• イランは国際的な制裁の影響を大きく受け、経済危機にも陥っている
• 状況のエスカレートを恐れるイラク、イランに諸組織統制への協力を要請

テヘラン：低い投票率と保守派による政権支配強化が予想される中、イラン国民は1日に議会および重要な聖職者組織の選挙で投票した。

投票率の向上を呼びかけた最高指導者ハメネイ師が最初に投票した。同師はテヘラン中心部の投票所で投票したと国営テレビが報じた。

今回の選挙は、イランの女性に対する厳格な服装規定違反の疑いで逮捕されたマフサ・アミニさんが勾留中に死亡した後、広範な抗議運動が勃発して以来、初の選挙となる。

前回の選挙以来、イランは国際的な制裁の影響を大きく受け、経済危機にも陥っている。

国会議員だけでなく、イランの最高指導者を選出する専門家会議の聖職者についても、イラン国民8500万人のうち6100万人以上が投票権を持つ。

しかし、国営テレビの世論調査では、回答者の半数以上が選挙に無関心と答えており、投票率の低下が懸念されていた。

「仮に私が投票したとして、何が変わるのでしょうか」と、報復を恐れてハンナとしか名乗らなかったクルディスタン州出身の21歳の女性は話した。「彼ら（選挙で選ばれた人たち）は約束を守らないのですから」

南西部フーゼスターン州出身の32歳、ハシェムさんからも彼女と同じような発言が聞かれた。「選挙の問題は、政治的・経済的状況のため、人々がこの制度自体に満足していないことなのです」

もう一人の有権者、テヘラン南部のモラディアニさんは、ハメネイ師の投票呼びかけに従うと語った。

「指導者は、選挙に参加することは義務だと言いました。ちょうど、私たちにとって祈ることは義務なのと同じです」と彼女は語った。

投票時間はその日中に数回延長された後、午前0時（グリニッジ標準時20時30分）に終了したと、イラン国営通信（IRNA）が報じた。

地元のファルス通信は、投票率を「40％以上」と見積もっている。

「選挙をボイコットする計画は、外敵とその国内の協力者が企んだものだが、約2500万人の参加によって失敗に終わった」と、詳しい説明はしなかった。

イランの2020年前回議会選挙の投票率は42.57％で、1979年のイスラム革命以来最低を記録していた。

候補者を審査する監督者評議会のハディ・タハン・ナジフ報道官は、1日の投票率について楽観的な見方を示し、4年前よりも「もっと良い」と述べた。

最高指導者ハメネイ師は1日、人々に投票を呼びかけて「各国の野次馬が我が国の政治を見守っている。（イランの）友人を幸福にし、不届きな人々を失望させよう」

同師は以前、イランの「敵は国民の存在感があるかどうかを見たいのだ」と警告しており、さもなくば「何らかの方法でイラン国民の安全を脅かすだろう」と付け加えた。

見守っている敵とは、米国に加え、「ヨーロッパ人のほとんど、悪のシオニスト、資本家、大企業」などだと言う。

イランは、米国、西側の同盟国、イスラエルを国家の「敵」とみなし、内政に介入しようとしていると非難している。

選挙前夜、米国は選挙は不公正なものになると述べた。

米国国務省のマシュー・ミラー報道官はワシントンで記者団に対し、「私はイランの選挙が自由で公正なものになるとは思っていないし、多くのイラン国民も自由で公正な選挙になるとは思っていないだろう」と発言した。

議会の候補者は、最高指導者が任命または承認する監督者評議会によって審査される。

同評議会は、およそ4万9000人の応募者の中から、合計1万5200人の候補者を承認し、290人からなる議会の議席への立候補を許した。

改革派と穏健派の候補者が失格となった後、2020年議会で290議席中232議席を占めていた保守派と超保守派が、再び優勢になるとアナリスト達は予想している。

改革戦線という名の政党連合は、「意味のない、競争のない、虚しい選挙」には参加しないと述べた。

イランの前大統領で改革派のモハンマド・ハタミ師は2月、保守系日刊紙『ジャヴァーン』にで、イランは「自由で競争的な選挙からはほど遠い」と語っているのを引用された。

保守派はまた、男性イスラム学者だけから成る88人の専門家会議の支配も堅持すると見込まれている。

合計144人の候補者が立候補しているが、穏健派のハッサン・ロウハニ前大統領を含む多くの応募者が失格となった。

イスラエルとハマスの戦争は地域の緊張を急激に高めており、レバノン、イラク、シリア、イエメンの親イラン派はことごとくイスラエルまたはその西側同盟国との衝突に巻き込まれている。

選挙はまた、イランではインフレ率が50％前後で推移し、通貨リアルが対ドルで急激に下落し、破壊的な国際的制裁と経済的苦難が増している中で行われている。

「物価は非常に高いうえ、上がり続けています」と、40歳の主婦、マスーメさんは投票を前にテヘランのグランドバザールでAFPに語った。

「選挙で選出される代表が、この状況を改善できるとは思えません」

AFP