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スーダンのハムドゥーク首相、抗議者に対する厳しい弾圧が続く中で辞任へ

2022年1月2日日曜、スーダンのアブダッラー・ハムドゥーク首相が辞任を発表した。(ファイル/AFP)
2022年1月2日日曜、スーダンのアブダッラー・ハムドゥーク首相が辞任を発表した。(ファイル/AFP)
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04 Jan 2022 12:01:17 GMT9
04 Jan 2022 12:01:17 GMT9
  • この発表は、スーダンの政治の行方をいっそう不確かなものにする
  • 10月25日のクーデター中に失脚し自宅軟禁下にあった首相は、11月に復職していた

ハルツーム:クーデターから2ヶ月以上が経過したスーダンでは今、軍による統制が確固たるものになっている。そんな中で新たに起こった抗議者への恐ろしい弾圧の後、スーダンの文民首相であるアブダッラー・ハムドゥーク氏が2日に辞任した。

スーダンは、独裁者オマル・アル・バシール前大統領の2019年の失脚以来、文民統治に向けて不安定な道のりを歩んでいた。だが軍事指導者のアブドゥル・ファッターハ・アル・ブルハーン将軍が10月25日にクーデターを起こしてハムドゥーク首相を拘束した時、国内は混乱状態へと陥った。

ハムドゥーク首相は、2023年7月に選挙を行うという取引の下で11月21日に復職していた。しかし地元メディアは、同氏が何日間も公務についていないことを報じており、辞任の可能性について噂が渦巻いていた。

「国が大惨事へと滑り落ちないよう、最善を尽くした」とハムドゥーク首相は2日夜、国営放送で国民へ演説した。

スーダンは「存続をかけた危険な分岐点にある」と首相は語った。

バシール前大統領の失脚後にブルハーン将軍が事実上の国の指導者を務める期間、ハムドゥーク首相は、その不安定な移行を支える文民の顔だった。

ハムドゥーク首相は「政治勢力の分断と(軍と民間の)移行要素間の対立」に言及し、「合意に至るためあらゆる手を尽くしたが(中略)そこに到達できていない。」と述べた。

クーデターに対する集団抗議は、ハムドゥーク首相が復権した後も続いている。デモ参加者らは、軍有力者であるブルハーン将軍と、完全民主主義へ国を導いていくという彼の約束を信用していないのだ。

なお抗議者らは、ハムドゥーク首相を復権させるための取引は、見せかけの正当性を将軍たちへ与えることを目的としているにすぎないと訴えた。彼らは将軍たちが、バシール前大統領の構築した体制を続行しようとしている、と非難している。

2日には、何千人ものデモ参加者が文民政権を求め、催涙ガスや軍隊の大規模な展開、そして通信途絶に立ち向かった。

彼らは首都ハルツームの大統領官邸近くと、双子都市オムドゥルマンでの抗議運動で「人々に力を」と叫びながらクーデターを激しく非難し、軍へ兵舎に戻るよう要求した。

民主主義派の医師委員会は、治安部隊が抗議者3名を殺害したと発表している。オムドゥルマンの治安部隊員の手で1人は胸を撃たれ、もう1人は「重度の頭部外傷」を負った。

クーデター以来日常的になっていたこれまでのデモと同じく、関係当局は首都と辺境地域との間にあるナイル川の橋を輸送コンテナで封鎖し、バリケードを設置した。

それでも、数千人が「殉教者を偲んで」抗議デモに参加した。民主主義派の医師たちによれば、クーデター以来、少なくとも57名のデモ参加者が殺されている。

治安部隊が救急車を妨害している中、バイクに乗った若者たちが負傷したデモ参加者を病院へ搬送する様子が確認されている。

インターネット監視団体のネットブロック(NetBlocks)は、計画された抗議運動に先立ち、元旦の午前半ばから携帯電話のインターネットサービスが遮断されたと発表した。

活動家は、抗議運動の組織や集会のライブ映像放送のためにインターネットを利用する。軍による乗っ取り以来の抗議運動は、何発もの催涙ガスを撃つ治安部隊や警棒を振るう警官の突撃によってたびたび中止させられている。

スーダンには、軍事的乗っ取りの長い歴史がある。しかしブルハーン将軍は、軍の動きは「クーデターではなく」、「移行の道を正す」ためのひと押しだったと主張する。

31日には、「抗議デモは労力と時間の無駄でしかなく」、「一切の政治的解決」につながらない、と相談役が警告した。

活動家らはソーシャルメディア上で、2022年が「抵抗を継続する1年」になるだろうと述べている。

彼らが求めるのは、クーデター後に殺された人々、そしてバシール前大統領の転覆に道を開いた集団デモ中に亡くなった250以上の人々のための正義だ。

活動家らは、12月19日の抗議運動中に行われた性的暴行を非難している。少なくとも13人の女性と少女が、そこでレイプや輪姦の犠牲になったと国連は発表した。

欧州連合と米国は、「抗議デモから女性を追い払い、彼女らの声を封じるための武器として」性的暴行を利用することを非難し、共同声明を発表した。

米国のアントニー・ブリンケン国務長官は1日に声明の中で、ワシントンは「文民が率いる民主政治へのスーダン国民の願いを阻もうとする者、義務、正義、そして平和を妨げる者に対抗する用意がある」と発表した。

国連人道問題調整事務局によれば、今後1年の間に、10年間で最高水準となる1,400万以上の人々、3人に1人のスーダン国民が人道的支援を必要とすることになる。

AFP

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