

ジェッダ:イスラエル軍は日曜日、10月7日のハマス過激派によるイスラエルへの攻撃に端を発した戦争から半年を向かえ、数ヶ月に及ぶ激しい戦闘の末、ガザ南部のハーン・ユーニスから撤退した。
イスラエルのヨアヴ・ガラント国防大臣は、150万人以上のパレスチナ人が避難しているラファのすぐ北にあるハーン・ユーニスにおいて、「ハマスが軍事的枠組みとして存在しなくなった」ことが撤退の理由だと述べた。彼はまた、撤退は「ラファを含む将来の任務に備えるため」とも述べた。
イスラエルとハマスが、6ヶ月に及ぶ紛争の停戦の可能性について再協議するため、交渉団をエジプトに派遣した際、イスラエルは、ガザ南部からさらに多くの兵士を撤退させ、残りの師団は1つだと発表した。
大半が破壊されたハーン・ユーニス周辺から軍が撤退した後、避難民となったパレスチナ人たちが、南部ラファの仮設シェルターから自宅を目指し歩いた。
ハーン・ユーニスは、イスラエルが10月7日の同時多発テロの首謀者と非難しているハマスの最高指導者ヤヒヤ・シンワル氏の故郷である。
イスラエル軍は、ベンヤミン・ネタニヤフ首相が「勝利まであと一歩だ」と述べたように、ガザ地区の他の場所に「重要な部隊」が駐留すると述べた。
「イスラエルは取引の準備ができている。イスラエルは降伏する準備はできていない」とネタニヤフ首相は、同国の集計によれば、民間人を中心に1,170人の死者を出したハマスの攻撃から6カ月の節目の演説で閣僚に語った。
停戦協定に向けた協議がカイロで再開されることになったこの日、ネタニヤフ首相は「人質の返還なくして停戦はない」とも強調した。
同大統領は、過激派に捕らえられた捕虜の家族や支援者、また反政府デモ運動の復活から、国内で強い圧力にさらされている。
イスラエル軍参謀総長のヘルツィ・ハレビ氏は、「ガザでの戦争は続いている。停戦には程遠い」と述べ、「これは長い戦争であり、その激しさはさまざまだ」と続けた。
高まる世界の反対
世界の指導者たちは、ガザ住民のほとんどが避難しているエジプト国境近くの都市への侵攻の見通しに警戒を表明している。
国連と国際援助機関は、戦争の壊滅的な犠牲者の数を断罪し、パレスチナ領土は 「壊滅的な状況」と警告した。
国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)は、「6ヶ月はひどい」と述べ、「人権は見捨てられた 」と警告した。
戦争は10月7日、ハマス過激派による攻撃で勃発し、1,170人が死亡した。ハマスとイスラム聖戦の過激派は250人以上の人質をとっており、そのうち129人がガザに残っている。
ハマス保健省によれば、イスラエルの報復攻撃により、ガザでは少なくとも33,175人が死亡し、そのほとんどが女性と子どもだという。
リシ・スナク英首相は、「ひどい」戦争は「終わらせなければならない」と述べた。彼は声明でこう述べた。「ハマスというテロリストの脅威を打ち破り、自国の安全を守るイスラエルの権利を支持し続ける。しかし、英国全土が戦争の流血に衝撃を受けている。この恐ろしい戦争を終わらせなければならない。人質は解放されなければならない。私たちが陸路、空路、海路で届けるために、心血を注いできた援助を、完結させなければならない」。
4月1日、イスラエルのドローンによる空爆で、米国を拠点とする食糧支援団体「ワールド・セントラル・キッチン」の職員7名(そのほとんどが欧米人)が死亡したことで、イスラエルに対する反発はさらに強まった。
世界銀行の報告書によると、ガザの広大な地域は瓦礫だらけの荒れ地と化し、住宅を中心とする重要なインフラへの被害額は185億ドルに上ると見積もられている。
援助団体はイスラエルが援助活動を妨害していると非難しているが、イスラエルは、援助団体が援助物資を分配できないことが不足の原因だと非難している。
世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイェスス事務局長は、「食糧、燃料、衛生設備、避難所、治安、医療といった基本的なニーズが不足することは、非人道的で耐え難いことだ」とX(旧ツイッター)に投稿した。
イスラエルの安全保障専門家オメル・ドストリ氏は、より多くの避難民が密集したラファから去るにつれて、「2ヶ月以内に、ラファでハマス残党を壊滅させる動きが起こるだろう」と予測した。
停戦と人質解放に向けた話し合いが、米国、カタール、エジプトの仲介者を交えてカイロで再開される見込みのなかでの部分的撤退である。
ジョー・バイデン米大統領は木曜、ネタニヤフ首相に対し、停戦と人質解放の合意、そして援助物資の輸送の強化を望んでいると述べた。
イスラエルの最大の武器供給国であり、政治的後ろ盾でもあるバイデン氏は、7名の援助隊員の死後、民間人の殺害を抑制し、人道的状況を改善することを条件に、イスラエルに対するアメリカの支援をほのめかした。
バイデン大統領の発言から数時間後、ネタニヤフ首相はイスラエルがエレズ検問所とアシュドッド港を通過する「一時的な」援助物資の輸送を許可すると述べた。
ハーン・ユーニスに戻った4児の母、マハ・タエルさんは、「生活には適していないが、テントよりはましだ」と、損壊したアパートに戻ると語った。
ガザ北部のパレスチナ人、ムハンマド・ユニスさん(51歳)は、喪失感しかない。「爆撃、死、破壊はもう十分ではないか。瓦礫の下にはまだ死体がある。悪臭が漂っている」と彼は語った。
(AFP通信より)