
イスタンブール:通貨は9日連続で記録的な低水準にまで下落し、インフレ率は2桁を堅持する現在、回復の波に乗りつつある景気に支障をきたすことになったとしても、再び金利を引き上げるしかトルコ中央銀行に選択の道はないと専門家は分析する。
火曜日のデータによれば、リラは今年になって新興国市場で最悪となる30%の下落を見せており、これが大きな要因となり、先月の消費者物価指数は前年比12%近くの上昇に留まったが、これは5%前後とする中央銀行の目標範囲を大きく上回る。
9月のサプライズ利上げも、西側諸国による経済制裁の可能性、外貨準備金の枯渇、マイナス実質金利などの懸念がもたらす通貨安に対して、ほとんど歯止めをかけることができないでいる。
金利を据え置くという同様に驚くべき先月の決定も、投資家たちからは、コロナ禍に直面するタイイップ・エルドアン政権からあからさまな金融刺激策を求める圧力がかかり、中央銀行が揺さぶられているのではないかとの懸念がさらに高まる結果となった。製造業や貿易部門が活発化する中、ムラト・ウイサル中銀総裁は先週、インフレ予測を引き上げ、利上げの可能性を残す一方で、中央銀行はある程度の柔軟性を維持する必要があると述べた。
経済評論家や投資家たちは、火曜日にリラがさらに1%下落してドルに対して初めて8.5リラを超えた現在、柔軟性は失われつつあると述べる。
「現時点では、トルコにとって良い選択肢は何もありません」とアクサグループのジル・モエック氏は述べた。
「安定を示唆する通貨の下落を容認するか(これは国民が貯金をドルに変換し、企業はドル建ての負債に苦慮することを意味する)、もしくは金融政策を今以上に引き締めて、経済に打撃を与えるかのいずれかです」と彼は言う。
第2四半期に10%近く縮小した経済をさらに悪化させるリスクに加え、火曜日の米大統領選で有力視される民主党のジョー・バイデン候補が勝利すれば、米国との緊張が高まる恐れもある。ソシエテ・ジェネラル銀行は、年末までにリラはドルに対して9リラにまで達すると予測している。
15人の経済専門家を対象にした先回のロイター調査では、現在10.25%の政策金利が年末までに12.25%に上昇するとの予測だが、17%とするゴールドマンサックスを始め、それより高いとの見方もある。
中央銀行が政策金利を据え置き、代わりにレイトリクイディティ・ウィンドウ金利(LLW)を金利コリダー上限の14.75%まで引き上げて以来、リラは2週間足らずで8%以上下落した。いわゆる裏口政策的な動きがマネーサプライを引き締め、月曜日の時点の平均資金調達コストは7月の7.4%から13.45%にまで引き上げられた。
エルドアン大統領は土曜日、トルコは「金利、為替レート、インフレという悪魔のトライアングル」との経済戦争を繰り広げていると述べた。しかし銀行間金融市場は正式な政策引き締めの可能性を高めており、火曜日には1週間の借入金利は、LLWを大きく上回る16%にまで近づいた。
ロイター