

アラブニュース
ロンドン:イスラエルとの平和条約「アブラハム合意」が調印されたことで、包括的な中東平和実現の見通しが高まる、とUAEの外相が9月29日に述べた。
シェイク・アブドラ・ビン・ザイード外相は、今月ワシントンで米国の仲介により調印された和平協定により、イスラエル占領下のヨルダン川西岸地区の併合が凍結されたと述べた。
「1967年に定められた国境線に従い東エルサレムを首都とする独立したパレスチナ国家の樹立を求める声は、国連決議に則ったもので、アラブ諸国と国際社会は共に引き続き断固としてこれを要求する」とシェイク・アブドラ外相は国連総会で語った。
「我が国はあらゆる外交ルートを通じ、パレスチナ自治区の併合を絶対容認しないことを明確にするため、努力を重ねてきた。全当事者に対し、ヨルダン川西岸の併合はパレスチナ地域の安全保障に悪影響を与えると警告し続けている」と付け加えた。
アラブ首長国連邦(UAE)とバーレーンは、ホワイトハウスで和平協定に署名したことで、イスラエルとの国交がある数少ない第3・第4のアラブ諸国となった。
シェイク・アブドラ外相はビデオメッセージで、UAEは今回の合意によりパレスチナ人とイスラエル人が「和平交渉を再開する」機会が開けるよう望んでいると述べた。
「パレスチナの人々を支援し、2国家共存によるパレスチナ問題の解決を支持するというUAEの立場は不変だ」と述べた。
The signing of the historic #UAEIsrael #PeaceAccord, with American support, put a freeze on the annexation and opened broad prospects to achieve comprehensive peace in the region.
— UAE Mission to the UN (@UAEMissionToUN) September 29, 2020
H.H. Sheikh Abdullah bin Zayed Al Nahyan explains why this is beneficial for all. pic.twitter.com/ShdetkB0WK
イスラエルとの和平合意により開かれたチャンスについて、シェイク・アブドラ外相は、合意により確実に「パレスチナ地域に新たな知恵や視点がもたらされ、次世代の人々が繁栄のうちに暮らす道筋を作るためUAEは尽力する」と述べた。「これからの世代には政情が安定した状態で、戦争や貧困で苦しまずに暮らす権利がある」
シェイク・アブドラ外相は演説を利用し、UAEがペルシャ湾岸の3つの島に対し「正当な主権」を持つと繰り返し主張した。この3島はイランの占領下にある。
イランは1971年に「国際法に著しく違反し」で大小トンブ島、アブムサ島を支配下に置いた。
さらにアブドラ外相はイランに対し、弾道ミサイルの開発とテロ組織への武器提供をやめるよう要求した。
世界の主要国とイランの間に結ばれた「核合意により、望ましい結果が得られなかったことが明白なため」イランに課せられた制限がまもなく解除されることをUAEは強く懸念していると、外相は述べた。
シェイク・アブドラ外相は、アラブ問題に干渉している国々をより幅広く非難した。
「イエメン・シリア・リビア・イラクなど紛争の火種となり問題を抱えるアラブ地域に対し、アラブ地域とソマリ半島を再び支配し植民地にしようと目論む国々があからさまに介入しており、血で血を洗う戦いが起きている」と述べた。
イランだけでなく、リビアなどの各国への軍事的関与を強化したトルコに対しても、アラブ諸国はますます懸念を強めている。
UAEはリビアへのトルコによる軍事介入に深い懸念を抱いており、これについて「アラブ地域の問題に不当に干渉するものであり憂慮している。人道危機を悪化させ、平和的解決を実現する努力を弱体化させ、地域全体を不安定化させている」と外相は述べた。
イエメン関し、UAEはサウジアラビアが平和を回復するため払った努力を称賛し、リヤド協定への支持を改めて表明し、持続可能な解決策としてイエメンの国家統一を求めた。
「我が国はイエメンの安定が回復されると強く信じている。特に現在は国連の監視下にあり、完全な停戦と恒久的な政治解決が実現する可能性がある」
シェイク・アブドラ外相は、国連安保理の非常任理事国(任期:2022年~2023年)にUAEが立候補すると発表した。
その一方でオマーンは、パレスチナの人々を支援し、東エルサレムを首都とする独立したパレスチナ国家の樹立を求めると強く述べた。
オマーンのバドア・アルブサイディ外相も、イエメンの各当事者に対し、紛争を平和的に解決するため国連が仲介する対話に参加するよう求めた。
さらにオマーンは国際社会に対し、レバノンの復興作業を支援し、悲劇的な爆発事故の影響から回復できるよう援助するよう求めた。