
レイ・ハナニア
シカゴ:ジョー・バイデン米大統領がイエメンの反政府武装勢力フーシ派に対する制裁の一部停止を決定したことで、イランの支援するテロ攻撃が拡大する可能性が危惧されている。
米財務省は月曜日、マイク・ポンペオ元米国務長官がトランプ政権の最後の行動として発表したフーシ派への制裁措置は、アントニー・ブリンケン新国務長官による見直しが行われるまで1カ月間停止すると発表した。
今回の見直しでは、フーシ派民兵のテロ組織指定を取り消すことも検討される見通しだ。
ブリンケン氏はこの決定に関する声明を発表しなかったが、一部の報道機関の通信社にこの情報がリークされた。一方で、ポンペオ氏の公開した情報はすべて国務省のウェブサイトとアーカイブから削除され、一般の人は見ることができなくなった。
一部の観測筋によると、バイデン氏はトランプ氏が終了させた「包括的共同行動計画 (JCPOA) 」の合意復帰に向けた政権の動きの中で、イランとの交渉を促進するためにこの取消しの決定を利用している可能性があるという。
しかし、トランプ政権の中東特使を務めたジェイソン・グリーンブラット氏は、「今回のポンペオ氏の制裁が中断されれば、湾岸諸国への攻撃が増えるでしょう」 とアラブニュースに語った。
グリーンブラット氏は、「イランの資金援助を受けたこのテロ組織の殺人犯たちは、サウジアラビアのような私たちの友人や同盟国を攻撃し、イエメンに多大な苦しみをもたらしています」と述べ、ポンペオ氏の制裁は 「正しい」 と擁護した。
「これは、イランが支援するハマスやパレスチナのイスラム聖戦がイスラエルを攻撃し、パレスチナ人にも多大な苦しみを与えているガザの状況に似ています。バイデン政権がフーシ派をテロリストと呼ばないのは間違いです。同派はまさにテロリストそのものです」
一方、イエメンで活動するNGOや援助機関は、フーシ派への制裁の停止を求めている。これは、支援活動が制裁の対象になることを恐れているためだ。
彼らは、フーシ派を「外国テロ組織」に指定することは人道的活動を妨げると主張している。
しかし、制裁を解除すれば、イランは湾岸地域の拠点を拡大することが可能になる。その結果、先週リヤドに対して繰り返し行われたフーシ派のミサイルやドローン攻撃のようなテロ攻撃が増えるだろうと、テロ組織の指定を支持する人々は主張している。
この発表は、イランを支配する宗教的指導者の犠牲になった多くの反体制派を怒らせた。反体制派のリーダーたちは制裁停止に衝撃を受けたと述べ、バイデン氏にテロの指定を続けるよう求めた。
ある反体制派のリーダーの一人は、「疑いの余地のない事実は、フーシ派がイランによって作られたということです。イランは1990年初頭から、フーシ派に対しイデオロギーや軍事、テロリストの訓練を行ってきました」と、正体が特定されないことを希望して述べた。
「イランは、フーシ派に大量の武器、ミサイル、ドローン、その他の殺傷力の強い武器を提供し、破壊的で悲惨な紛争を長引かせています。したがって、フーシ派に正当性を与えることは、中東地域の安定を損ない、同派を勢いづかせてさらなる侵略に従事させるだけです。その結果として最も犠牲となるのはイエメンの人々です」
バイデン氏は、貯蔵する中濃縮ウランを廃棄し、低濃縮ウランを削減するというイラン政府との約束と引き換えに、米国がJCPOAに復帰し、イランとの関係を回復するという公約を掲げた。しかし、トランプ氏らは、イランが秘密裏に核兵器を製造していると非難した。
グリーンブラット氏は、この状況を「善と悪の戦い」と表現した。そして、「真実を隠せば、状況は悪化します。私たちは、サウジアラビアのような友人や同盟国を支持しなければなりません」と付け加えた。