
Najia Houssari
ベイルート:レバノンのミシェル・アウン(Michel Aoun)大統領は8月31日を、ハッサン・ディアブ(Hassan Diab)政権の後任として新首相を指名するための拘束力のある議会協議を行う日とした。
8月31日は、ベイルート港での爆発事故を受けて行われたエマニュエル・マクロン フランス大統領の8月6日のベイルート訪問に続く2度目の訪問と重なる。
マクロン大統領はレバノンの指導者に対し、国際社会がレバノンを支援できるよう、新政府の樹立を加速させ、必要な改革の実施に着手するよう促していた。マクロン氏は、これまでに達成されたことを検証するため、9月1日にレバノンを再度訪問すると述べていた。同氏のレバノン訪問は、フランスの支援の下で大レバノン宣言が行われてから100周年を迎える時期と重なる。
フランス大統領府の関係者によると、マクロン氏の2度目のベイルート訪問は「レバノンの政治指導者に圧力をかけ、緊急の改革を実行できる政府、国際社会の信頼を得ることができる政府の形成に向けて前進することを目的としている」という。
同関係者は「マクロン大統領はあきらめない。大統領は必要なことは何でも行い、改革プログラムの実現に向けて圧力をかけることを約束した。レバノンの政党は一時的に身を引いて、変革を達成するための政府の形成を確実にする時が来た」と付け加えた。
8月10日に辞任したディアブ政権の後任としてだれを政権のトップに任命できるかは明らかになっていないが、タマム・サラム(Tammam Salam)元首相は情報筋によると、現段階では政権復帰を望まないと表明している。先週、サード・ハリリ(Saad Hariri)前首相は、ナジブ・ミカティ(Najib Mikati)元首相と同様に、新政権を率いることを希望しないと発表した。
元首相に近い情報筋がアラブニュースに語ったところによると、アウン大統領に政治的権限を与えないという決定があり、アウン大統領との深刻な政争を踏まえ、月曜日の協議への同大統領の招待にだれが応じるのかを待たなければならないという。
進歩社会党のワリド・ジュンブラット(Walid Jumblatt)党首は「協議の呼びかけが遅れ、ターイフ合意に違反した後、一部の政治勢力はすでに新しい憲法を検討しているようで、中には声高に新憲法を求めている政治勢力もある」と述べた。
ジャンブラット氏は、協議が月曜日に行われることを決定したのは、「フランス大統領が火曜日に訪問するため、面目を保つためだ」と主張した。
同氏は、フランスのル・ドリアン(Le Drian)外相が言ったことを振り返り、もし最低限の改革も行われないなら、レバノンは「消滅の危機に瀕(ひん)している」と述べた。
ジュンブラット氏はさらに、「どの政党もこれから任命される首相のいかなる指名にも事前に異議を唱える権利を持っていない」と付け加えた。同氏は続けて「電力部門とその複雑なとらえ難さに始まる改革の回避はもう十分だ。現行法に基づく早期の議会選挙の実施は、同じ支配階級の中での交代なので何の価値もない。私の勧告は『レバノンの改革は魚にとって水のようなものである。水がなければ魚は死に、改革がなければレバノンは死ぬ』だ」と述べた。
アウン氏は、ハリリ氏を次期政権のトップに指名するというナビ・ベリ(Nabih Berri)国会議長の提案に異議を唱え、ヒズボラは、ハーグの国際司法裁判所の裁判官ナワフ・サラム(Nawaf Salam)氏に加え、レバノン中央銀行の副総裁とマネーロンダリング対策を行う特別調査委員会のトップを務めたMohammed Baasiri氏の指名に異議を唱えた。
議会協議は、大統領が設定したスケジュールに従って、月曜日を通して行われる予定。議会の各グループは、新首相の指名について、それぞれの立場を決定するための会議を開催した。
一方、アラブ部族の若者とヒズボラ支持者との間で一晩、緊迫した状況が続いた後、カルデ(Khaldeh)には静けさが戻ってきた。衝突で部族のハッサン・ザヘル・ゴーン(Hassan Zaher Ghosn)氏と同地区に住むシリア人のマフムード・ユセフ(Mahmoud Youssef)氏の2名が死亡した。
アラブ部族がゴーン氏の葬儀を行っている間、レバノン軍はカルデ(Khaldeh)の警備を強化した。葬儀の間、空に向けて銃が撃たれていた。