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ガザの人々が野良猫・野良犬を救うためにタブーに挑む

26 Jul 2020
2020年7月13日月曜日、ガザ市の診療所で去勢手術のためにパレスチナの獣医が麻酔を注射する。(AP)
2020年7月13日月曜日、ガザ市の診療所で去勢手術のためにパレスチナの獣医が麻酔を注射する。(AP)
2020年7月13日月曜日、ガザ市の診療所で去勢手術のためにパレスチナの獣医が麻酔を注射する。(AP)
2020年7月13日月曜日、ガザ市の診療所で去勢手術のためにパレスチナの獣医が麻酔を注射する。(AP)
2020年7月13日月曜日、ガザ市の診療所で去勢手術のためにパレスチナの獣医が麻酔を注射する。(AP)
2020年7月13日月曜日、ガザ市の診療所で去勢手術のためにパレスチナの獣医が麻酔を注射する。(AP)
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Updated 26 Jul 2020
26 Jul 2020

ガザ市:貧困にあえぐガザ地区では、致命的な封鎖のためにほとんどの住民が生計を立てるのに必死で、野良犬や野良猫たちの苦難については見過ごされがちだ。

2006年にガザ地区で唯一の動物救助組織を設立したサイード・エル・エル氏は、この状況を変えようとしてきた。彼と他のボランティアたちは、車に轢かれたり虐待を受けたりした犬や猫を救助して看病し、健康な状態にまで回復させる活動をしている。しかし、その数はあまりにも多過ぎる。

そこで数週間前から彼らは、ガザ地区で初の避妊・去勢プログラムを立ち上げている。保守的なこの地区でのタブーに逆らう行為だ。パレスチナ地区では野生化した犬や猫がどこでも厄介者と見られているが、住民の多くは避妊や去勢はイスラム教で禁じられていると考えている。

「ここはイスラム教社会ですから、住民たちはハラル(許可)とハラム(禁止)について口にします」とエル・エル氏は述べた。「我々はどのようなことがハラルやハラムであるかを知っており、(動物たちが)通りに蔓延する状態になっているのはハラムです。車に轢かれたり、銃で撃たれたり、毒を盛られたりしてしまうわけですから」

イスラム教は動物たちに優しくあれと教えているが、避妊や去勢が有害であるか否かについてはイスラム聖職者たちの見解も割れている。アラブ諸国全般では、一般的に犬は不潔で危険性を秘めているとして避けられ、猫もそれほど良くは思われていない。

人道的な動物の扱いを呼びかけるエル・エル氏を始めとする活動家たちは、ガザ地区でのさらなる問題に直面している。ガザは2007年に武装組織ハマスがこの地区を掌握して以来、イスラエルとエジプトから封鎖されてきた。200万人の住民たちは、50%近い失業率、頻繁な停電、厳しい渡航制限などに苦しんでいる。

多くの人々が基本的な必要を満たすのにも苦労しており、動物介護などは貴重な資源の無駄遣い、よくても贅沢と見られる。エル・エル氏の組織であるスララ動物愛護組織は個人寄付に頼っているが、なかなか寄付してくれる人は現れない。

エル・エル氏の団体は傷ついた動物たちを見つけては病院へ連れて行くのだが、もはやその数に追い付いていかないという。「日々の負傷数は多過ぎて我々の限界を超えています」と彼は述べた。「そこで我々は、去勢手術という手段をとることにしたのです」

最近のある1日に、ボランティアたちは運び込まれた野良犬1匹と野良猫2匹の去勢手術を執り行った。ガザ地区には獣医のいる診療所はほとんどなく、動物病院に至っては皆無だ。そこで、きれいに消毒したペットショップの一角で彼らは自分たちで手術をしたのだ。

「我々は能力も器具も不足しています。特に整形外科手術に必要な器具がありません」とガザ地区の獣医であるバシャール・シェハダ氏は述べた。「手術に適した場所がないのです」

エル・エル氏は避妊・去勢手術活動を組織しようと何年も費やしてきたが、それは禁止行為だとする地元当局や獣医たちからの反対に会っていた。彼はやがて、イスラム教に基づく見解であるファトワーで、動物たちがそのまま増え続けて悲惨な状況や虐待に追い込まれるよりも避妊・去勢手術を施すほうが人道的だとする裁断を得ることができた。

ファトワーが発令された後は、公衆衛生・公衆安全の促進手段であるこの活動にガザ当局が反対することはなかったとエル・エル氏は述べた。ハマスが管理する保健省と農業省は獣医たちに対して、手術の実施や必要な物や薬の購入を許可したという。

ガザ市当局は今年になって、シェルターのための土地を支給してくれた。それ以前は、救助された動物たちをエル・エル氏の自宅と彼が別に借りた小さな2カ所の土地に匿っていた。

新たなシェルターには現在約200匹の犬が収容されており、その多くが失明や虐待による傷を負っていたり、車に轢かれて脚を失ったりしている。少なくとも1匹は義足での歩行に慣れつつある。別の区画には似たような状態の猫を収容している。

組織は動物たちの引き取り手を探そうとしているが、ここでも経済的問題と文化的問題に直面することになる。ガザ地区でペットとして犬を飼おうという人はほとんどおらず、猫の需要もほとんどない。世の中には海外から動物をもらい受けたり、餌や世話のためのお金を送金したりする人々もいる。

過去10年にわたり国際動物愛護団体は、苦痛を受けた動物たちをガザ地区の仮の動物園から避難させ、ヨルダン川西岸、ヨルダン、アフリカなどの保護区域へと移すべく無数の活動を実行してきた。

しかし犬や猫については同様の活動がなく、ガザ地区は3月から新型コロナウイルス感染拡大防止のために帰還住民を除くすべてから隔離されている。

エル・エル氏の電話が鳴り、1匹の犬が車に轢かれたと告げられた。

スララのボランティアたちは3輪オートバイの荷台に乗せてその犬をシェルターに運び込み、治療を始めた。このような電話が日々5件ほど入るのだとエル・エル氏は語った。

AP

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