
ガザ地区:10歳のシラジ・ヤシンくんは、過密状態のガザ病院の病棟に車椅子で運ばれてきた。血液中の白血病が彼の免疫システムを破壊し、体力を奪い、歩けなくなって以来、薄緑色のTシャツが痩せた体躯を包んでいる。
化学療法が彼を救うだろうと医師は言う。しかし、ここガザでは化学療法を受けることができないし、イスラエル軍がエジプトに通じるラファ検問所からの唯一の出口を閉鎖した今、治療のためにガザから出ることもできない。
「2週間前から歩けなくなりました。毎日、症状は悪化し、何かを失っています。骨も痛いし、何もかもが痛い。治療を受けて、以前のように遊べるようになるために、ガザを出たいんです」
アル・アクサ殉教者病院は、イスラエルの8ヶ月に及ぶ攻撃によって医療システムのほとんどが破壊されたガザで、まだ機能している唯一の病院のひとつである。ガザ地区中央部のデイル・アル・バラは、イスラエル軍がまだ襲撃していない最後の都市であり、住民は基本的な治療を求めてここに集まってくる。
しかし、イスラエルが先月ラファ検問所への攻撃を開始し、唯一の出入り口を閉鎖して以来、シラジくんのような重病患者を治療のためにガザから送り出すことはできなくなった、と医師たちは言う。
ガザでシラジくんに与えられるのは、痛み止めの薬だけだ。「シラジくんのケースは、癌や髄膜炎のケース、慢性・急性のケースなど、何百とあるケースのひとつです。外国での治療を必要としている子どもたちはたくさんいます」と主治医のジアド・アブ・ファレス氏は語った。
ロイター