Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • Home
  • 中東
  • ベイルートの新たな美術館、「無知に抵抗し、変化を起こす」

ベイルートの新たな美術館、「無知に抵抗し、変化を起こす」

ベイルート美術館。(提供)
ベイルート美術館。(提供)
Short Url:
01 Mar 2022 01:03:46 GMT9
01 Mar 2022 01:03:46 GMT9

ナジャ・フーサリ

ベイルート:有名なベイルート国立博物館のすぐそばに、新しい美術館の土台となる最初の礎石が置かれた。近現代美術の展示を行うユニークな美術館が誕生する予定だ。

竣工式には、レバノンのナジーブ・ミカティ首相をはじめ、政治家や文化人らが出席した。

美術館は2026年の完成を目指す。

リタ・ナモール氏と共同でベイルート美術館(BeMA)協会を設立したサンドラ・アブ・ナデル 氏は、美術館設立の意図について、「芸術は贅沢品ではなく平和への手段であり、私たちの文化や発展、生活の質、世界における役割を守るために必要だという事実に立脚している」と述べた。

アブ・ナデル氏によると、美術館は館名に同協会の名を掲げ、科学・活動・文化のための場となり、豊かで明るい未来を示し、将来の世代に文明的な遺産を残すことを目指す。

同氏は、「どれほどの戦争や混乱があろうと、文化や芸術の痕跡だけが、文明や国家を体現し記録に残せる。」

ナモール氏は、定礎は「 芸術家や文化機関と密接に協力する芸術・市民・文化教育のための場をつくるという、アブ・ナデル氏と一緒に7年以上を費やした計画が成就した瞬間だった。」と述べた。

さらに、「私たちが今日、これまでにないほど確信しているのは、美術館は変化する文化にしっかりと目を向け、私たちが生きる世界や、レバノンを中東の指標たらしめた価値観や信念を考慮に入れた場であるべきだということだ」と述べた。

美術館の建設地は、レバノンの名門セント・ジョセフ大学の敷地から割り当てられた土地で、国立博物館やフランス文化センター、鉱物博物館などの文化施設が集まる広場に位置する。

同大学のサリム・ダッカチェ学長は、「民間と公共部門の協力によって実現した。美術館設立に向けて、国内外の著名なレバノン人やその友人らが集まり、芸術や絵画への情熱、信念、愛、資金力を注いだ」と述べた。

さらに「世の中の過激思想と無知への抵抗である」と続けた。

美術館が直面している問題として、レバノンの美術品の杜撰な管理体制がある。その多くは文化省およびユネスコ会館の保管室に眠っており、また、かなりの数が民間へ売却されてしまっている。

しかし、美術館に作品を収蔵する計画は、基礎工事よりも先に進められていた。

同協会は、美術館の代理でレバノン文化省との協定に調印し、同省のコレクションの内、近現代作品を含むレバノン美術の先駆者たちによる絵画・彫刻約3000点を、国内外の専門家の監督のもとで保存・修復することを決定した。

美術館に貸与されるコレクションには、同国の歴史と発展が刻まれている。

BeMA理事会会長のジョー・サアディ氏は、次のように述べた。「BeMA美術館は、文化を通じて暴力や悲観主義、失望に立ち向かうプロジェクトだ。また、それ自体が、より寛容で創造的で持続可能な国や都市や社会を築くうえで、この上ない財産となる」

同協会を運営する理事会は、レバノンの遺産や伝統の保存と発展を重んじる民間部門の17人のメンバーで構成されている。

建築の設計を担当したのは、レバノン出身のデザイナーで元米国コロンビア大学工学部長のアマール・アンドラオス氏だ。文化交流を促すため、美術館の建物はドアのないデザインになる予定だという。

特に人気
オススメ

return to top