氏は既に、街頭で抗議活動をするデモ集団からの反発に遭っている。

「私たちは議会による公式協議の結果を拒絶します。こうした結果は既に予め分かっており、例のごとく所謂挙国一致の政府、外国ででっち上げられた政府が誕生するでしょう」と、この抗議活動を支持する野党、ナショナルブロックのメンバー、ナジ・アブ・ハリル氏は語った。

30日、日曜日の自らの説教の中で、マロン派のベチャラ・アル・ラーヒ総主教は、「この国が経済的、財政的、社会的苦境の底から立ち上がり、必要な改革を達成するために、欠くことができない力を持った小規模な非常事態政府」を期待すると語った。

ラーヒ総主教は、「独立性、統合性、政治的経験があることを特徴とし、腐敗の蔓延に染まっていない新たな公職者がいる新国家」を求めた。

マクロン大統領は31日の夕方に、ベイルートに到着し、政治改革と再建を強く求めることになっている。湾港地区の爆発以来、2度目となるベイルート訪問は、9月1日のレバノン建国100周年の祝賀と重なっている。

アメリカ合衆国もまた変化を促しており、デイビッド・シェンカー国務次官補が今週訪問する。

首相のポストは、レバノンの宗派ごとに政治権力を分散する体制において、イスラム教スンニ派の者が選出されなければならない。アディブ氏の立候補は31日に、スンニ派最大の政党、未来運動を率いるサード・アル・ハリーリー氏を始め元首相たちから、必要不可欠な政治的支援を受けてのことだった。

キリスト教マロン派のミシェル・アウン大統領は、新たな首相を指名するための公式協議で、31日に議員たちと会談することになっている。同大統領は、議員たちの中で最大の支持を得た候補者を、指名することが求められている。

レバノンの主要なシーア派政党、ヒズボラと、ナビ・ベリ議会議長率いるアマルは両方とも、この協議でアディブを指名するだろう、とシーア派幹部情報筋は語った。

ヒズボラと政治的協力関係にあり、アウン大統領が設立し、今は義理の息子、ジブラーン・バシール氏が率いるキリスト教自由愛国運動(FPM)も、同じことをするだろう、とバシール氏なロイター通信に語った。

一旦首相が指名されれば、新政権樹立の動きが始まるだろう。新政権が認められるまで、ディアブ政権は暫定政権として継続する。

レバノンの財政危機は、10月以来80%も通貨の価値を下落させ、麻痺した銀行制度の中で預金者に預金を下ろせなくし、貧困と失業を加速させた。

レバノンは巨大負債を抱えて債務不履行となった後、財政支援の確保を目指して、5月に国際通貨基金と話し合いを始めた。しかし、金融制度の損失規模をめぐって、レバノン側の部局の中で、こうした件は立ち往生している。

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