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行方不明の少年の死で明らかとなるフーシの子供兵徴用

2015年4月1日水曜日、サナアでの集会においてシーア派反政府勢力組織フーシが連合軍の空爆に抗議する中、武器を掲げる少年(AP)
2015年4月1日水曜日、サナアでの集会においてシーア派反政府勢力組織フーシが連合軍の空爆に抗議する中、武器を掲げる少年(AP)
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16 Aug 2020 04:08:14 GMT9
16 Aug 2020 04:08:14 GMT9
  • フーシは、現地および国際社会での批判をよそに、恥じることなく子供兵徴用を続けているとバルマン氏が語った

サイード・アルバッタティ

アルムカラ:15歳のアブドゥル・アジズ・アリ・アルダルハニが行方不明になった時、イエメンのダーリウ県の小さな村に住む彼の家族は同地のフーシ関係者を訪れ事情を尋ねた。イランの支援を受けている反政府組織フーシの返答はその少年の消息について何も知らないというものだった。

少年の家族はそのフーシ関係者の返答は虚偽だと確信していた。少年が行方不明になる前に地域のモスクで開催されていたフーシの宗教的集会に出席していたからである。家族はソーシャル・メディアにアルダルハニ少年の画像を投稿し少年の保護への支援を懇願した。

少年について何も情報がないと述べていたにも関わらず、10日後には地域のフーシ幹部が家族に電話し、少年の「殉教」への祝いの言葉を告げた。

イエメンの人権擁護家でアメリカン・センター・フォー・ジャスティスのディレクターを務めるアブドゥラマン・バルマン氏は、アルダルハニ少年の消息について調査行い、その結果、少年はフーシによって洗脳され、戦闘に送り込まれ、殺害されたことが明らかになったと述べた。

バルマン氏は、彼の調査によってフーシが活発に子供兵を徴用していることが明らかになったと付け加えた。

「フーシに参加するまでは、人懐こく、誰とでも打ち解ける少年でした」と、彼はアラブニュースに語った。

モスクでの集会に参加し、ジハードとフーシ運動の創始者であるフセイン・アルフーシについての講義受けるようになって、アルダルハニ少年は家族や友人から距離を置くようになった。誰に何を告げることもなく少年は家を出て、家族を恐怖とパニックの中に置き去りにしたのだった。

「フーシは徴用した子供たちにニックネームをつけて、彼らがもう戦うことのできる大人だと思い込ませようとします」と、バルマン氏は言い、アルダルハニ少年は一切の軍事訓練無しに最前線に送り込まれたことが分かったと付け加えた。

「少年はすぐに殺されてしまったのです」と、バルマン氏は述べた。

フーシは、アルダルハニ少年の遺体をスローガンの書かれた布で包み、長い葬列を組んだ。フーシの広報メディアは、現地のフーシ関係者のコメントを引用して、アルダルハニ少年はイスラエルやUSその他の敵と戦った「英雄」であると報じた。

バルマン氏は、フーシは、現地および国際的な批判をよそに、恥じることなく子供兵徴用を続けていると語った。

「フーシ運動では子供兵の死が得意気に語られています。フーシ関連の権利活動家の一部には、亡くなった子供たちを『英雄』や『殉教者』と表現する者すらいます」。

イエメン政府当局者や人権団体、また、この問題に関連する専門家は、アルダルハニ少年の件は氷山の一角に過ぎないと言った。フーシは、費用が増大し続ける戦争のために兵士の数を底上げしようと、過去5年間で、何千もの子供たちを徴用したとされている。

Rasd連合として知られるイエメン人権侵害監視連合は、フーシが支配下にある人口の多い地域からこれまでに7,000人の子供を徴用してきたと最近発表した。

イエメンの紛争アナリストであるナドワ・アルドサリ氏は、アラブニュースに、イエメン国内の子供兵徴用の多くはフーシによるものであり、この武装組織は最前線に子供たちを送り込むために特定の方策を用いていると語った。

「フーシは子供兵の徴用に積極的です。国連によれば、イエメン国内の子供兵の70%はフーシによって徴用されています。フーシは、モスクにおいてあるいは宗教的な活動を通じて、子供たちを洗脳し戦闘に誘い出すのです。往々にして家族に知られることもなく」と、彼女は述べた。

戦場では、徴用された子供たちは戦闘や兵站活動に従事するが、一部はスパイ活動を行う。アルドサリ氏は、フーシが子供兵の徴用を誇示する理由の説明にはフーシのイデオロギーの理解が役立つと言う。

「フーシは、政治的目的達成のためであれば流血を躊躇わない過激な聖戦士グループです。彼らは、アブドルマリク・アルフーシとハーシム家の血統がイエメンを永遠に支配することを確実にしたいのです」と、彼女は語った。

リハビリテーション・センター

2017年、サルマン国王人道援助救援センターが、イエメンの兵士たちの社会復帰のための機関をマアリブ市街地中心部に設立した。このセンターはこれまでに480人の子供兵の回復を実現している。センター長のムハンマド・アルクブティ氏は、アラブニュースに、子供たちは、通常、経済的または社会的誘因によって、引きずり込まれるように組織に参加させられてしまうと述べた。参加を志願し給与、武器、食事が与えられる子供たちもいれば、武器を取ることを強いられる子供たちもいるという。「子供たちは感化されやすく、彼らの徴用は安価に済みます。武器の操作もすぐに覚え、指揮官に忠実でもあるのです」とアルクブティ氏は付け加えた。

2015年4月1日水曜日、サナアでの集会においてシーア派反政府勢力組織フーシが連合軍の空爆に抗議する中、武器を掲げる少年(AP)

 

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