
スアダッド・アル=サリ
バグダット:イラクのアーデル・アブドゥル=マフディー首相の報道官は日曜日、同首相はデモ参加者の要求に応じず、辞任せずに同国が内戦状態に陥ることを自ら防ぐ考えであることを発表した。
バグダッド及びその他のシーア派が多く住む南部の7地域で、今月の頭から大規模なデモが発生しており、汚職、高い失業率、及び基本的な公共サービスの欠如に対する抗議が展開されている。
イラク政府とイラク政府を支援する勢力による厳格な取り締まりによって、デモの1週目で警備要員を含む少なくとも147人が死亡し、7,000人以上が負傷したことを受け、抗議活動は鎮静化した。
しかし、イラクの部隊がデモ参加者に対して実弾を使用しない旨を宣言したことを受けて、金曜日抗議活動が再開された。
イラクの独立高等人権委員会によると、実弾不使用の約束にも関わらず、過去3日間で少なくとも74人が死亡し、3,600人以上が負傷したとのことだ。
こうした暴力を受けて、抗議活動家は要求内容を強めている。アブドゥル=マフディー首相とその内閣の辞職、選挙法の改正、及び選挙のやり直しを求めているのだ。
首相が辞任を頑なに拒否していることから、暴力の連鎖は続き、シーア派の異なる勢力間で衝突が発生する危険性も増加することが予想される。
「アブデル=マフディー首相は、この極めて重要な難局において辞任することはありません」と、同首相のサアド・アル=ハダイティー報道官は日曜夜イラクの地元テレビ局に対して語った。「内閣が辞職すると、国内は危険な状態になる可能性があります。国内平和が失われ、国が混乱状態に陥る危険性があることを警告します。
「首相は、デモ参加者からの正当な要求にはこれからも応えていき、制御不能な状況になることを許さない考えです」
バグダッドで発生した人的被害の主な原因は催涙ガスで、その他の地域ではデモ参加者がイランの支援を受けた政党の本部への襲撃を試みた際の衝突が主な原因だったと、保安当局者と目撃者が『Arab News』に対して語った。
アブドゥル=マフディー首相は、数十万規模の雇用創出、汚職裁判の加速化、及び貧困家庭への支援強化を約束することで、抗議活動を鎮静化することを試みた。
2週間抗議がない状態が続いたが、こうした約束で抗議活動を鎮静化する試みは失敗に終わり、特にシーア派が多く住む地域において、デモ参加者は街頭に戻り、人々の間でもデモに同調する声が強まっている。
同首相が辞任を拒否していることの背景には、同首相の地元及び地域の支援者の立場が指摘できる。アブドゥル=マフディー首相を支援する数人のイラクの政治家は『Arab News』に対して、大きな権力を持つイランの軍司令官であるガーセム・ソレイマーニー将軍からの指示で、今回の危機が終結するまではアブドゥル=マフディー首相を辞任させない旨の合意がなされたことを明かした。
イスラム革命防衛隊のゴドス軍を率いるソレイマーニー将軍は、バグダッドで1回目のデモの発生時に参加者の弾圧を主導したとして非難を集めている。
「政権に加わっている全てのイラクの政党には、アブドゥル=マフディー首相をこの時点で辞任させる手を一切講じてはいけないとの明確な指示が届きました」と、アブドゥル=マフディー首相に近い、政府顧問を務めるシーア派の実力者が『Arab News』に語った。
「今回の危機(抗議活動)の最初の数日の間に、デモを鎮静化して時間稼ぎするために首相に対して辞任を要求することを提案しましたが、ハッジ(ソレイマーニー将軍)はそれを拒否したのです。
「同氏(ソレイマーニー将軍)は実力を持つ政治家のほとんどを前にして、アブデル=マフディー首相を最後まで守り抜くこと、そして抗議のせいで彼が失脚することを防ぐことに全力を傾けると言いました。
「同氏は、今回の危機が終わればすぐにアブドゥル=マフディー首相の辞任に同意すると言いました。それは2ヶ月後くらいでしょうか。アブドゥル=マフディー首相もそれを知っていて、それに同意していました」