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シリア人拘留者の違法な移送をめぐり、人権監視機関がトルコ政府を非難

この監視機関は、シリア北東部を占領している国として、ジュネーブ第4条約に基づく義務に違反しているとして、トルコを非難した。(AFP通信)
この監視機関は、シリア北東部を占領している国として、ジュネーブ第4条約に基づく義務に違反しているとして、トルコを非難した。(AFP通信)
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04 Feb 2021 01:02:42 GMT9
04 Feb 2021 01:02:42 GMT9
  • トルコは恣意的な拘束や、シリア国民のトルコ領への移送の禁止をはじめとして、国際人道法を尊重するように促されている

アラブニュース

ジェッダ:ある主要な人権監視機関が、2019年にトルコ政府と、その代理人となるシリア北東部の反体制派が逮捕したシリア人63人を、違法にトルコへ移送したことを非難した。

ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は、トルコとシリア国軍を名乗る自由シリア軍が、シリア人を逮捕し、本人たちがシリアで犯したとされる重大な罪で、裁判を受けさせるために、トルコに移送したと述べた。

この監視機関は、シリア北東部を占領している国として、ジュネーブ第4条約に基づく義務に違反しているとして、トルコを非難した。

ジュネーブ第4条約49条により、「被保護者を占領地域から占領国の領域に、個人的若しくは集団的に強制移送し、又は追放することは、その理由のいかんを問わず、禁止する」

これに基づいて、トルコは恣意的な拘束や、シリア国民のトルコ領への移送の禁止をはじめとして、国際人道法を尊重するように促されている。

アラブ系とクルド系の63人のシリア人は、昨年10月から12月の間に逮捕され、シリア北東部のラス・アルアインにある拘置所に送られた。これは、トルコがこの地域の支配を確立した後だった。

シリア国民たちは、シリアで犯した罪を告訴されているが、トルコの警察に尋問され、トルコの刑法の下で罪を問われたと考えられており、可能な限りの重い罪を言い渡される結果となりそうだ。

昨年、ミシェル・バチェレ国連人権高等弁務官は、ラス・アルアインをはじめとして、トルコとトルコ政府が支援する反政府軍に占領された地域での犯罪行為に関して、警告を発していた。

管理という観点から言うと、トルコはシリアの占領したこの地域を、自国の領土の1部と考えている。トルコ南西部のシャンルウルファ行政区域が、医療やゴミ収集さえ含む清掃事業も含めて、公共サービスをシリア北東部に提供している。

このシリア国民たちが起訴されている犯罪の内容には、この国の領土保全を揺るがしたこと、殺人を犯したこと、クルド人民防衛隊、即ちYPGのようなテロ組織の一員であることなどが含まれている。

トルコと数十年にわたって紛争状態にあり、非合法化されていたクルディスタン労働者党と密接な繋がりのあるテロ集団として、トルコはYPGを指定している。

HRWが入手した文書では、拘留者たちが YPG と戦闘をしたことで告訴されたことが明らかになっている。しかし、家族や親族たちは、シリア北東部のクルド人が主導するクルド民主統一党(PYD)内で、運営業務を担っていて、武器を取って闘ってはいなかったと主張している。

伝えられているところによると、拘留者たちの家族は、トルコで拘留者たちと連絡が取れる電話番号を登録して貰えていないので、直接連絡が取れなくなったという。親族たちの中には、最愛の人々が逮捕されたとき、シリア国軍から暴行を受けたと主張する者もいた。

トルコはPYDがテロ集団で、YPGの政治部門を担う組織だと考えている。

HRWによる別の推定によると、違法にトルコへ移送されたシリア国民の数は、200人近いかもしれないという。

「シリア北東部の占領国として、トルコは保護国の人間をトルコに移送しないという義務を尊重しなければなりません。これには、トルコが支援するシリア国内の反政府のシリア国軍が個人を拘束したり、移送したりしないようにすることも含まれています」と、HRWのシリア研究者、サラ・カイヤリ氏がアラブニュースに語った。

拘束された人々は、ほとんど証拠もないのに、「不完全な上、虐待的なやり方で」起訴されている、とカイヤリ氏は語った。

トルコの法律の下で、可能な限りの最も重い罪、仮釈放のない終身刑に、結局数人が処されることになった。

HRWはトルコ政府に、拘留者たちがシリアに住む親族との連絡を認めるように要請していた。

「こうした拘留者たちは、捕らわれている場所から、元の占領地にすぐ戻されなければなりません。そして、トルコ当局はシリア国民を占領地から移送し、トルコで拘留し、告訴することを止めるべきです」と、サラ・カイヤリ氏は語った。

トルコのイブラヒム・カリン大統領報道官と、アメリカのジェイク・サリバン国家安全保障問題担当大統領補佐官は、2月2日遅くに電話会談し、アメリカのYPGに対する支援など、争点となっている問題を話し合っていた。

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