• 人道主義者や医療関係者は、新型コロナウイルスが抑制も追跡されずに拡散していると考えている。
• スーダンの医療システムは長年の戦争と制裁の後に混乱している。

カイロ：戦争で焦土と化したスーダン西部地域にあるダルフールの広大な難民キャンプでは、高齢者が驚くべき割合で病気になり、死んでいると当局者は述べている。

ダルフール北部の州都エル＝ファーシルでは、毎日十数件の死亡発表をスクロールして見ていると言う人もいる。旧友や親族、コミュニティのリーダーが目もくらむような速さで亡くなったそうだ。

この地域で機能している数少ない病院の医師たちは、味覚障害や呼吸困難、発熱などの症状を持つ患者が殺到していると報告している。患者たちの早すぎる死の公式な原因は 「不明」のままである。

人道主義者の活動家や医療関係者は、スーダンの最も疎外された地域には医療施設がほとんどなく、長年の紛争で約160万人の人々が難民キャンプに押し込められたままになっているため、新型コロナウイルスが抑制も追跡もされずに拡散していると考えている。

保健省によると、スーダンでは全国で6,879人の新型コロナウイルス感染と433人の死亡が報告されている。そのうちダルフールでは193人の感染者と54人の死亡者が確認されているが、専門家はこの数字は実際の数字より大幅に少ないと予測している。

パンデミックが始まって以来、世界で最も脆弱な地域、特に社会的な距離を置くことや手洗いさえも不可能であることが証明されている難民キャンプでは、新型コロナウイルスは壊滅的な被害をもたらすだろうと公衆衛生当局者は警鐘を鳴らしてきた。

「キャンプの人々は息が詰まるような環境にいる、呼吸ができないのだ」と、北ダルフールのアブシュウク移住キャンプのディレクター、モハメド・ハッサン・アダム氏は語った。キャンプの一角では、1ヶ月の間に64人の原因不明の死者が出たという。彼の4人の隣人は全員60代で、衰弱していき、そして次々と姿を消していった。

「彼らは疲れ果てて死んでしまう。何が起こったのかを伝える方法はない」と彼は語った。

昨年の大規模な抗議行動で長年の独裁者オマール・アル­＝バシールが倒された後の脆弱な民主主義の移行の中で、当局は伝染病の蔓延を抑制するために奔走している。

「我々は台風の目の中にいる」と、ダルフールの国連アフリカ連合平和維持軍のスポークスマンであるアシュラフ・イッサ氏は国の感染症の爆発的な急増に言及した。

スーダンの医療システムは、長年の戦争と制裁の後で混乱に陥っている。全国的に保護具やスタッフが極度に不足しており、感染症のランクが上がるにつれて、医療従事者によるストライキが発生している。薬や通貨の大幅な供給不足は、病人が自費で必要な薬を購入することを余儀なくしている。燃料不足により、医師や患者が病院に行くことがますます困難になっている。

「これらはスーダン全域で起こっている問題ですが、ダルフールではさらに深刻です」と、保健省の緊急・疫学部の部長であるバビキール・エル＝マグブール博士は述べた。「まるで別の大陸のようです」

ダルフールのキャンプの多くは栄養不足に悩まされており、マラリアや急性水性下痢などの感染症で弱っている。アブシュウクのキャンプでは、1つのトイレが数十人で共有されている。キャンプ地の周辺では、増え続ける葬儀とともに、市場やモスクが人だかりを作り続けている。

人口900万人のダルフールには、医療施設は約600しかなく、これは人口1万5千人に1つの割合である。スペインほどの広さの施設が点在しているため、農村部の住民は施設にたどり着くまでに長距離を移動しなければならない。医師によると、検疫所には数十台のベッド、2～3台の人工呼吸器、保護具として安価なガウンと手術用マスクがあるだけだという。

ダルフール南部のニャラに新しい検査センターが今月オープンするまでは、首都ハルツームの1つの研究所に検査が集中していたが、そこでは1日に約270個のサンプルが処理されていた。ダルフールの保健ワーカーによると、結果が出るまでに1週間かかることもあるという。

その隔たりを埋めるために、地元の医師の中にはウイルスの被害を把握しようとしている人もいる。

エル＝ファーシルでは「謎の」死亡者が急増し、わずか2週間で200人以上も出たため、当局が調査を開始した。エル＝ファーシル大学医学部の副学部長であるタヘル・アーメド博士は、約50人の死亡者がCOVID-19に起因するとしているが、まだ実際の数よりも大幅に少ない可能性が高いと述べた。ダルフール西部と中部の医師たちもまた、死亡者の異常な増加を報告している。

放射線医師であるアブドラ・アダム博士は、エル＝ファーシルの近くのカブカビヤ周辺の村で、先月新型コロナウイルスの症状を示した後に死亡した知人を47人知っていると述べた。その中には彼の叔父が2人が含まれていると彼は言った。彼が知っているある家族は、同じ週に兄弟と姉妹を失った。

北部のいくつかのキャンプでは、1ヶ月に5人から10人という通常のペースと比較すると1日に10人から15人が亡くなっていると、複数のキャンプを管理する地元組織のスポークスマンであるアダム・リーガルは述べた。

「私たちは世代全体を失っている」と、ザムザムキャンプ責任者であるガマル・アブドゥルカリム・アブドゥラ氏は述べた。彼は先週70人の死者を記録したと語った。

「ダルフールでの急激な死亡率の増加は、完全にではないにしろ、ほとんどがCOVID-19と関連している」とエル・マグブール博士は述べている。

AP