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米議員ら、7400億ドルの国防法案でトルコを標的にする

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05 Dec 2020 07:12:26 GMT9
05 Dec 2020 07:12:26 GMT9
  • ロシアの防衛部門と各国との取引を阻止するための措置として、トルコの防衛産業執行委員会のIsmail Demir委員長は、S-400の購入を指揮したとして制裁を受ける可能性がある

Menekse Tokyay

アンカラ:3日、米国防権限法によって、議論を呼んでいる、トルコによるロシア製防衛システムの購入が重要な取引に指定され、30日以内に制裁を課すことが義務付けられた。

今月議会を通過する予定の、7400億ドルの国防法案に関して、上下両院の軍事委員会のメンバーがついに合意に達したことから、トルコが新たな、もっと早くすべきだった制裁によって打撃を受けるだろうと専門家は考えている。

退任するドナルド・トランプ大統領が数カ月にわたって実行を渋った後、議会は、プロセスを開始し、トランプ氏が1月20日に官邸を去る前に、米政府に4517ページの文書に署名させることにより、S-400システムの購入に関してトルコに責任を負わせることを期待されている。

この国防法案は、法律になってから30日以内に、大統領に対し「故意に取得に関与した各人に対して」「敵対者に対する制裁措置法(CAATSA)」の下リストアップされた12の制裁のうち、少なくとも5つを課すことを要求する。米国との銀行取り引きや財産の取り引きを禁止すること、米国のビザを与えないこと、米国の金融業者に制裁対象の企業への融資を拒否することを義務付けることなどが含まれる。

ロシアの防衛部門と各国との取引を阻止するための措置として、トルコの防衛産業執行委員会のIsmail Demir委員長は、S-400の購入を指揮したとして制裁を受ける可能性がある。

リラが外貨に対して史上最安値を付けたことを背景にした、長期にわたる景気後退、高いインフレ率、外貨準備高の減少に対処しようとしている、既に危ういトルコ経済の均衡が、制裁によって徐々に崩れると予想される。

英国にある外交政策センターの主任研究員Emre Caliskan氏はアラブニュースに対し「これらの制裁リストの中で最悪の選択肢の一つは、トルコの防衛物資と技術の輸出に対して制裁を課すことだろう。それはトルコの防衛産業に深刻な損害を与えるだろう」と語った。

 CAATSAの下、米大統領は政府に対し、制裁対象者に特定の許可証を発行しないこと、物品や技術を輸出するためのその他の特定の許可や権限を与えないことを命じ、物品やサービスの輸出・再輸出の条件として、政府による事前審査・承認を要求するその他の法令を出すことができる。

「トルコの企業は、エンジンや光学センサー、無人機を組み立てるためのカメラシステムなど、重要な部品の一部を西側諸国に依存しているが、どのような制裁が課されても、防衛製品を輸出するというトルコの野心に直接影響を与えるだろう」とCaliskan氏は言う。

トルコは、課された制裁を解除するために、領土内にロシア製防衛システムを保有していないこと、あるいはそれを運用していないことを保証しなければならない。

「トランプ氏が拒んだことを実行するための条項をNDAAに確実に入れるのに役だったことを大変誇りに思う。トルコがロシアのS-400防衛システムの納入を受けたことを米国政府に代わって正式に明らかにし、トルコは現行法の下で制裁を受けるだろう」とBob Menendez上院議員はTwitterに投稿した。

しかし、トルコはS-400を破棄していない。トルコは、米国が懸念しているもかかわらず、10月16日に黒海沿岸の都市シノップでS-400防衛システムをテストした。

トルコはS-400問題を主権の問題だと考えている。トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン大統領は先月、米国のS-400返還要求に関して、「我々は部族の国ではなく、トルコだ」と述べた。

「この試練の全ては、トランプ氏が法律に従うのを拒んだ結果だ」と外交政策調査研究所のAaron Stein所長はアラブニュースに話した。「議会はうんざりして、大統領の手を縛ろうとした。トランプ氏はあっさり法律を無視するかもしれないが、彼はレームダックだ。1月20日に去り、ジョー・バイデン次期大統領がこの問題を引き継ぐ。どちらにしても、結果が不確かだとは思わない。S-400を購入したために、トルコの個人に制裁が課されるだろう」

Stein氏は、トルコはいつもしていることをするだろうと述べた。他者を非難し、トルコに米国製パトリオット・ミサイルを売ることを拒否したからこうなったと偽るか、この問題をテクニカル・ワーキング・グループによって解決することを提案するかだ。

「現時点では厳しい。この問題は簡単には解決できず、トルコが譲歩する意思があるという何らかのシグナルを送ることになるからだ。今まで、それは起きていない。しかし譲歩しなければ、バイデン政権は制裁解除に対して賛成を主張することはできないだろう」と同氏は付け加えた。

法案に署名する責任はトランプ政権にあるが、そうしなければバイデン氏が署名することになる。

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