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「新しい共和制」への改憲投票でアルジェリアが分裂

憲法の国民投票の準備が進む中、アルジェでの反政府デモ中に国旗を振って行進するアルジェリアの人々。(AFP通信)
憲法の国民投票の準備が進む中、アルジェでの反政府デモ中に国旗を振って行進するアルジェリアの人々。(AFP通信)
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03 Oct 2020 04:10:38 GMT9
03 Oct 2020 04:10:38 GMT9
  • 「当局は国民を無視して、専門委員会や専門家を通じて憲法を作る作業を続けている」

アルジェ:アルジェリアは、「新しい共和制」をもたらし、自由を推し進めると政府が主張する憲法の国民投票に向けて準備を進めているが、野党は抑圧的な政権によるまやかしだとはねつけている。

11月1日の投票まで1か月となる中、失業者が急増する深刻な経済危機の中で苦しんでいる一般のアルジェリア人の多くは、政府の提案の専門的な詳細を知らないようだ。

野党指導者たちは、アブデルマジド・テブン大統領の最も重要な取り組みは、この北アフリカの国(アルジェリア)に意味のある政治的変化をもたらすものではないと述べている。

アルジェリアで最も古い野党である社会主義戦線(FFS)のジャマール・バホール(Djamal Bahloul)氏は、「これは国民の主権に対するもう1つのクーデターです」と語った。

「当局は国民を無視して、専門委員会や専門家を通じて憲法を作る作業を続けている」
「ヒラク」と呼ばれる前例のない抗議運動が2019年2月から動員され、同年4月には数十万人規模で人々が集まり、20年の長期に渡りその地位にあった支配者アブデルアジズ・ブーテフリカ氏を辞任に追い込んだ。

12月に行われた大統領選挙ではテブン氏が勝利したが、抗議運動は大統領選をいんちきと嘲笑し、投票をボイコットした。投票率は公式発表でさえ40%に満たなかった。

テブン氏はブーテフリカ氏の下で首相を務めており、抗議者たちは、彼らが解体を望んでいる旧体制の象徴と見ている。

平和的なデモは続いていたが、社会的距離を置く必要があるため、今年初めに路上へのデモ隊の動員は幕を閉じた。

テブン大統領は大統領としての権限を強化することを目指し、ブーテフリカ氏が自らの必要に応じて修正した憲法を改正し、国民投票で賛否を決めることを約束した。

大統領は1月に憲法専門家による委員会を設置し、同委員会が政党や市民社会のリーダーたちと協議を行った。

同委員会は3月に提案書を提出し、9月初旬には議会で審議されることなく同委員会の変更草案が採用された。

政府は、より良い権力の分散と、透明性を高めることで、「統治の方法を根本的に変える」と主張している。

批評家は、旧体制下で権力を握っていた2つの政党連合が依然として議会で多数派を占めていることを指摘している。

2つの政党連合とはブーテフリカ氏の党である民族解放戦線(FLN)と民主国民連合(RND)のことだ。

FLNのAbou El Fadhl Baadji書記長は、憲法改正を「質的な飛躍」として宣伝し、憲法改正が生み出すものを次のように表現した。

「正義と法、そして国の富の平等な分配が行き渡る新しい共和制」

RNDの書記長、テイエブ・ジトゥニ(Tayeb Zitouni)氏も同様に意欲的だ。

しかし、多くの野党支持者は国民投票を、政府が権力を維持しながら変化をもたらすように見せるための皮肉な方法だと見ている。

左派労働者党の党首、ラムダン・タアジブト(Ramdane Taazibt)氏は、「今回の憲法改正は体制を守るためだけにあります」と述べ、「大統領への権力の集中」が続いていることを嘆いている。

文化民主連合(RCD)の報道官、アスマネ・マズーズ(Athmane Mazzouz)氏は、憲法改正は一般の人々にとってはほとんど何の変化も、もたらさないだろうと述べた。

「権力を手にした大統領は皆、より多くの力を得るために自身の憲法を作り出そうとします」とマズール氏は言う。

「私たちは、アルジェリアの人々に投票に行かないよう呼びかけます」と同氏は付け加えた。しかし、野党は一枚岩ではない。

他の党派には、ムスリム同胞団に近いイスラム主義政党である平和のための社会運動(MSP)や、ヒラク運動に近い政党である「民主主義の代替協定の勢力(PAD)」などがある。

一部の政党は、憲法制定会議を選出する直接投票を提案している。

議会で最も議席数の多い野党であるMSP(462議席中34議席)は、党員に対し、国民投票に参加するよう求めているが、提案に反対票を投じるよう求めている。

MSPは、「政治的またはイデオロギー的影響」からモスクを保護する条項などといった憲法改正の「非宗教的」な要素を非難し、これが宗教の影響力を弱体化させる可能性があることを危惧している。

MSPはまた、女性が「あらゆる場所で、あらゆる状況で、あらゆる形の暴力から」保護されることを保証する提案に対し、「プライベートな家庭の領域を脅かす」ものだとして、異議を唱えている。

この改正案の国民投票は、1954年から1962年にかけて行われたアルジェリアのフランスからの独立戦争が始まった記念日である11月1日に行われる予定になっている。

AFP通信

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