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シリアの政権が避難民の土地を競売にかける

イドリブの養鶏場で破壊の様子を確認するシリアの避難民の男性たち。(AFP通信/資料)
イドリブの養鶏場で破壊の様子を確認するシリアの避難民の男性たち。(AFP通信/資料)
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31 Dec 2020 08:12:46 GMT9
31 Dec 2020 08:12:46 GMT9

ベイルート:シリアの10年に及ぶ激しい戦争によって家を追われた多くのシリア人は、家族の農場が政権の支持者とその取り巻きに乗っ取られたことを知ってショックを受けている。

人権団体や法律専門家によると、政権軍に奪還されたシリア北西部の一部の地方当局は、肥沃な土地を事実上「没収」し、反対派を罰するための競売を行ったという。

難民の1人、30歳のサルマンさんは、1年前のシリア政権軍による攻撃の際に放棄したイドリブ県の家族の土地に戻るのは難しいだろうと常に思っていたと語った。

しかし、いつか戻りたいと思っていた彼の希望は、土地を耕作する権利が見ず知らずの人に売却されたことを知った時、すべて打ち砕かれた。

「どんな権利があって私たちの土地を奪うのでしょうか」と、仮名を使うよう求めたこの難民は、数か月前に不法入国したギリシャから電話でAFP通信に語った。

サルマンさんは、兄弟たちと共同で所有する37エーカーの土地にレンズ豆、大麦、ブラッククミンを植え、収穫ごとに最大1万2,000ドルを稼いでいたという。

彼は、土地の権利が競売にかけられていることをソーシャルメディア上の投稿で知った。

「私たちはショックを受けました。この土地は先祖が私たちに残してくれたもので、私たちの子どもたちに残したいと考えています」と彼はAFP通信に語った。

イドリブ南部、隣接するハマー県、アレッポ県から避難してきた他の数人のシリア人も土地を奪われたとAFP通信に語った。

一部のシリア人は、政権に近いイドリブの農民組合が掲載したソーシャルメディアの広告や、近くに住んでいる知人を通じてこのことを知ったという。

同農民組合は10月、「政府が支配する地域に住んでいない」シリア人が所有する土地の使用権と耕作権を競売にかけると発表した。被害者たちは、自分たちの不運により咎を受けていると感じている。

同組合によると、政府の支配下にある領域外からの返済が不可能になった農民を含めた元々の名義人は、農民に融資を行うシリアの農業協同組合銀行(ACB)に「負債がある」という。

AFP通信が話を聞いた土地所有者は全員、未払金の存在を否定した。

「ただの言い訳です」とサルマンさんは言う。

他の競売は、未払いの負債について一切の言及もなく、政権とつながりがある地元治安委員会によって開催されていると、反体制派監視団体「ザ・デイ・アフター」と戦争監視団体の「シリア人権監視団」は述べた。

ロシアの支援を受けるアサド政権の軍はここ3年で、シリア北西部にあるシリア最後の主要な反体制派の拠点に深く入り込んできた。

国連によると、2020年初頭に行われた最も新しい攻撃では、約100万人の人々が家を追われたという。3月に停戦が成立してから、わずか23万5千人しか戻ってきていない。

西側諸国の制裁によって悪化した深刻な経済危機に直面するシリア政府は、農業生産を促進するために肥沃な土地を利用しようとしている。

アムネスティ・インターナショナルなどの人権団体は、かつての反乱軍の拠点での土地収用を非難している。

アムネスティのシリア研究員ダイアナ・セマーン氏は、「土地の競売は、経済的利益のために紛争からの避難を悪用するものだ」と述べた。
当局は「不法に、そして国際法に違反して土地を押収している」と同氏は言う。

活動家グループ「ザ・デイ・アフター」と「シリア人権監視団」が入手した文書によると、アレッポの治安委員会は11月、政府軍により奪還された村の土地の入札を行っていると発表した。

アレッポから避難してきた38歳のアミールさんは、過去2か月未満に以前の隣人から、当局がアレッポにあるアミールさんの20エーカーの土地に対する入札を行っていることを知らされたと話した。

アミールさんは隣人に彼に代わって入札するように頼んだが、隣人は断った。

「その地域に諜報機関の親戚がいる人」が落札したとアミールさんは話した。アミールさんには5人の子どもがおり、現在イドリブでオリーブを摘み、1日の収入が2ドルに満たない生活をしている。

シリアの新しい憲法の起草を監督する国連委員会のメンバーを務めるアンワル・メジニ裁判官によると、土地の競売は「一種の罰」だという。

「競売は土地の所有権を移転するものではないかもしれないが、元の所有者が土地を使い、耕作する権利を侵害」するものだ。

もう1つの問題は、競売を管理する「法的枠組みがない」ということだとメジニ氏は言う。

仮にACBが純粋に融資の回収のために競売を開催したとしても、「司法の監督の下で行われるべきだ」と同氏は言う。

もう1人の農民アブ・アデルさんは、近くで戦闘が激化したため2012年にハマーの村を放棄したが、昨年政権軍がアデルさんの地域を占領するまで、自分の土地を訪れ続けた。

54歳のアデルさんは留守の間、人を雇って土地の手入れをしていたが、7月には地元治安委員会と「近い関係にある人物」が競売で使用権を獲得した。

彼らは「すべて同じグループの一部で、表面が見えているに過ぎない」とアブ・アデルさんは言う。

AFP通信

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