
アラブニュース
・恩赦法への批判を受けて「足元に気をつけろ」との警告
アンカラ:トルコの悪名高いマフィアのボスであるアラティン・チャキジ氏は、政府とその連立パートナーである民族主義者行動党(MHP)によって押し通された恩赦法の下で最近刑務所から釈放されたが、トルコの野党党首ケマル・クルチダルオール氏を公然と脅し、「足元に気をつけろ」と言い放った。
この脅迫については依然どの政府関係者からも非難されていないが、イスタンブール市長のエクレム・イマモール氏を含む野党関係者は、脅迫と侮辱に対する沈黙を破るべく声を挙げた。
「共和人民党(CHP)の党首を脅すことは、何百万人もの人々を脅すことであり、トルコを脅すということだ。皆限度を知るべきだ」と、CHPのオズギュル・オゼル副委員長はツイートした。
6月には、野党議員の国会資格の剥奪をめぐって緊張が高まる中、会期中にMHPの副議長がオゼル氏にパンチを食らわせた。
野党の区長とCHPイスタンブール県知事のカナン・カフタンチオグル氏は、11月18日に共同プレス声明を発表し、次のように述べた。「私たちはあなたやその影を恐れていません。我々はこの件を追求し、それにより政府は誠意を示します」と述べた。
チャキジ氏は1995年、トルコの有名な犯罪者の娘である、元妻の殺害を扇動した罪で有罪判決を受けた。彼は政治的には民族主義のMHPに所属している。
火曜日、チャキジ氏はクルチダルオール氏にこう話した。「あんたとあんたの党の幹部はトルコには民主主義がないと言い、大統領に反対するようなことを言っている。もし我が国に独裁政権があったなら、あんたらは皆刺されていただろう」
この脅迫は、11月17日にクルチダルオール氏が恩赦法を巡って政府を批判したことに端を発している。
「マフィアのリーダー、麻薬密売人を釈放し、思想犯を投獄するのをやめてくれないか」とクルチダルオール氏は国会演説中に要求した。
ジャーナリストと政治犯は、4月に採択され議論の的となっている恩赦法から除外された。
CHPのアルパイ・アントメン議員は、マフィアのボスが最大野党の党首に食ってかかったことは、「トルコでは法の支配が崩壊している 」ことを示していると述べた。
アントメン氏はアラブニュースに以下の様に語った。「チャキジは一人で行動しているのではなく、上層部からの支援を受けている。彼は広範囲に及ぶギャングのスポークスマンに過ぎない」
公式のデータによると、レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領を「侮辱した」として、過去1年間に3万6000人以上が捜査を受けているという。
「エルドアンを批判したからといって逮捕する人たちは、あのマフィアのボスにも同じことをするのだろうか。クルチダルオール氏を脅迫した人たちは、何百万人もの党支持者を脅迫した」とアントメン氏は語った。
一方、南東部のディヤルバクル県にある裁判所の判決は、トルコ司法の不十分な釈明に新たな記録を加えることとなった。
2017年にノウルーズのお祝いに参加しようとしていた23歳のクルド人男性ケマル・クルクトさんの殺害について、裁判所は容疑をかけられた警察官を無罪にした。
警察官に射殺されたクルクトさんは、自爆テロ犯であり爆発物を所持していたという疑いがかけられていた。しかし当時はシャツも着ていなかったという。
当局はこの事件で他の72人の警察官に対して刑事告訴を行ったが、3年経った今も未解決のままだ。しかし、殺害の瞬間を記録した地元のジャーナリストは、「テロリストのプロパガンダを行った 」として、最大20年の懲役を受けている。
この事件を追っていたディヤルバクル弁護士会の弁護士シダー・アブサル氏によれば、今回の判決は、今後民間人に対する過度の武力行使が容赦なく行われる可能性を示すものだという。
彼は、この事件が最後になる可能性は低いと警告した。
「トルコ市民を巻き込んだ同様の事件は、治安部隊や国家に対する国民の信頼を損なっている。この国の司法に対する人々のイメージを悪化させている」とアブサル氏は言う。