
バグダッド:イラクから軍や外交官を撤退させるとの米国の「危険」な脅しは「遺憾である」と、イラクのファード・フセイン外相が水曜日に表明した。
イラクの政府や外務省の複数の筋がAFPに語ったところでは、マイク・ポンペオ米国務長官が先週、米国人に対して多発する攻撃をイラク政府が阻止しないのであれば、米国職員をイラクから撤退させるとの最後通告を出したという。
「米国の撤退は、(抵抗する過激派勢力と戦う米国主導の多国籍軍構成諸国の)さらなる撤退に繋がる」恐れとなり、「IS組織がイラクのみならず地域全体にとっての脅威であることを考えればこれは危険」であるとフセイン外相は述べた。
彼は「米国には決定の再考を望む」とし、それが現時点で唯一の「対応策」だと付け加えた。
「米国政府にはこれをベンガジ事件に匹敵するものと捉えている人々もいるが、それは誤った分析であり、今回の決断も同様に誤りだ」とリビア第2の都市ベンガジで起きた事件に言及しながら彼は述べた。
2012年にベンガジで、反米デモ集団の中のイスラム過激派が米領事館を襲撃し、駐リビア米国大使を含む4人の米国職員が殺害された。
イラクでは2019年10月から今年7月にかけて、米国大使館や米軍駐留基地を標的とする約40発のロケット弾が発射された。
8月にムスタファ・アル・カディミ首相がホワイトハウスを訪問して華々しく歓迎されて以降、攻撃は著しく増加していた。
わずか2カ月の間にさらに40回の攻撃があり、標的は大使館や軍事基地のみならず、米国や多国籍軍と契約するイラクの補給部隊にまで拡大していった。
「外国大使館への攻撃はその防護義務を負う政府への攻撃だ」とイラク外相は述べた。
最近の攻撃はほとんど名の知られていないシーア派武装組織によるものが多い。スンニ派過激組織ISとの戦闘中に、無数のシーア派組織が隣国イランから装備や訓練を供給されて武装したのだ。
武装組織はカディミ首相をこれまでの首相に比べて親米であると捉え、敵と定めている。
その危険性は明確で、月曜夜にバグダッド空港を標的としたロケット弾が付近の民家に着弾し、一家のうちの子供5人と女性2名が亡くなった。
今はまだ何百名もの米外交官がバグダッド内のセキュリティーを強化した「グリーンゾーン」で任に就いており、イラン国内3カ所の軍事基地には約3000名の部隊が駐留している。
AFP