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シリア北東部でのフランスとクルド人たちとの会談はトルコの反感を買う予感

昨年10月6日にシリア北部のラースアルアインで、シリア系クルド女性が「クルド民主統一党(PYD)」の旗を振る。(AFP通信)
昨年10月6日にシリア北部のラースアルアインで、シリア系クルド女性が「クルド民主統一党(PYD)」の旗を振る。(AFP通信)
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07 May 2020 12:05:21 GMT9
07 May 2020 12:05:21 GMT9

アラブニュース

  • フランスとトルコの関係は近年、主に中東政策の相違により緊迫している。

イスタンブール:シリア北東部で日曜からフランス代表団とクルド人勢力との間で話し合いが持たれているが、これがフランス政府とトルコ政府の新たな緊張の原因となりそうだ。話し合いは、内戦で荒廃したシリアの平和的解決の可能性に向けてシリア国内のクルド人を統一させる取り組みの一環である。

フランス代表団は最初に「クルド民主統一党(PYD)」と近い関係にある「クルド国家同盟(HNKS)」と会った。代表団はその翌日に「クルド民主統一党(PYD)」指導者とも直接話したという。

トルコは、「クルド民主統一党(PYD)」とその軍事組織である「クルド人民防衛隊(YPG)」を、「クルディスタン労働党(PKK)」の拡張組織とみなしている。PKKはトルコからの分離を求めて30年以上戦っており、トルコ、米国、EUからテロリスト集団に指定されている組織だ。

フランスは昨年シリア系クルド人の代表団をパリに招いたが、今回の訪問については公式声明を発表していない。フランスとトルコの関係は近年、主に中東地域政策の相違により緊迫している。

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、「クルド人民防衛隊(YPG)」が支配するシリア北部で2019年10月に実行されたトルコの軍事攻撃を非難し、シリア系クルド人の幹部たちと面会してきた。

これに対してトルコのメブリュト・チャブシオール外相は、テロリズムを援助しているとしてマクロン大統領を非難した。

モスクワに拠点を置くオブセルヴォ・フレンチ‐ロシアン分析センターのイゴール・デラノエ副所長は、フランスとクルド人たちとの会談はトルコ政府とフランス政府の関係をさらに悪化させると述べた。「フランスは、シリア政府の敵側への支援に失敗した後、紛争において何らかの政治的足掛かりを取り戻したいと考えている」と彼はアラブニュースに語った。

「もしフランスがシリア系クルド人たちの統一に成功すれば、それは、危機後のシリアの政治舞台に寄与すべく利用できる彼らの功績になる。米国はこの危機の解決に興味を示していないからだ」

フランスにとってこの会談のもうひとつの目的は安全保障関連だとドラノエ氏は言う。「フランス系の過激なジハーディストの多くは、『シリア民主軍(SDF:その主な構成員はクルド人民防衛隊(YPG)』の牢獄に囚われていると言われている」と彼は付け加えた。
「『シリア民主軍(SDF)』の管理する何千人ものテロリストたちを収容する牢獄でこれまで暴動が起きてきた。フランス政府にとって、それらの者たちが逃亡しないようにすることが直接利益につながる。クルド人たちがそれを防ぐならば、代わりにフランスが何らかの政治的関与をしてシリア系クルド人たちの目的を支援しようというものだ」

中東地域レベルで言えば、フランスとクルド人たちとの話し合いは、トルコがリビアで増大させている影響力に対する直接の反発行為になる。

1月にトルコ政府とフランス政府は不安定なリビア情勢について互いを非難し合い、マクロン大統領は、トルコ船舶がシリア人傭兵をエスコートしながらリビア領域に現れたと述べた。「その結果としてフランスは、トルコの野望を阻止すべくクルド人たちを利用しようとしているのだ」とドラノエ氏は述べた。

オックスフォード大学で中東を研究するサミュエル・ラマニ氏は、フランスとクルド人たちとの話し合いは「トルコ政府から見れば、長らくトルコに対して激化する一方の敵対意識の表れであると感じられるだろう」とアラブニュースに語った。

彼は次のように述べた。「フランスは1月末に地中海東部に戦艦を派遣したが、トルコではそれはギリシャとの結束を示すものだと遍く解釈された。より最近ではフランスが無断でリビアに航空便を派遣したが、トルコでは、フランスがトルコ軍による『リビア国民合意政府(GNA)』の支援を阻止すべくリビアへのEU海上部隊出入港禁止命令を利用するのではないかとの懸念が起きた」

彼は次のように述べた。「シリア系クルド人たちとの交渉はこの時期、トルコとの緊張を激化することにしかならない。シリアにおけるトルコの政策よりもフランスとトルコとの関係により大きな影響を及ぼすことになるだろう」

ラマニ氏は、フランスとクルド人たちとの話し合いへの懐疑を表明した。「フランスからのものを含む過去の仲介努力は、クルド人の統一を進めることに失敗してきたし、クルド人たちの間にアサド氏(シリア大統領)に関する亀裂を生じてきた。今回の会談がそれよりも成功するという徴はほとんどない」と彼は述べた。

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