
政府が経済を存続させるために国際通貨基金(IMF)からの救済プランを待つなか、新型コロナウイルス危機の影響はレバノン国民をさらなる苦境に追い込み、経済のすべての分野にその悪影響を増幅させている。特に教育においては顕著だ。
ベイルート・アメリカン大学(AUB)はなんとか存続していくための苦戦を強いられるなか、緊急時基金の呼び掛けを開始した。基金からの受取金は、学生、職員、教員、親たちからなるAUBコミュニティーの困窮するメンバーたちへの支援、そして大学とその医療センターの存続のために使われることになる。
ファドロ・R・クホーリ学長は、2020年5月5日のAUBコミュニティーへのメッセージのなかで次のように述べた。
「AUBを救うことが私たちの唯一の優先事項です。そして私たちはAUBを必ず救います」
AUB緊急時基金への寄付は大学のウェブサイトで受け付けており、緊急要請についての詳細は、以下のアドレスにメールすれば見ることができる。[email protected].
AUBは、パンデミック前に期待していた寄付や奨学金を既に失くしている。給付金や賃金の削減に加え、全学部の閉鎖や支出停止などの選択肢についても検討している。
しかしレバノン・ポンドの急落によるインフレや高い貧困率・失業率など、レバノン経済がほぼ完全に近い劇的な崩壊を見せるなか、多くの家族が食費や家賃を支払う手段にも事欠いており、何万ドルという授業料を払う余裕はない。
5月5日のメッセージでクホーリ学長は、AUBは今後数年間を耐え抜き長期に渡って繁栄すべく、全学内で劇的な変化を起こすつもりだと発表した。
ベイルート・アメリカン大学は、154年間にわたって医療、法律、科学、芸術の分野で傑出した人物を輩出しており、ここ何十年間の卒業生には複数の首相を含む政治リーダーや学者たちもいる。
中東地域で最も優秀かつ頭脳明晰な人物を教育しているだけでなく、AUBはレバノン最大の民間雇用者として過去も現在も機能し続けているが、同大学がレバノンや中東地域への揺るぎない貢献を今後も維持していくためには、今すぐの支援が必要である。