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数週間ぶりにガザ地区北部に食料援助が到着。イスラエル人人質の家族は解放を要求

2024年2月28日水曜日、ガザ地区でハマスに拘束されている人質の解放を求めてエルサレムへの行進を開始するために、イスラエル南部のレイムに集まった人質の家族たち。(AP通信)
2024年2月28日水曜日、ガザ地区でハマスに拘束されている人質の解放を求めてエルサレムへの行進を開始するために、イスラエル南部のレイムに集まった人質の家族たち。(AP通信)
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29 Feb 2024 05:02:03 GMT9
29 Feb 2024 05:02:03 GMT9
  • 人質の窮状はイスラエル国民を深く動揺させている。また人質は、ハマスの攻撃から国民を守れていない、尽きることのない国家の失態の象徴であるとイスラエル国民は考えている

ラファ(ガザ地区):今週、食料を積んだ支援物資輸送団がガザ地区北部に到着したと、イスラエル当局は水曜日に発表した。荒廃し、孤立した地域への1か月ぶりの大規模な物資輸送となる。国連はこの地域について、イスラエルの攻撃に遭い、数十万人のパレスチナ人の飢餓状態が悪化していると警告してきた。

米国、エジプト、カタールが、戦闘の一時停止と10月7日のハマスによる襲撃で拘束された人質の一部解放に向けた、イスラエルとハマスの合意を確保しようと努力するなか、ガザ地区全域における飢えに対する警戒感の高まりで、国際的な停戦の呼びかけの声が大きくなっている。

仲介を務める国々は、イスラム教の聖なる月であるラマダンが始まる3月10日頃までに合意を取りつけることを望んでいる。しかし、これまでのところ、イスラエルとハマスはそれぞれの要求について、公の場では平行線をたどったままだ。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に対する合意に向けた圧力を高めるべく、水曜日に人質の家族は、愛する人の解放を求めてイスラエル南部からエルサレムまでの4日間の行進を開始した。

11月下旬の停戦中に解放された約100人の人質の一部もこの行進に参加している。行進はネタニヤフ首相の官邸近くで終了する予定だ。

人質の窮状はイスラエル国民を深く動揺させている。また人質は、ハマスの攻撃から国民を守れていない、尽きることのない国家の失態の象徴であるとイスラエル国民は考えている。イスラエル当局によると、このパレスチナ武装勢力は10月7日の襲撃で、男性、女性、子ども、高齢者を含む約250人を拉致した。11月の解放後も人質約130人が残っており、イスラエルはそのうち約4分の1が死亡したとしている。

イスラエルによるガザ地区での攻撃は、ハマスの殲滅が目的だという話であるが、その攻撃によって2万9,900人以上のパレスチナ人が命を落としている。国連当局者らは、ガザ地区の人口230万人の半数以上が避難している同地区最南端の都市ラファを攻撃するという公約が実行されれば、さらに多くの死傷者が出ると警告する。また、ラファへの攻撃により、戦闘ですでに機能不全に陥っている援助活動が崩壊する可能性があるとも述べている。

国連によると、ガザ地区全土では人口の4分の1にあたる57万6,000人以上が飢餓の一歩手前にあるという。

その中でも特にガザ地区北部は、飢えによって壊滅状態に陥っている。10月下旬にイスラエル地上軍が侵攻して以降、北部は大部分が孤立し、多くの土地が焦土と化している。数十万人のパレスチナ人がそこに残っていると考えられており、その多くは生きるために動物の飼料を食べるしかなくなっている。国連は、北部の2歳未満の子どもの6人に1人が急性の栄養失調と衰弱に苦しんでいると発表している。

パレスチナの民事問題を監督するイスラエル軍事務所は、水曜日に食料を積んだトラック31台の車列がガザ地区北部に入ったと発表した。COGATの通称で知られるこの事務所は、月曜日と火曜日にも20台近くのトラックが北部に入ったと述べた。AP通信の映像には、配給現場から小麦粉の袋を運ぶ人々の様子が映っていた。

どの組織が援助物資の搬入を行ったのかは明らかになっていない。国連人道問題調整事務所の金子絵里報道官は、国連は関与していないと話した。

日曜日の時点で、国連は1月23日以降ガザ地区北部に食料を届けることができていないと、戦争中の支援活動を主導してきた国連パレスチナ難民救済事業機関 (UNRWA) のフィリップ・ラッザリーニ事務局長は話している。

2月18日、世界食糧計画 (WFP) は3週間ぶりに北部への物資搬入を試みたが、輸送団の積荷の多くは道半ばで絶望的なパレスチナ人たちに奪われ、北部には少量しか届けることができなかった。その2日後、WFPは混乱を理由に北部への物資搬入を一時停止すると発表した。

10月7日のハマスによる襲撃を受けてガザ地区への攻撃を開始して以降、イスラエルはエジプトからラファ検問所経由で、さらにはイスラエルのケレム・シャローム検問所経由でガザ地区南部に入る少量の援助物資を除いて、食料、水、医薬品、その他物資の搬入を禁止してきた。より多くの援助の受け入れを求める国際的な呼びかけにもかかわらず、ここ数週間でガザ地区に入る物資を積んだトラックの数は劇的に減少している。

COGATは水曜日、イスラエルは搬入される援助物資の量に制限を課していないと述べた。イスラエルは、ケレム・シャローム検問所のパレスチナ側で数百台のトラックが援助関係者による積み荷の引き取りを待っていると述べ、ボトルネックは国連機関だと非難している。

国連のステファン・デュジャリック報道官は同日、ガザ地区に入る大型トラックは荷物を降ろしてパレスチナの小型トラックに積み替える必要があるが、その数が十分ではなく、ガザ地区に援助物資を配給するうえでの安全確保もできていないと言って反論した。ガザ地区の警察は、イスラエル軍が検問所付近で物資輸送団を攻撃したため、その警護を中止した。安全面と衝突回避に関して、イスラエル側の「調整が不十分」なこともあり、国連職員や他の人道支援活動家の命が危険にさらされている。

「だからこそ、私たちは人道的停戦を繰り返し求めてきた」と同報道官は語った。国連はイスラエルに対し、北部の国境検問所を開放し、物資搬入を支援するとともに、輸送団の安全な通行を保証するよう求めている。

ガザ地区北部にあるカマル・アドワン病院の院長は、重度の栄養失調と脱水症状でここ数日の間に死亡した子どもの数が4人に増えたと語った。

ハッサム・アブ・サフィヤ医師は、燃料不足のため水曜日から病院の業務が停止されると述べた。

「透析、集中治療、小児看護、手術は中止される。したがって、今後数日間でさらに多くの命が失われるのを目撃することになるだろう」と同医師は語った。

一方で、物資不足による苦しみはガザ地区全域に広がっている。中部の町ディール・バラフで診療所を運営する人道団体「プロジェクト・ホープ」は、過去3週間に治療を受けた妊婦の21%と5歳未満の子どもの11%が栄養失調に苦しんでいると話した。

ガザ保健省は、イスラエルの攻撃による死者数は2万9,954人に上り、7万325人が負傷したと発表している。同省は民間人と戦闘員を区別していないが、死者の3分の2は子どもと女性だとしている。

10月7日のイスラエル南部への襲撃では、ハマスと他のパレスチナ武装勢力が約1,200人を殺害し、そのほとんどが民間人であった。

AP通信

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