- イスラエル軍は当初、自国の最大の敵を捕らえたことに気づいていなかった
エルサレム:ハマス指導者ヤヒヤ・シンワル氏は、ガザ南部の建物の瓦礫の中で瀕死の状態にあるところをイスラエルの小型無人機に追跡され、埃まみれの椅子にぐったりと座っている姿を撮影された。
無人機が近くをホバリングしている間、ビデオには彼が明らかに自暴自棄になって無人機に向かって棒を投げつける姿が映し出されていた。
1年以上にわたる大規模な捜索の末、イスラエル軍は水曜日に銃撃戦の末にシンワル氏を殺害したが、当初は自国の最大の敵を捕らえたことに気づいていなかったとイスラエル当局は述べた。
軍当局は木曜日、歯科記録、指紋、DNA検査によりシンワル氏の死亡が最終的に確認された後、諜報機関が徐々にシンワル氏を特定していったと発表した。
しかし、7月13日にイスラエルの空爆で死亡したハマスの軍事司令官モハメド・デイフ氏など、イスラエルが追跡して殺害した他の武装勢力の指導者たちとは異なり、シンワル氏を最終的に殺害した作戦は、計画的で標的を絞った攻撃でもなければ、精鋭の特殊部隊による作戦でもなかった。
代わりに、当局者によると、彼は通常、将来の部隊司令官を訓練する部隊であるビスラッハ旅団の歩兵部隊によって発見されたという。兵士たちは水曜日に、ハマスの上級メンバーが潜伏していると考えられるガザ南部のタル・エル・スルタン地区を捜索していた。
軍は建物間を移動する3人の武装容疑者を確認し、発砲、銃撃戦となり、その最中にシンワル氏は廃墟の建物に逃げ込んだ。
イスラエルのメディアの報道によると、戦車砲弾とミサイルもその建物に発射されたという。
木曜日、イスラエル軍は、重傷を負ったシンワル氏がスカーフで顔を覆い、椅子に座っている様子を捉えたという小型無人機からの映像を公開した。映像には、無人機を撃墜しようと、棒を投げようとするシンワル氏の姿が映っている。
現段階では、イスラエル軍報道官ダニエル・ハガリ少将は、シンワル氏は戦闘員として確認されただけだが、部隊が踏み込んだところ、武器と防弾チョッキ、4万シェケル(1万731.63ドル)を所持していたと述べた。
「彼は逃亡を図ったため、我々の部隊が彼を排除した」と、テレビ中継された記者会見で報道陣に語った。
ハマスは公式なコメントを発表していないが、ハマス内部の情報筋は、入手した情報からシンワル氏が実際にイスラエル軍によって殺害された可能性が高いと述べた。
「イスラエル国防軍とイスラエル治安部隊が過去1年間に、そしてシンワルが殺害された地域でここ数週間に実施した数十回の作戦により、ヤヒヤ・シンワルの行動は制限され、部隊に追跡された結果、殺害に至った」とイスラエル軍は声明で述べた。
ガザ戦争のきっかけとなった2023年10月7日のイスラエル襲撃事件の主犯格であるシンワル氏は、その最後の数か月間、イスラエルの強力な諜報機関に居場所を突き止められるような電話やその他の通信機器の使用を止めていたようだ。
イスラエル当局は、シンワル氏が過去20年にわたってハマスがガザ地区に掘った広大なトンネル網の1つに身を隠しているとみているが、イスラエル軍によって次々と発見されていることから、トンネルに身を隠していても捕獲を免れる保証はない。
イスラエル軍のヘルツィ・ハレビ中将は、過去1年間にわたるイスラエルのシンワル氏追跡により、「シンワルは逃亡者のように行動せざるを得なくなり、何度も場所を変えるようになった」と述べた。
シヌワル氏を冷酷な敵として知るイスラエル当局者は、かねてから、ガザ地区で依然として拘束されている101人のイスラエル人および外国人人質の一部を、イスラエルからの攻撃から身を守るための人間の盾として身の回りに集めているのではないかと懸念していた。
しかし、水曜日にようやく追い詰められた際には、近くに人質は発見されなかった。ハガリ氏は、8月末にハマスが6人のイスラエル人人質を殺害した場所から数百メートル離れたトンネルで、彼のDNAサンプルが発見されたと述べた。
ロイター