
アラブニュース
アンカラ、ブリュッセル:レジェップ・タイイップ・エルドアンが水曜、2方向の正面で孤立の危機に直面した。欧州とロシアの外交官が、東地中海とコーカサスにおけるこのトルコ大統領の冒険主義の抑制に動いたためだ。
EU当局者は、トルコとの緊張状態を和らげる彼らの戦略が開始からわずか2週間で破綻しようとしていることを認めた。10月2日の早い時間帯に行われたEUサミットの取り決めは、ギリシャとキプロスの領海での天然ガス探査を止めるようにアンカラを説得することが目的だったにもかかわらず、トルコは武装した護衛と共に測量船を再配備した。
欧州の3人の外交官は、この行為がアンカラはブリュッセルをもて遊んでいるとの印象を与えたと述べた。
EUの指導者たちはガス紛争に対する解決策を考え出すことができず、代わりに利益を提供するが制裁措置もちらつかせる「アメとムチ」のやり方を提案したものの、それも失敗に終わったと、外交官らは述べた。
「EUの指導者たちは12月にこの問題を再び取り上げると言うことで、問題を先延ばしにした。いま、そのしっぺ返しを受けようとしている」と、ある外交官は言う。
ギリシャとキプロスは木曜と金曜にEUの指導者らと面会する際、再びガス紛争の問題を取り上げ、最近の状況の過激化は制裁を含む緊急措置の必要性を示していると主張するつもりだ。ドイツのハイコ・マース外務大臣はトルコの調査船オルクレイスの配備に抗議して、アンカラ訪問を中止した。
一方でロシアは水曜、トルコとの関係性を格下げした。モスクワではナゴルノ・カラバフでの紛争でアンカラが果たした役割をめぐり、懸念が高まっている。
「ロシアはトルコを戦略的同盟国と見なしたことはなく、いちパートナーに過ぎない」と、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は述べた。また、紛争でのトルコの関与については透明性が確保されるべきとも警告した。
「トルコが主張し、アゼルバイジャン大統領も表明してきた見解には同意しない」と、ラブロフは述べた。「紛争に対して軍事的な解決策が可能であり、許容できるとの見解には同意できない」
エレバン地域研究センターの理事リチャード・ジラゴシアンは、モスクワはその勢力範囲の一部と見なす南コーカサスでのエルドアンの支配権の主張に反応していると述べた。
「ラブロフの発言はトルコに警告を伝える直接的なメッセージであり、同地域へ侵入してロシアの権益に挑もうとするトルコを押し戻して排除するという、ロシアの敏感な姿勢に後押しされたもの」と、彼は言う。
「停戦を拒否することでモスクワを裏切るアゼルバイジャンの決定はさておき、クレムリンに逆らうトルコの決断は地域の安全保障に対して本当の障害をもたらす」
*ロイター