
ドバイ:イブラヒム・ライシ氏のヘリコプター墜落事故死を受けて、イラン国民は金曜日に新大統領を選ぶ投票を行う。国民の不満が高まる中、最高指導者に忠実な4人の候補者から厳しく管理されたグループから選ばれる。
今回の選挙がイスラム共和国の政策に大きな変化をもたらす可能性は低いが、その結果は、30年半にわたって権力の座にあるイランの85歳の最高指導者、アヤトラ・アリ・ハメネイ師の後継者に影響を与える可能性がある。
ハメネイ師は、経済的苦境や政治的・社会的自由の抑制に対する国民の不満に煽られた正当性の危機を相殺するため、「最大限の」投票率を求めている。
投票率は過去4年間で急落しており、政治的・社会的制限に不満を持つ若年層が大半を占めている。
投票は現地時間午前8時(日本時間午後4時30分)に始まり、午後6時(日本時間午後14時30分)に締め切られるが、通常は深夜まで延長される。投票用紙は手作業で集計されるため、最終結果が発表されるのは2日後と予想されるが、最初の数字はもっと早く出るかもしれない。
白票を含む全投票の50%プラス1票以上を獲得する候補者がいない場合、選挙結果発表後の最初の金曜日に上位2候補による決選投票が行われる。
候補者のうち3人は強硬派で、1人は知名度の低い比較的穏健派である。
イランの聖職者による支配を批判する人々は、最近の選挙の投票率の低さと低下は、この制度の正当性が損なわれていることを示していると言う。ライシ政権を誕生させた2021年の選挙では有権者のわずか48%が投票し、3ヶ月前の議会選挙では投票率が41%と過去最低を記録した。
今回の選挙は、イスラエルとイランの同盟国であるガザのハマス、レバノンのヒズボラとの戦争による地域的緊張の激化と、急速に進む核開発計画をめぐるイランに対する欧米の圧力の高まりとが重なっている。
次期大統領は、イランの核開発や中東全域の民兵組織への支援について、大きな政策転換を行うことはないと見られている。しかし、大統領は日々政府を動かし、イランの外交・内政の基調に影響を与えることができる。
ハメネイ師に肩入れする6人の聖職者と6人の法学者で構成される強硬派の監視機関が候補者を審査する。80人の候補者の中からわずか6人を承認した。その後、2人の強硬派候補が脱落した。
残った強硬派の中で著名なのは、国会議長で強力な革命防衛隊の元司令官であるモハマド・バケル・カリバフ氏と、ハメネイ師のオフィスで4年間仕えた元核交渉官のサイード・ジャリリ氏である。
唯一の穏健派であるマスード・ペゼシュキアン氏は、神権的支配に忠実だが、西側とのデタント、経済改革、社会自由化、政治多元主義を主張している。
ペゼシュキアン氏のチャンスは、前大統領がほとんど変化をもたらさなかったため、この4年間ほとんど投票に行かなかった改革志向の有権者の熱狂を再び呼び起こせるかどうかにかかっている。また、ライバルたちが強硬派票を固められなかったことから、その恩恵にあずかれる可能性もある。
4人の候補者全員が、失政、国家腐敗、そして米国がテヘランと世界6カ国との2015年の核協定を破棄した後に2018年から再開された制裁措置に悩まされ、低迷する経済を復活させることを誓っている。
ここ数週間、イラン人によるソーシャルメディア「X」には、「#ElectionCircus」というハッシュタグが広く投稿されており、国内外の活動家の中には、高い投票率がイスラム共和国を正当化するとして、選挙のボイコットを呼びかける者もいる。
ロイター