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殺害されたレバノン人活動家の家族、「沈黙はしない」

ルクマン・サリム氏はレバノンの著名な活動家で、ヒズボラを頻繁に非難していた。(AFP)
ルクマン・サリム氏はレバノンの著名な活動家で、ヒズボラを頻繁に非難していた。(AFP)
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06 Feb 2021 01:02:23 GMT9
06 Feb 2021 01:02:23 GMT9
  • 木曜日未明、レバノン南部のザウラニ地域で、辛辣なヒズボラ批判を行っていたルクマン・サリム氏がレンタカーの中で射殺されているのが見つかった。
  • ラーシャ・アル・アミール氏は、「ヒズボラは私たちを家からそしてこの地域から追い出そうとしました。彼らに同調しなかったからです。彼らのテロリズムを拒絶したからです」と語った。

ナジヤ・フセリ

ベイルート:殺害されたレバノンの反ヒズボラ活動家の遺族は、専門家による検死によって殺害方法や拷問の有無が明らかになるまで埋葬を拒否している。

ルクマン・サリム氏の遺族は検死を担当する医師からの報告を待っている。

木曜日未明、レバノン南部のザウラニ地域で、辛辣なヒズボラ批判を行っていたサリム氏がレンタカーの中で射殺されているのが見つかった。

南部のニハ村の友人を訪ねたサリム氏が帰宅途中に行方不明となっていたことがその前日から報じられていた。

レバノンのシーア派系住民の非宗教的なオピニオンリーダーであるサリム氏は、ヒズボラとの対決姿勢のために、日常的に脅迫を受けていた。

サリム氏の妹で著作家のラーシャ・アル・アミール氏は、サリム氏の遺体はレバノン南部の病院からベイルートの私立病院に移送されたとアラブ・ニュースに語った。

アル・アミール氏によると、当初の検死担当医の報告書は具体性に欠けており、「手書きで、公式文書としての信頼性が低いもの」だったという。

「ルクマンはヒズボラに殺されたのです。埋葬をいつ行うかは重要なことではありません」と、アル・アミール氏は付け加えた。

遺族は絶対に沈黙するつもりはないとアル・アミール氏は言った。

アル・アミール氏は、「殺害犯が誰かは分かっています。そして、私の兄が殺害された地域を取り仕切っているのが誰なのかも分かっているのです。彼らはルクマンを黙らせたかったのです。もう15年も屈服させようとしてきました。何があっても私たちは沈黙しません」と述べた。

遺族は、ベイルート南郊のゴベイリーにあるサリム氏の自宅の庭に廟を建てることを計画している。

「廟を破壊するためにヒズボラは庭にまで侵入する勇気があるか疑問です」とアル・アミール氏は言う。

アル・アミール氏は、「ヒズボラは私たちを家からそしてこの地域から追い出そうとしました。彼らに同調しなかったからです。彼らのテロリズムを拒絶したからです。ルクマンは平和と生命を尊びました。ヒズボラが私たちを追い出すことは出来ません」と断言する。

兄妹の年老いた母はサリム氏殺害のニュースに打ちひしがれているとアル・アミール氏は明かした。

「ヒズボラは私たちの母の心を踏みにじったのです。母はこの地域に住み、人助けに尽力し、善行を積んできました。それにも関わらず、母が尽くしてきた宗派の人々が彼女の息子を殺害したのです」。

殺害への非難と正義を求める声の高まりの中、今回の事件への保安調査が金曜日も継続して行われた。

元国会議員のファーレス・スアイ氏は、「レバノンはヒズボラに支配されています。そしてヒズボラは今回の殺人について国民に説明しなかればなりません。誰がサリム氏を殺害したのかをヒズボラが明らかにしないのであれば、非難が止むことはないでしょう」と述べている。

ベイルート弁護士協会会長のメルヘム・ハラフ氏は、「国民に対しての透明性が欠如しています。サリム氏と幾多の罪のない犠牲者たちの魂のために正義が今求められているのです」と、レバノンの司法界に勇気を示すよう呼びかけた。

ジョージ・ネーダー退役准将は、サリム氏殺害は、批判的な反ヒズボラ勢力を怖気づかせるためだと述べた。

「殺害したい相手は誰であれ殺害させてしまいましょう。引き下がることも怖がることもせずに」とネーダー退役准将は言う。

人権活動家たちは、今回の殺害への抗議を組織的に行うことを表明している。

ドロシー・シェイ駐レバノン米国大使はサリム氏殺害について「野蛮」という表現を用いた。

シェイ大使は声明の中で、サリム氏は自身の生命の危険を認識した上で正義と法治を勇敢に主張し続けていたと述べた。

「この殺害は、単に個人に対する残忍な襲撃事件というだけでなく、民主主義、表現の自由、市民参加の原理原則に対する卑劣な攻撃です。また、レバノンという国家に対する攻撃でもあります」と大使は公式に非難している。

大使は、また、「直面するいくつもの危機から立ち直る必要に迫られているレバノンにおいて、犯人たちに法の裁きを受けさせるために、今回の殺害と最近の複数の未解決の殺害事件に対する緊急捜査」を要請した。

「政治的理由による暗殺は、レバノンの意図とは正反対のメッセージを世界に発信してしまいます」とシェイ大使は指摘した。

アル・アラビーヤのウェブサイトで木曜日に公開された記事で、ジャーナリストのモナ・アル・アラミ氏は、「ヒズボラの内部構成とクモの巣のように入り組んだネットワーク」を暴いたためにサリム氏は殺害されるに至ったと書いている。

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