
スアダッド・アル=サリ
バグダット:イラクでは、同国で最も有力なシーア派の聖職者が政府に対してデモ対策として暴力を使用しないよう警告し、その後政府による抑制虚しく過去最大級の抗議活動が展開された。
バグダッドとイラクの南部の諸都市では、街頭の抗議活動の参加者が過去24時間で2倍以上に増加したと、保安当局者や目撃者が『Arab News』に語った。
水曜日には、バグダッドで夜間外出禁止令を無視した抗議活動参加者と保安当局が衝突し、2人が死亡した。
イラクのアーデル・アブドゥル=マフディー首相と同首相に同調する勢力が厳しくデモを取り締まって以来、150人近くのデモ参加者が死亡し、7,000人が負傷した。
抗議活動は2週間中断したが、政府がデモ参加者に対して実弾を使用しない旨約束したことを受けて、抗議活動は金曜日に再開した。
国民の間では、イラクにおける汚職、高い失業率、及び日々利用する基本的な公共サービスの欠如に対して怒りが広がっており、アブドゥル=マフディー首相の政治生命は見通しが不透明な状態が続いている。世界のシーア派を率いる大アヤトラのアリー・スィースターニー師はイラクで最も影響力がある聖職者であり、同師はイラク政府と同盟国に対して、抗議活動参加者への対処として軍の部隊を動員しないことを求めた。
金曜日の礼拝では、アリー・スィースターニー師の公開状が代理のサイイド・アフメド・アル=サフィ氏によって読み上げられた。内容は次の通りである。「過去数週間で流された血は、私たち全員にとって尊い人たちのものです。今後暴力が発生するのを防ぐための取り組み、そして絶対に国を内戦状態、混乱状態、破滅状態にしないための取り組みが必要です。
「(アリー・スィースターニー)師は、関連する機関に対して、さらなる暴力の連鎖の恐れがあるため、デモ参加者や座り込み参加者に対して一切の戦闘部隊を動員しないよう求めています」
同師はまた、イラクの周辺及び世界中の同盟国に対して、及びにイランの最高宗教指導者であるアリー・ハーメネイー師に対して、「力強く明確なメッセージ」を送った。ハーメネイー師は水曜日、イラクとレバノンでのデモ活動の終結を呼びかけている。
「(サダム・フセイン政権の)崩壊以降、宗教指導者たちは、憲法と議会の定期選挙に関して国民投票を実施し、イラク人の意思を尊重する形でイラクの政治と政府のシステムを決定することを、原理原則として繰り返し呼びかけてきました。
「変革は不可避なものとなっていますが、変革こそイラク国民の選択なのだということが、今日示されています」とアリー・スィースターニー師は綴った。
「どんな個人も、どんな集団も、どんな周辺地域または国際的な団体も、イラク国民の意思を奪って自らの意見をイラク国民に押し付ける権利はありません」と公開状は続く。
バグダッドでは金曜日、何百もの家族がタハリール広場での抗議活動に参加し、また歩道ではデモ参加者に食料を分け与える人々の姿もあった。
イラクの情報当局担当者らは『Arab News』に対し、抗議活動の参加者の数は金曜日の礼拝後に増加し、特に首都バグダッドにおいては、新たに加わった中には多くの女性と高齢者が含まれると明かした。
「抗議活動はすぐには終わらないでしょうし、政府はもはや部隊の力で抗議活動を終わらせることも非常に難しくなっています」とある情報当局高官が語った。
「特にアリー・スィースターニー師のコメントが出された今、抗議活動の参加者を無視するのは正気の沙汰ではありません」と同高官は付け加えた。