
ワシントンDC:米国は9月8日(火)、レバノンへの制裁措置を拡大し、元財務大臣と元運輸大臣を要注意人物に指定して、彼らについて、イランが後ろ盾となっているシーア派グ ループ、ヒズボラに物資的財政的援助を提供していたと糾弾している。先月にはベイルートで大爆発事故が起こり、レバノンを窮地に陥れたところだ。
「レバノンでは汚職がはびこり、ヒズボラはそうした政治体制を逆手にとって極めて有害な影響力を拡散している」スティーブン・ムニューシン米財務長官がそう声明を出し、レバノン政府のユースフ・フニヤーヌースとアリ・ハッサン・ハリルの二人の元閣僚を要注意人物に指定することを発表した。
「米国はレバノンの改革にあたり、その国民を支援し、彼らを虐げ甘い汁を吸う者たちに対して今後とも我々の権力を行使していく」と続けた。
この動きによって、二人の元閣僚の米国資産が凍結され、米国人による彼らとの取引は禁止される。彼らとなんらかの取引を行う人間に対しても、二次的制裁が施されると財務省は 言う。
レバノンのラフィーク・アル=ハリーリー首相の暗殺から15年経った今、ヒズボラはレバノンの支配的な存在にのし上がり、同国は現在深刻な危機に次々と見舞われて崩壊の一途をたどりつつある。
8月4日の大爆発では約190人が死亡、6千人以上が負傷し、地中海都市ベイルートが広範にわたって破壊され、深刻な財政危機に追い打ちをかけることとなった。
当局によると、その大爆発は港の倉庫に何年もの間放置されていた約2,750 トンの硝酸アンモニウムが原因だという。
米国政府はフニヤーヌースについて、ヒズボラから「何十万ドルという」資金を政治的優遇と引き換えに受け取っていたと非難する。フニヤーヌース元運輸大臣は、ヒズボラ系企業が公共事業の入札で落札できるよう、ヒズボラが政府の予算を流用させていた高官たちの一人だと言う。
米財務省はさらに、フニヤーヌースがレバノン特別法廷に関する法的機密文書にヒズボラがアクセスするのを手伝い、ヒズボラと政界仲間との間の仲介役を務めていたとも言う。
また、アリ・ハッサン・ハリルは今年まで財務大臣を務めており、ヒズボラが財務上の利益のために関係を利用してきた高官の一人であり、彼は米国の制裁をかわすような方法で資金を動かしていた、と米財務省は非難する。
米国政府はハリルが財務大臣の立場を利用してヒズボラに制裁緩和を提供し、政府公共事業の契約から直接彼になんらかの個人的手数料を支払わせていたという。
ロイター