Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • Home
  • 中東
  • 「人々は必死で助けを求めている」とレバノンの医師が涙ながらに言う

「人々は必死で助けを求めている」とレバノンの医師が涙ながらに言う

レバノンの首都ベイルートでラフィク・ハリリ大学病院の集中治療病棟のナースステーションで医療従事者が集まる。(AFP)
レバノンの首都ベイルートでラフィク・ハリリ大学病院の集中治療病棟のナースステーションで医療従事者が集まる。(AFP)
Short Url:
10 Jan 2021 12:01:46 GMT9
10 Jan 2021 12:01:46 GMT9
  • ウィルスの感染急増で病院が逼迫する中、医療責任者が涙ながらに訴える

ナジア・フッサリ

ベイルート:レバノンのある医療責任者は、コロナウィルスにかかった患者たちが、自宅で家族の眼の前で死ななくて済むように入院させて欲しいと、どれほど必死に彼に訴えていたかを説明しながら泣き崩れた。

保健省医療重役会の会長を務めるJoseph Al-Helou博士によると、レバノンの病院が急速に逼迫しつつある中、重篤の人々から入院を求める電話が何百件もかかっているという。

「病院は、数えるほどのベッドしか残っておらず、膨大なプレッシャーを経験している」とソーシャルメディアのプラットフォームで広く利用されている動画サイトでAl-Helou博士が語った。

彼のコメントは、1月7日(木)と8日(金)に5,400人を上回る新規感染者を記録し、コロナウィルス感染者数の最悪の事態の予測すら超過したことを受けたもので、感染者数は1月10日(日)には9,000人に達する可能性があると警告している。

患者たちにベッドを提供することができない医療従事者たちの苦悩を語りながら、Al-Helou博士は涙ながらにこう語った:「診察を求める人々からの電話を何百件も受けており、救急部門でも構わないからと訴えてくる。5時間、10時間、あるいは24時間待ちになると伝えると、それでも彼らは受け入れる。今日は41人の人が救急病棟で順番を待っている。

「我々は患者を搬送するために真夜中過ぎまで働いている。大晦日をレストランで祝うことにした人間たちもいるが、それは重大犯罪じゃないか?」

Al-Helou博士によると、ある看護師は涙を流しながら彼のところに来て、自分の眼の前で司祭が亡くなったと言ったという。

「私は泣いたことはなかったが、もうこの事態は耐えられない」と彼は言う。「ある男性が私にすがりつき、ある女性は自分の子供たちの前で死ぬくらいなら道端で死なせて欲しいと懇願する。どうしてこんなことになるのだ?医療従事者たちは疲れ切っている。家で死んでいく人もいれば、家で酸欠状態に陥っている人もいる」

ベイルートにあるアル=マカシド・イスラミック・チャリタブル・ソサエティ・ホスピタルの看護主任アイーダ・アル=ノーリはアラブニュースにこう語る:「救急部門では恐ろしい様相となっている。医師たちは患者たちに処方箋を渡して家で治療させている。私たちは酸素の必要な人たちに家で(酸素吸入器を)使う方法を教えている。危篤状態の患者は家にとどまったままだ」

彼女はさらにこう言った:「コロナウィルス部門には21床しか集中治療用ベッドがなく、別のフロアを明け渡してあと16床をコロナウィルス患者用に使おうとしている」

マウント・レバノン地方のケセルワン郡にあるバウワ・パブリック・ホスピタルの院長を務めるアンドレ・コザイリー博士よると、施設が最大収容人数に達したため、医療スタッフは一部のコロナウィルス患者を車の中で治療しているという。

保健省の日々のCOVID-19 データによると、感染者数は以下の各地で最大数に達したという:アクラフィー(ベイルート)、ハレット・フレイク(ベイルートの南部郊外)、デクワネ(メトン)、アレイとズークモスベ(ケセルワン)、ジュベイル、サイダ、ザルタ、リヤク(ベカー)、ハーメル(バールベック)、アッバシエ(南部)。

レバニーズ・オーダー・オブ・フィジシャンズの最高責任者シャラフ・アブ・シャラフ博士は保健省について、過去1年間公立病院の設備を整える義務を怠ってきたと非難している.

「民間部門の医師及び医療従事者たちは精一杯彼らの義務を遂行している。私立病院を非難することはできない。今日私はザール公立病院にいたが、そこでは120床中6床しか使われていなかった。なぜ患者たちはそっちへ送り込まれなかったのだ?病院の設備を整えるために支払われている金はどこへ消えたのだ?なんの準備も整っていない。

レバノンには30の公立病院と130の私立病院がある。

アブ・シャラフ博士によると、増え続ける患者たちを治療するための医者が不足しているという。

ハマド・ハッサン保健相は、「ロックダウン期間中、必要不可欠な場合以外は外出しない」よう国民に呼びかけた。

レバノンは未だにワクチンを全く受け取っておらず、国民はワクチン接種して合併症を発症した人々を保護する法律を議会が採択するのを待っている。

ラミア・ヤミン労働相は1月9日(土)、自身がウィルスに感染したことを発表し、一方マナール・アブドゥルサムド情報大臣はメディア各社に対し「感染者数を減らすため、意識向上キャンペーンを推し進める」よう要請した。

医療問題に関する首相顧問を務めるペトラ・カウリー氏は、レバノンで感染者数が最大数に達している現在、すべての人が他者への感染を避けるための倫理的義務を果たすよう警告 した。

「マスクを着用すること」と彼女は言う。

topics
特に人気
オススメ

return to top