
ナジア・フーサリ
ベイルート:次期政権を率いるレバノンの新首相が2日以内に指名される予定だ。
しかし、22日の国会協議会については疑問の声が上がっており、ミシェル・アウン大統領は2度目の協議会延期を検討しているのではと囁かれている。
サード・ハリリ前首相は、新政権樹立に向けて名前が挙がっている唯一の首相候補だ。しかし、自由愛国運動(FPM)とレバノン軍団という2つのキリスト教系政党が同氏の指名に反対している。
レバノン軍団の議員であり、元大臣のリチャード・クユムジャン氏は、レバノン軍団は反対しているからと言って、拘束力のある協議への参加を拒否しているわけではないと話す。
「国会協議会にブロックの代表者が参加しさえすれば、そのブロックが新たに首相として任命される人物を指名するかどうかに関係なく、共通の合意された価値観と法律により協議会は合法となる」とクユムジャン氏は述べる。
クユムジャン氏は「憲法の履行」を求め、「党派の名の下、それで十分だ」と述べた。
レバノン軍団のスタンスを見れば、議会プロセスを混乱させている唯一のブロックがFPMであることが分かる。
レバノン軍団による首相を提案しないという決断は、過去2回の国会協議会でのスタンスと異なる。同党は過去2回の協議会ではナワフ・ソルモン大使を首相として提案していた。
未来運動党のモハマド・ハジャール氏は、「国家と国民の利益にならない」として、協議が延期されないことを望んでいる。
同氏はアラブ・ニュースに次のように語った。「最初の延期は理にかなっていなかった。フランスのイニシアチブはレバノンを救うチャンスであり、無駄にしてはならない。延期によってそれが変わることはないし、こうした中断はレベノンの利益にならず、妨害になる。私たちは22日に議会の過半数で首相が指名されることを期待している。」
新たな名目のもとで協議の延期が行われるかどうかについて、ハジャール氏は次のように見解を語った。「マロン典礼カトリック教会のベシャラ・アル=ラヒ総大司教は、任命プロセスにおいてキリスト教や地域の憲章に言及しない法律の適用を求めている。バアブダー宮殿で行われる次回の国会協議会にはキリスト教徒の議員22人が来る予定だが、ハリリ氏を指名する者もいれば、指名しない者もいるだろう。したがって、協議会を開催し、新内閣樹立に向けて前に進む必要がある」と述べた。
政治的混乱の中、民間部門の様々な分野を代表するレバノンの経済団体は、レバノンを救うための支援を求める新たな呼びかけを開始した。
19日の会合で、同経済団体は 「フランスのイニシアチブを実行できる政府を早急に形成すること」を呼びかけた。
同経済団体は次のとおり警告する。「レバノンでは、ハードカレンシーの流動性がゼロになり、ドル相場が制御不能なほど上昇するほか、購買力が低下し、インフレ率が上昇する段階に達するだろうと警告した。そうなれば、党派を超え、公共施設がほぼ完全に閉鎖され、大量失業や社会的貧困が生じることになる。」
専門家は「この悲劇的な運命についてかねてより繰り返し警告したこと、また、現在の有様について強調した。現場では国体が崩壊しかけており、経済(経済の全構成要素を含む)は記録的な速さで悪化しており、金融機関が息絶えようとしている。」
国際通貨基金(IMF)は19日発表の見解の中で「レバノン経済は今年、中東地域最大の25%の急激な経済収縮に見舞われる」と予測している。
ベイルート・アメリカン大学の危機観測所は、2020年に最低貧困ライン以下の人々のためにレバノンの貧困格差を埋めるためのコストを8億3800万ドルと見積もっている。
危機観測所は、貧困率が8%から23%に急増したことが原因で、上記コストが2019年から3倍に増加したと説明している。