• ハマスが交渉を台無しにしているという首相の主張と矛盾する報告書
• イスラエルの 「争点 」変更で交渉はさらに行き詰まる恐れ

アラブニュース

ロンドン：ベンヤミン・ネタニヤフ・イスラエル首相が、ハマスとの停戦協定案に新たな条件を追加したとニューヨーク・タイムズ紙が報じた。

イスラエル側の交渉担当者は、追加された条件によって和平交渉が成立しなくなることを恐れている。

イスラエルの指導者は数週間前から、さらなる条件を追加することで合意を台無しにしようとしているとの主張を否定している。

ネタニヤフ首相は、イスラエルの安全保障当局からの批判にもかかわらず、交渉が停滞しているのはハマスのせいだと繰り返し非難した。

ニューヨーク・タイムズ紙が入手した未公開文書によると、イスラエルは7月下旬、アメリカ、エジプト、カタールの調停者に新たな停戦条件を要求した。それは、イスラエルが5月下旬に行った以前の要求を修正したものだった。

最も争点となった新しい提案の中には、戦闘停止後、ガザ南部のエジプトとの国境にあるフィラデルフィア回廊を監督するというイスラエルの要求があった。

この提案は、5月に提案されたイスラエルの条件にはなかった。

ネタニヤフ首相による水面下での工作が、この変更に「広範囲に及んでいる」と同紙は伝えている。

アブドル・ハディ氏（ハマス幹部）は火曜日、過激派組織は今週ドーハかカイロで開かれる新しい協議には参加しないと述べた。

イスラエルはまた、5月から7月へと要求をシフトさせたことで、「戦闘が停止すれば、避難民であるパレスチナ人がガザ北部の自宅に戻ることを認めるという柔軟性を失った」とも述べている。

複数人のイスラエル高官がニューヨーク・タイムズ紙に語ったところによると、イスラエルの交渉チームの中には、今回の変更によって停戦合意が台無しになることを恐れている者もいるという。

イスラエルのネタニヤフ首相に対する批判は、首相はイスラエルの提案の中で重要な条件である人質の自由よりも、連立政権の安定を優先している、というものである。

ネタニヤフ首相の議会の多数派は、停戦合意が成立すれば辞めると脅す極右議員数名の支持に依存している。

ニューヨーク・タイムズ紙にコメントを求めたところ、首相官邸はイスラエルの停戦提案に新たな条件を加えたことを否定した。

その代わりに、首相は「イスラエルの5月の提案のあいまいさを明確にし、より発効しやすくするよう努めた」と述べた。

声明はこう述べている： 「7月27日の書簡は、新たな条件を提示したものではない。それどころか、5月27日の提案を実施するために必要不可欠な明確化が含まれている」

「ハマスこそ、5月27日の提案に29もの変更を要求した張本人であり、首相はそれを拒否したのだ」

ネタニヤフ首相は8月4日の閣議で、イスラエルは「要綱に一点の要求も加えていない」、「何十もの変更を加えるよう要求してきたのはハマスだ」と主張した。

しかし、7月27日にイスラエルが仲介者に宛てた書簡で、5月下旬に出した提案に5つの新たな要求を追加したことが明らかになった。

避難民パレスチナ人の帰還に関する2つ目の変更点は、提案された武器検査に関するものだ。

5月の提案の数カ月前から、イスラエルは、停戦時にパレスチナ市民がガザ南部から北部へ移動する場合、すべてのパレスチナ市民が武器のスクリーニングを受けることを要求していた。しかし、5月にはその要求が緩和され、ハマスもそれに同意した。

しかし、7月の一連の提案はイスラエルの申し出を覆し、再びすべての民間人の完全な武器検査を要求した。

『ニューヨーク・タイムズ』紙によれば、イスラエル政府高官は「この点で合意を保留する価値はないと考えている」という。

人質を一刻も早く解放するために、彼らはネタニヤフ首相に 「木曜日に予定されている会談に先立って引き下がる 」ことを望んでいる。