
テヘラン:イランの最高指導者が1月8日(金)、「まったく信用できない」として、アメリカとイギリスで製造された新型コロナウイルス感染症ワクチンの輸入を禁止した。
「米国と英国でつくられたワクチンを輸入することは禁止されている」とアヤトラ・アリ・ハメネイは、#CoronaVaccineというハッシュタグをつけたツイートのなかで述べた。
「恐らく彼らは、他国民を汚染したいのだろう」と彼はつけくわえた。
イラン・イスラム共和国では、新型コロナウイルス感染者が120万人以上報告されており、死者は5万6千人を超える。
イランは、大敵である米国のことを、厳しい制裁によってイランのワクチン入手を妨げているとして非難してきた。
食品と医薬品は、規則上では制裁措置から免除されているが、国際銀行は、イランがかかわる取引を拒否する傾向がある。
イランのハッサン・ローハニ大統領は先月、米国政府はイラン政府に米国の銀行を通じて医薬品の費用を払うよう主張したが、彼は米国が金を差し押さえることを危惧したと述べた。
ハメネイの布告はファイザー・ビオンテック、モデルナ、アストラゼネカ・オックスフォード大学の新型コロナワクチンの輸入を禁止するものである。
イランは、感染拡大が中東でもっとも深刻であるが、先月、イラン国内で開発された国産ワクチンの治験を開始した。
米国のドナルド・トランプ大統領がイランの核計画に関する合意から一方的に離脱し厳しい制裁を再び科して以来、イラン・米国間の緊張が何ヶ月間にもわたって高まっていたところに、パンデミックがやってきた。
昨年3月、ハメネイはパンデミックに関してイランを支援するというトランプの申し入れを、イランの「もっとも邪悪な」敵である米国の意図は信用しないといって拒絶した。
イランの赤新月社は、8日、米国在住のイラン人科学者たちが15万回分のファイザー・ビオンテックのワクチンをイランに送る計画を立てていたが、ハメネイの告知を受けて配送はキャンセルされたと述べた。
第3国を経由して「100万回分のワクチンが、赤新月社に届くはずでした」と、赤新月社は地元のメディアで広く報じられた声明のなかで述べた。
ハメネイは同日、テレビで放送された演説のなかで、信頼できるワクチンを「アメリカ人が製造できるのなら、米国でコロナウイルスによる大惨事はおこらなかったはずだ」と主張した。
彼はまた、「フランスのHIV汚染血液の供給に関する我々の経験を考えると、フランスのワクチンもまた、信用できない」とツイートした。
これは、1980年代に、HIVに感染した血液がフランス国内、さらに外国に流通し、政府が問題に気づいた後ですら出回っていたというスキャンダルに言及したものである。
イラン国内では数百人がこれによってHIVに感染した。
当時のフランス首相ローラン・ファビウスは殺人罪で告訴されたが1999年に無罪となり、保健大臣は有罪となったが罰せられなかった。
AFP