
アラブニュース
アンカラ:トルコのトップ医療機関は、国が直面する公衆衛生上の課題をうやむやにするため政府が重要なCOVID-19患者数を隠蔽しており、公表された統計値は「氷山の一角」である、と警告している。
7月29日以降、政府は救命救急や挿管された患者の数を明らかにしていないため、その機密保持の根底にある理由について恐怖と懸念が生じている。 トルコ医師会(TBB)会長のシナン・アドゥヤマン教授は、パンデミック統計値が保健省に都合のよい方法で公表されていたと述べた。
「だが、社会が利用できるようもっと多くのデータを公表し、数値に関してより透明性を高めるべきです」と同教授はアラブニュースに語った。「トルコは依然としてパンデミック対策が脆弱であり、政府当局者は残念ながら公衆衛生対策より経済的および政治的懸念を優先しています。」
トルコではすでにこの感染症のため約5,674人が死亡しており、公的な予防策が講じられない場合イードアルアドハーの期間中に感染者数は増加するとTBBは予想している。
「残念ながら、政府の時期尚早で管理不足な方策ゆえに、パンデミックを制御できておらずコロナウイルス関連の死亡者数は6月1日以降増え続けています」とアドゥヤマン教授は付け加えた。「現地職員から直接受け取った現地のデータは、保健省の公式発表をはるかに上回る現実があることを明らかにしています。」
トルコ政府の当局者は残念ながら、公衆衛生対策より経済的および政治的懸念を優先している。
トルコ医師会会長、シナン・アドゥヤマン教授
トルコのパンデミックはイスタンブールを中心としており、南東部のディヤルバクル県がそれに続くとTBBは主張している。
アドゥヤマン教授によると、数値を隠匿すれば国民は軽率に行動し健康危機の深刻さを無視する可能性がある。
公式発表された最新の数値は1日あたりのコロナウイルス感染者数が減少し、臨界しきい値である1,000人を下回ったとしている。しかしTBBはこの数値を認めておらず、1日あたりの感染者数は約4,000人に達しており政府が提供した数値は「氷山の一角」であると述べた。
「私たちは国内の社会的移動を制限する対策を講じるよう警告し続けていますが、徒労に終わっています。政府は6月1日までに正常化する対策を大変迅速に可決しました。トルコの現在罹患している症例数は世界標準の5倍に達しており、それはCOVIDの検査を受けて陰性になったものの臨床および放射線的な患者が実際に存在することを明らかにしています」とアドゥヤマン教授は述べた。
TBBはパンデミック発生以来、懸念を表明してきた。検査結果が陰性ではあるがコロナウイルスのすべての症状を発症している患者を数に含めず、陽性患者の統計のみを公表するなら、パンデミック抑制における全国的な努力は台無しになるであろうと述べた。検査は陰性でもCOVID-19の症状をもつ親族、隣人、または友人に対して社会的距離または隔離規則を守る必要がないと思い込んでいる国民に、全体的な状況を把握させパンデミックを抑制するため、この情報は重要だと考えられている。
世界保健機関(WHO)は、COVID-19の症例を識別するため重要な2つの規範を採用している。一方は臨床検査で確認された症例のため、もう一方は臨床または疫学的な診断のための規範である。WHOのガイドラインに反して、COVID-19における中東のホットスポットのままであるトルコは2番目の規範を採用せず、それによって感染者数を人為的に低く抑えている。
トルコは、6月11日にトルコ航空が国際便運航を再開した直後、抗コロナウイルス対策の一環としてイランとアフガニスタンへの便を運休した。 火曜日、ドイツはパンデミックの懸念を巡ってトルコへの旅行に対する警告を延長し、高リスク国のリストに加えた。