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イタリアでコロナウイルス対策の最前線に立つアラブ人医師たち

2020年4月11日、医療スタッフがローマ近郊のカサル・パロッコにあるCovid 3病院のICUで働いている。(AP通信)
2020年4月11日、医療スタッフがローマ近郊のカサル・パロッコにあるCovid 3病院のICUで働いている。(AP通信)
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12 Apr 2020 05:04:00 GMT9
12 Apr 2020 05:04:00 GMT9

フランチェスコ・ボンガラ

ローマ:イタリアでは毎日、何百人ものアラブ諸国出身医師が新型コロナウイルスと闘っており、既に重い代償を払っている。

イタリアの外国人医師協会(Amsi)によると、これまでのところ国内で死亡した107人の医師のうち7人がアラブ諸国出身者だという。

「私たち(アラブ人医師たち)の大半がこの感染症の最前線に立っていますので、イタリア人の同僚たちと同等のリスクを負っていますが、喜んでそうさせてもらっています。これが私たちの仕事ですから。これこそ、今まで私たちが訓練されてきたことなのですから」と、ローマのウンベルト1世総合病院の緊急血管外科医、ジハード・ジャブール医師はアラブニュースに語った。

53歳のジャブール医師は、医療を学ぶために33年前にレバノンからイタリアに来た。同医師は、ラザロスパランツァーニ病院で働くイタリア人医師と結婚している。

「私たちは2人とも最前線に立っています」と同医師は語り、個人的に面識のある仲間の1人、レバノン人総合診療医(GP)が数日前にCOVID-19で死亡したと付け加えた。

「ウンベルト1世総合病院でも、私たちは外国人患者をたくさん治療しています。その中には、アラブ諸国出身者もいます」と、手術の準備をしながらジャブール医師は語った。

「患者がウイルス陽性かどうか前もって分からないことも時にはあるので、私はあらゆる予防措置を施し、マスクと特別な防護服を着用しなければなりません」

「ローマでレバノン人コミュニティーが主催した会合で数度顔を合わせたので、私たちは知り合いでした。私たち全員がそうであるように、彼もまたこの国(イタリア)を愛していました」と、ジャブール医師は死亡したレバノン人GPについて語った。

イタリアのサウジ大使館が実施した帰還計画に参加しなかった28歳のサウジ人医師、ナセル・アルアブドゥーラリ氏のことを、イタリアの新聞が報じていた。

アルアブドゥーラリ氏はロンバルディア州の都市、ローディに残る決意をした。ローディは最悪のウイルス被害を受けたイタリアの都市だった。アルアブドゥーラリ氏は2011年、イタリアのパヴィア大学で医療を学ぶための奨学金を受け取っていた。

「サウジアラビアは世界中で人道的な役割を果たすことで有名なので、ここにいることを望みました。そして英語とイタリア語に精通しているので、私の国の最良の親善大使になりたいと思いました。私は逃げることができませんでした」と、COVID-19の患者で一杯の病院で長時間の勤務中に、アルアブドゥーラリ氏は語った。

地元のコミュニティーは残ると約束した自分に感謝してくれている、と同氏は付け加えた。「私が住んでいる家のオーナーは、イタリア人を代表して感謝の意を表して、私から家賃を受け取ることを拒みました。

死亡したアラブ諸国出身の医師7人は、シリア人のアブドゥル・サタール・アイルード氏、アブドゥルガニ・タキ・マッキ氏、グヴォント・ムラド氏、サマール・シンジャブ氏、パレスチナ人のナビール・ヘア氏、ヨルダン人のタシン・クリサット氏、レバノン人のネイビル・クラビー氏だ。

Amsiの代表者、フォード・アオディ医師は彼らを「殉死者」と呼んだ。「彼ら全員が家族と幸せに暮らし、恐れることなく医学的・人間的スキルで社会に大きな貢献を与えたこの国、イタリアを愛していました」

「彼らはホームドクター、 救急医、歯科医でした。彼らには息子や娘がいましたが、彼らはその悲嘆にくれた家族から去りました。彼らは市長たちやゼネラルマネージャーたち、そしてイタリアで職務に当たっていた間、彼らに救われた患者たち全員が、彼らを忘れないでしょう」と、アオディ医師は付け加えた。

この危機のなか、イタリアへの人道支援に寛大なアラブ諸国もある。例えば、イタリア外務省はクウェートからの500万ドル、UAEからの医療物資10トンに感謝の意を表していた。

イタリアのピエロパオロ・シレーリ保健省副大臣は、「これかれも頂くものはもっとあり、詳細な情報が分かり次第、すぐ皆様にお礼を申し上げます。この寛大さの全ては圧倒的であり、私たちは本当に感謝しております」とアラブニュースに語った。

「共有されている科学的知識と医療物資が、この上なく貴重な財産となり得るなかで、私たちは同じ戦争を闘っています。そして全員が団結し続け、助け合う場合に限って、私たちはこの戦争に勝てるのです」と、シレーリ大臣は付け加えた。

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