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2021年は難民に「希望のワクチン」を運ぶことができるか

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02 Jan 2021 10:01:27 GMT9
02 Jan 2021 10:01:27 GMT9

家の中に数カ月閉じ込められ、買い物や友人との飲酒、旅行などの日常生活を奪われたことで、我々の多くは疑いようもなく疲れ果ててしまった。我々の多くは、健康や家族、仕事、将来に不安を抱いている。2020年は我々の生活にさまざまな新しい課題をもたらしたが、何年も同じ課題を経験してきた人は数百万人いる。こういう人たちは私たちのすぐ目の前にいるが、残念ながら目に入ることはほとんどない。

我々は家の中に数カ月閉じ込められることにうんざりしていたが、ただ安全して眠れる場所があり、家の中で温かい食べ物を食べることだけを願う難民や国内避難民は数百万人いる。2020年には、こういう人たちが直面している既存の問題が増えた。新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックに苦しめられた年に、ウイルスに感染するのではないかという不安から多くの人々に心理的問題が生じたが、難民の多くは既に普通の人よりもかなり多くのトラウマを体験しており、その結果、多くの人は慢性の健康障害がある。

恐怖が人々の所にやって来ると、社会の片隅で必死に生き延びようとしている絶望的な難民が最初に忘れられてしまうことが、この世界的な健康危機で改めて分かった。2020年以前にも世界には難民がいたが、残念ながら、これからもずっといるだろう。新年を迎えたが、難民問題の観点から見ると、去年はどんな1年だったのか、どんな教訓を学ばなければならないのか。

パンデミックは再定住プログラムに影響を与えており、危機のピーク時には168カ国が完全もしくは部分的に国境を閉鎖した。報告によると、それらの国のうち約90カ国は亡命希望者に例外を認めず、亡命希望者を出身国に送還した国もあった。また、国際移住機構(IOM)と国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、難民の再定住のための渡航を一時停止すると発表した。

学ぶべき教訓の一つは、COVID-19のパンデミックを、死に至らしめる移住政策を実施する口実にしてはならないということだ。

シネム・センギス

パンデミックとそれに続く経済危機のため、難民を扱う援助団体への国際支援も減少しており、援助団体は予算の大幅削減を報告している。各国は資源を海外よりも国内に割り当てているため、難民が紛争や虐待、悪天候などで命を失う危険にさらされているだけでなく、さらなるCOVID-19の脅威にも直面している最悪のタイミングで、難民への援助が削減されている。

難民や国内避難民は、他の多くの病気にもかかりやすいが、特にウイルスに感染しやすい。UNHCRの報告によると世界全体で、世界に3000万人いる難民のうち2万1000人が97カ国でCOVID-19の検査で陽性反応を示した。年末には二つの悲しい事件が起きた。二つのグループ、国連とレバノン高官との間で衝突が起きた後、レバノン北部の難民キャンプが炎上し、300人以上の難民が避難を余儀なくされた。

UNHCRは、ミニヤ地域にある、約75世帯が暮らすキャンプで大規模な火災が発生したと発表した。レバノンは、難民として登録されている約100万人を含む、約150万人のシリア人を受け入れていると発表している。人権団体は、戦争で荒廃したシリアはまだ安全ではないと警告しているが、当局は難民にシリアに帰るよう呼び掛けている。

ボスニアにある別の難民キャンプは全焼した。このキャンプでは1300人以上が暮らしていたが、今は廃屋に避難することを求められるか、路上で眠ることを余儀なくされている。

COVID-19は、国境も人種も関係なく、世界中の人々に影響を与えているが、難民や亡命希望者は、ウイルスを広めている、と濡れ衣を着せられ、汚名と差別に直面した。このように、パンデミックは多くの場所で、こういう弱い立場にある人々を不当に扱う口実として使われてきた。2020年に難民と移民が直面した新たな課題は、人が大勢いるキャンプでCOVID-19の危険性が高まることから、渡航制限で足止めを食って犯罪組織の標的になることまでさまざまだ、と国連は考えている。UNHCRは、数百万人の難民・避難民をCOVID-19の世界的流行から守るために4億5500万ドルの援助を求めている。世界中に7950万人の強制移住者がおり、世界人口の1%近くを占めている。

世界における難民の分担は、彼らが受けている待遇と同じように、極めて不公平だ。彼らが避難している国を見ると、危機が起きた近隣諸国に住む7000万人以上の難民・避難民の85%が、深刻で不公平な状況に置かれている。

学ぶべき教訓の一つは、COVID-19のパンデミックを、死に至らしめる移住政策を実施する口実にしてはならないないということだ。人権は尊重すべきで、保険医療へのアクセスは万人のために守るべきだ。何より、COVID-19のワクチンが発見されたが、新しい年が、難民や、援助を必要としている他の多くの人々に対する誤解を解くような「希望のワクチン」も運んでくることを願っている。

  • シネム・センギスは、トルコと中東の関係を専門とする、トルコの政治アナリスト。 Twitter: @SinemCngz
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