
アラブニュース
イスタンブール:礼拝中に予防策が厳守されなかったため、アヤソフィアでの礼拝がトルコでの新型コロナウイルスの新規感染を誘発したと、医療従事者が語った。
7月24日、約35万人がアヤソフィアとその周辺に密集した。ビザンツ帝国時代のランドマークであるアヤソフィアは数十年間博物館として機能し、その後再びモスクとなった。
国会議員やジャーナリストなどモスク内にいた500人の来賓の中には、この病気と診断された人もいた。モスク内でのソーシャルディスタンスやマスク着用は徹底されていなかった。
イード・アル=アドハーの連休の直後、新型コロナウイルスの新規感染者数は増加し始め、1日の感染者数は1000人を超えている。集中治療を受けている患者や、挿管されている患者の数を抑えるという政府の決定により、国のコロナウイルス感染の実態に対する懸念が高まっている。
アラブニュースが連絡を取った医療従事者によると、先月から感染状況は悪化しており、適切かつ厳しい予防策が講じられないままアヤソフィアでの礼拝が行われたことが、感染者数急増の一因になっているという。
「アヤソフィアの開放に続いて、政治家の間での多くの感染も耳にしている」と、匿名を希望する医師がアラブニュースに語った。「しかしそれは、彼らが健康であることを確認するために3日に1回の定期的な検診を受けているからだ」。
中央アナトリア地方、スィヴァス県の病院で勤務する医師は次のように付け加えた。「一般市民も同じように検査を受ければ、感染が見つかる確率は上がるだろう。このままの状態が続けば、病院には感染者しかいないという事態になってしまう。また医療従事者が辞職したり病気になったりして、病院での人員不足が起こる可能性もある」。
Ergin医師によると、フランシスコ教皇を含むイスラム教とキリスト教の世界の指導者らが名を連ねた「長いリスト」がアヤソフィア開放の礼拝に招待されたという。
小児心臓胸部外科医であり、ピッツバーグ大学医学部心臓胸部外科で助教授を務めるKocyildirim氏はアラブニュースに対し「この礼拝には誰も参加しなかったようだが、コロナウイルスだけがやってきてしまった」と語った。
Kocyildirim氏によると、レジェップ・タイップ・エルドアン大統領が翌週にアヤソフィアを訪問したことで、大統領を見たい、もしくは写真を撮りたい多くの人々が詰めかけ、建物内でソーシャルディスタンスのルールを守るのが難しくなったように見えたという。
「このような映像を見て多くの医療従事者は、ウイルスを封じ込めるために行ってきた数ヶ月の努力がこのような突然の行動で台無しになってしまうのではないかと動揺したと思う。信頼は確立されるまで時間がかかるが、一瞬で失われることもある」と同氏は付け加えた。
感染対策が緩和され、都市間での移動や多くの人が集まる結婚式が許可されるようになった6月の初め以来、アナトリアのいくつかの県で新規感染が急増し、パンデミックの影響を受けていると医療従事者らは注意喚起した。
政府による1日の感染件数の報告は一部の医療従事者やトルコ医師会(TTB)の間で争点となっており、実際の1日の感染者数は3,000人以上であるとの主張がなされている。
保健省は人為的に感染件数を減らし、観光と経済活動の正常化への道を開くために、近親者間の接触者追跡の一種であるフィリエーションの方法を無視していると批判されている。
「数千人の医療従事者が病気と戦っている中、またパンデミックで数十人もの国民が命を落とす中、誰もが、特に公的機関はもっと責任を果たすべきであった」と、主力野党である共和人民党の国会議員であり、医師でもあるMurat Emir氏がアラブニュースに語った。
「残念ながらアヤソフィア・モスクの開放中には、数千の国民がソーシャルディスタンスやマスク着用を重んじることなく集まった。アナトリアの様々な自治体がこの開放のためにバスツアーを企画したが、彼らが国内旅行に関して保健省が定めた公的認証を得ていたのか、移動中にソーシャルディスタンスを保って座っていたのかは誰にもわからない」。
Emir氏はソーシャルディスタンスが保たれていないこのような密集は、新型コロナウイルスの感染を広げるのに十分な環境となってしまうと注意喚起した。
公式発表によると、トルコでは現在までに5,858人が新型コロナウイルスによって死亡しており、EUが定期的に更新している安全な旅行国のリストにはまだ入っていない。