
Brian Kim
ソウル:韓国政府はホルムズ海峡での韓国の石油タンカーの拿捕を巡ってイランに対して法的措置を取る準備をしていると、韓国の外務省が水曜日に発表した。
韓国船籍のタンカー「MT韓国ケミ」号は、サウジアラビアからUAEに向かって航行中、月曜日にイランのイスラム革命防衛隊(IRGC)に拿捕され、バンダルアバスの港に移された。
韓国政府の当局者が膠着状態の外交的解決を模索していると話す中、韓国海軍の駆逐艦チェ・ヨンが火曜日にホルムズ海峡近海に到着した。韓国国防省は、駆逐艦の派遣は韓国国民の「安全を確保するため」だとしている。
「法的措置は、状況を解決するために取りうる選択肢の1つとして検討されている」と韓国外務省は、国会に提出した報告書の中で述べた。
イラン側によると、7,200トンのエタノールを積んでいた同船は環境規制に違反していたという。同船の所有者はこの主張を否定している。
同省は、環境汚染に関するイランの主張、船舶が航行していたのは公海かイランの領海か、拿捕が国際法に従って行われたのかなど、重要な事実を確認していると発表した。
「無害通航が否定される『故意で重大な汚染行為』に対する立証がないかぎり、国際法違反は発生していないと判断する。我々はこの問題を解決するための努力をしているが、すべての選択肢をテーブルの上に置いている」と同省は述べた。
韓国外務省の代表団は同船とその乗組員の解放を交渉するためにイランに派遣された。崔鍾建(チェ・ジョンゴン)第1外務次官も来週テヘランに向けて出発する予定となっている。
同船が拿捕された時、韓国籍の5人を含む20人の乗組員が乗船していた。サイード・バタムチ・シャベスタリ駐韓イラン大使は火曜日、韓国の記者団に「乗組員は全員無事だ」と語った。
両国間の緊張は、トランプ政権がイランに課した米国の制裁強化の下で、韓国の銀行で凍結されたままになっている約70億ドルの石油販売収入を引き渡すよう、イラン政府が韓国政府に圧力をかける中で生まれた。
韓国政府の当局者は以前、韓国政府がイラン向けコロナウイルスワクチンの購入にこの凍結された資金を使うために、イラン政府や米国政府と協議していたことを認めた。
韓国経済社会研究所のシン・ボムチョル主任研究員は、アラブニュースの取材に対し、イランの動きは、米国のバイデン次期政権から正当性を認められるためのイラン政府による必死の試みだと語った。
「韓国の石油タンカーの拿捕は、韓国ではなく米国を狙った動きだ」とシン氏は言う。
「イラン政府はこの地域ではいつでも敵対行為を強めることができるという明確なメッセージを送っている。そして、韓国の凍結された資金の問題はトランプ政権の金融制裁の一環に過ぎない」
「韓国との対決が長期化すれば、イランは国際社会からますます圧力を受けることになり、イランはこのことを良く知っている」とシン氏は述べた。