
サイード・アル=バターティー
【ムカッラー】アラブ有志連合軍が支援するイエメン治安部隊は2日、東部マフラ県[原文ではwestern provinceとあるがマフラ県はイエメン最東部]県都のガイダ市にあるアル=カーイダの隠れ処を襲撃、戦闘員3人を殺害し2人を捕虜とした。地元メディアの報道および地元住民の報告による。
2日未明には大規模な爆発がいくつも続き、ガイダ市内の多数地点を揺るがした。この時点で治安部隊による建物内への襲撃がおこなわれ銃撃戦となっていた。
「爆発が起こって街が揺れはじめたのが午前2時半前後。その後9時間続きました」。アラブニュースの電話取材に対しそう語るのは、匿名希望の地元住民。治安当局が地域を封鎖し、住民は自宅を出ることができなくなっているともいう。
軍部隊および治安部隊は県内への入境ポイント各所での治安対策および検問も強化している。地元メディアの報道によれば、治安部隊がアル=カーイダがひそむ建物を攻撃する間際、ひとりの戦闘員が爆発物を装塡したベルトを炸裂させ自爆、ほかに2人も巻き添えにしたという。
治安部隊による攻撃を受け、戦闘員2人が投降したと地元メディアは伝える。マフラ県のムハンマド・アリー・ヤースィル知事はアラブニュースの電話取材に応答がなかった。
イエメン国内のアル=カーイダは、「アラビア半島のアルカイダ(AQAP)」とも称される。アラブ有志連合軍の支援するイエメン政府軍が2016年前半に多数メンバーを殺害、イエメン南部の主要拠点から追い払い、壊滅的打撃を受けている。イランが後見するフーシ派は南東部ハドラマウト県県都ムカッラー市などのイエメン南部の主要都市を制圧するなど軍勢を拡張しはじめ、これを受け2015年、無政府状態に陥り治安が維持されなくなった空白に乗じてAQAP戦闘員が入りこんでいた。
捕虜交換
国際社会が承認するハーディー政権と独立志向の南部暫定評議会(STC)は1日、今年の戦闘で拘束中の捕虜数十人の交換をおこなった。
地元軍幹部はアラブニュースの取材に対し、今回の交換で、軍はSTC側の21人を解放、引き換えに37人の軍人を解放させたとしている。この中には、アブヤン地区第115旅団指揮官のサイフ・アル=グーフィシュ准将もふくまれるという。同幹部は「調停は成功、捕虜交換はアブヤンのシャイフ・サーリム地区でおこなわれた」としている。
ハイライト
大規模な爆発がいくつも続き、ガイダ市内の多数地点を揺るがした。この時点で治安部隊による建物内への襲撃がおこなわれ銃撃戦となっていた。
5月には軍部隊がSTC側に大規模攻撃を仕掛け、南部アブヤン県を舞台に死闘が繰り広げられていた。この戦闘では双方部隊に数十名の死者が出た。政府軍STC側ともに激しい戦闘を展開したが、双方ともがさしたる突破口は見出せずじまいだった。目下、リヤド合意による停戦合意の監視のためサウジ主導の軍事委員会がアブヤン県内の紛争地域入りしている。
決意表明
イエメンのムハンマド・アリー・アル=マクダシー国防相(中将)は1日、軍および同盟関係を結ぶ部族集団はイエメン国内のイランの画策を未然に防ぐとともに、国際社会が承認する政権に対するフーシ派による権力奪取に終止符を打つことを決意した、と発表した。
マクダシー国防相は北部ジャウフ県の解放地域の視察中、アラブ有志連合軍がイエメン軍へ軍事支援をおこなっていることに謝意を示した。また、マリブ県、ジャウフ県、バイダー県下の部族集団が軍部隊の援軍に入り、フーシ派との間で続く戦闘に参加したとも語った。
「わが国民が勝利し、フーシ派およびイランの計画は行き詰まる。今日われわれはその自信をさらに深めた」とマクダシー氏は語ったと、イエメン国営通信(SABA)は伝えている。