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米、イラン制裁の全面復活手続き開始、欧州同盟国を「テロリストの味方」と非難

2020年8月20日国連安保理理事国の会合を終えた後、記者会見に応じるアメリカの マイク・ポンペオ国務長官。(Mike Segar/Pool via AP)
2020年8月20日国連安保理理事国の会合を終えた後、記者会見に応じるアメリカの マイク・ポンペオ国務長官。(Mike Segar/Pool via AP)
マイク・ポンペオ国務長官は国連安保理議長国に通知を送り、対決姿勢を明確にした。国連で最も重要な存在で強力な役割を果たす安保理の信頼性が揺らぎかねない。(ロイター/資料写真)
マイク・ポンペオ国務長官は国連安保理議長国に通知を送り、対決姿勢を明確にした。国連で最も重要な存在で強力な役割を果たす安保理の信頼性が揺らぎかねない。(ロイター/資料写真)
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21 Aug 2020 09:08:43 GMT9
21 Aug 2020 09:08:43 GMT9
  • アメリカのポンペオ国務長官はイランがIAEA査察団の受け入れを拒否したことを非難。以前イランの核開発計画が進められていた施設で、核開発が秘密裏に再開されているとの疑惑がある
  • アメリカに制裁復活を要求する権利があるとみなす安保理理事国はない

レイ・ハナニア

シカゴ:アメリカのマイク・ポンペオ国務長官は8月20日、イランに対する国連制裁を全面的に復活させる手続きを開始したと国連に通知し た。2015年に国連安保理決議2231の下で承認されたイラン核合意(正式名称は包括的共同作業計画:JCPoA)を受けて解除されたものだ。

ポンペオ長官がイランに「一方的に」有利だとする国連決議には、イランが合意内容を遵守しない場合直ちに制裁を復活させることを可能とする条項が盛り込まれている。

国連のグテレス事務総長と安保理議長国双方に宛てた書簡の中で、ポンペオ長官は30日以内に制裁を復活できる「スナップバック」という決議に盛り込まれた手続きを開始すると述べた。

「アメリカのメッセージは非常にシンプルだ。世界最大のテロ支援国家が飛行機・戦車・ミサイルなどの通常兵器を自由に売買することは決して認められない。国連制裁を復活させて武器禁輸措置を継続する」と20日に国連で開かれた記者会見で述べた。

「制裁を復活させることで、イランは核以外の不法行為に対する説明責任も果たさざるを得なくなる。イラン核合意が成立した際に愚かにもないがしろにされた事柄だ。イランによる弾道ミサイル実験は再び禁止されることとなる。核濃縮を含めた核開発を継続しているため、制裁を復活させねばならない。核兵器開発計画への転用が可能な内容だ」

ポンペオ長官はイランがIAEA査察団の受け入れを拒否したことを非難した。以前イランの核開発計画が進められていた施設で、現在秘密裏に核開発が再開されているとの疑惑が持たれている。

長官はドイツ・フランス・イギリスなど同盟国が武器禁輸の継続について内心は賛同しているが、表立って「スナップバック」手続きの開始を支持することは拒否したことを認めた。同盟国を「テロリストとの共生を選んだ」と非難し、この姿勢は「リーダーシップの欠如」「融和政策」だと述べた。

「同盟国の独仏英3カ国は武器禁輸措置の解除を望んでいないと非公式に伝えてきた」とポンペオ長官は主張した。

「しかしながら今日この日まで結局、何の代替案も選択肢も示していない。決議案を提出するような勇気や信念を持つ国はアメリカだけだ。我が同盟国はテロリストの肩を持つことを選択した。独仏英の取った行動は、イラク・イエメン・レバノン・シリア国民、さらには自国民の命さえも危険にさらすものだ」

代わりにポンペオ長官は湾岸協力会議(GCC)加盟国をイランのテロ政策に対し「勇気と団結を示した」として称賛した。

「2週間前にバーレーン・クウェート・オマーン・カタール・サウジアラビア・アラブ首長国連邦(UAE)の6カ国が、10月の期限切れを前にして武器禁輸措置の更新を求める書簡を安保理に送付した」とポンペオ長官は述べた。

「イランを隣国として抱えているため、この6カ国はイランが武器を売買することで起こり得る混乱について誰よりも熟知している。世界各国、特にアメリカの同盟国であるヨーロッパの安保理理事国は、湾岸協力会議加盟国の声に耳を傾けるべきだった」

ポンペオ長官は国際社会に対しアメリカと行動を共にし、制裁を再開して「イランの不法行為を全面的に取り締まるためのさらに効力の強い協定を策定する」よう求めた。

制裁再開を求める新決議は、安保理決議2231の「スナップバック」条項に基づき国連安全保障理事会に提出されると述べた。

ポンペオ長官は一部の国連加盟国がこの動きに反対する可能性があることを認めたが、「他国が下す決定について内政干渉はしない。自ら決定を下さねばならない。しかし誤解しないでもらいたい。武器禁輸を解除するのは大きな過ちだ。狂気の沙汰だろ?さらにおそらくイランを除いて、武器禁輸を解除するのが賢明だと考えると内々に伝えてきた国はない」

ポンペオ長官はさらに、1985年以降イランは欧州だけでも「全域でテロ活動」を行っており、商用ジェット機をハイジャックし、「無実のヨーロッパ人」を自爆攻撃で殺害し、現地にいる反体制派を暗殺し「ユダヤ教の礼拝所を爆破する」計画を立てていると述べた。

「イランには武器を売買する能力がなく、信用に値する国ではない。従って全世界に対し団結するよう強く要請する。安保理決議2231に則り、武器禁輸措置を継続するためあらゆる手段を取る。武器禁輸措置が解除されることのないよう全力を尽くしていく」

トランプ大統領は2018年5月に声明を出し、アメリカが2015年のイラン核合意から離脱し経済制裁を再開すると発表した。

ポンペオ長官は仮にもイランが「まともな国として行動する」するならば、米国はその手を緩めるだろうが、イランがそうする可能性は「考えにくい」と述べた。

「当たり前の国として行動するとの完全な合意がイランとの交渉で得られ、アメリカが要求したことが忠実に実行されれば、対話をする準備は相当前からできている」と述べた。

「それが達成できるのであれば、今回の動きの撤回を検討する段階へと移る。今後31日以内に実現する可能性は低いが、外交に携わる者として、私は決して希望を捨てることはない」

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