
Menekse Tokyay
アンカラ:ソーシャルメディア大手のFacebookが、トルコに置く企業代表者を任命しないという決定を下したことが、トルコにおける同プラットフォームの終わりの始まりとなる可能性がある、と業界の専門家は話した。
10月1日に発効した、トルコの新たな政府規制は、全てのソーシャルメディア企業に対して事務所の開設を求めており、従わなければ重い罰金や広告の禁止、データ制限といった処分が課せられる。
代表者もトルコ国民でなければならず、ネットワーク上のユーザーデータはトルコ国内で保存されなければならない。
統計によると、トルコ国内のFacebookのユーザー数は3700万人で、ヨーロッパのどの国よりも多い。
だが、ユスキュダル大学でジャーナリズムを教えるSuleyman Irvan教授はアラブニュースに対し、報道されている姿勢にFacebookがこだわれば、トルコのユーザーは最終的にこのプラットフォームの終焉を見る可能性があると語った。
Facebookの動きは、トルコに法定代理人を置くかどうかに関して、Twitterを含む他のソーシャルメディア企業の決定にも影響を与える可能性がある、とアナリストらは考えている。
トルコの新たな規則の下では、10月1日までにトルコに事務所を開設しなかった企業は、11月までに1000万トルコ・リラ(126万ドル)の罰金を支払わなければならず、支払わなければ12月には3倍になる。従うことをさらに拒否すれば、来年1月に広告が禁止され、5月まで帯域幅が徐々に制限され、最大90%制限される(投稿メッセージが開くのに15分掛かる)。
サイバー空間における権利の専門家であるYaman Akdeniz氏はTwitterに、「これは、政府の対応に関して好奇心をそそられる問題だが、利害関係者の意見を聞かずに議論を終え、基本的権利と自由の観点から非常に問題のある法律をわずか10日間で通過させれば、それ相応の結果となるだろう」と投稿した。
この規制はまた、ソーシャルメディアのユーザーに、内容を報告する機会を提供する。ソーシャルメディアの代表者は2日以内にクレームを調査し、「受け入れられない」項目を削除することを義務付けられ、そうしなければ500万リラの罰金を科される。
「代表事務所を開設した場合、意見を異にする内容を全て削除する必要があるため、ソーシャルメディアの大手企業はこの条項を懸念しているのかもしれない」とIrvan氏は述べた。
検閲があり、公平なメディアがないことが普通になっている国では、この条項がFacebookの決定に影響を与えたと考えられている。しかしトルコ政府は、要求事項はソーシャルメディア・プラットフォームとの「商業的関係および法的関係の構築」を目的としていると発表した。
トルコのメディア監視組織RTUKは最近、放送局Halk TVに罰金を課した。番組の中でジャーナリストが、アゼルバイジャンにおける民主主義の現状に関する発言において「批判の限度」を超えたからだ。
RTUKが言うには、この処分は、ナゴルノカラバフ地域をめぐるアルメニアとの紛争において、トルコがアゼルバイジャンを支持していることを世界に示すものでもある。
「トルコの人々は、客観的な報道を追うためにますますソーシャルメディア・プラットフォームを利用するようになっているので、ソーシャルメディア大手がトルコでの事業をやめれば、メディア部門にも大打撃を与えるだろう」とIrvan氏は述べた。
監視団体NetBlocksのデジタル著作権アクティビストでリサーチ・ディレクターのIsik Mater氏はアラブニュースに対し、「これらのソーシャルメディアの大手企業にしてみれば、管理費は比較的重要ではない」と述べた。
「しかし、広告収入と帯域幅を奪われるリスクはあるものの、Facebookはこの決定において決心しているようなので、他のソーシャルメディア大手もそれに続くことを私は期待している」
ロンドンに拠点を置くWe Are Socialが2月に発表した調査によると、トルコはソーシャルメディア・ネットワークのFacebook、Twitter、Instagramのユーザー数でトップ10に入った。
デジタル・ジャーナリズムの学術団体NewsLabTurkeyの編集長Sarphan Uzunoglu博士は、Facebookの決定は会社自体だけでなく、既に抑圧されているトルコのコミュニティーや専門家グループの未来に関係するものだと語った。
「ここに代理者を置くことで、Facebookは、ユーザーが作り出す情報に対してより責任を持つようになるだろう。ユーザーが作り出す情報は、大手テクノロジー企業が好むが、そのほとんどに関して責任を回避しようとする、問題のあるタイプの情報だ」
Facebookの動きにより、メディア関係者・専門家への課税に関する、より広範な議論が起こる可能性がある、と同氏は指摘した。