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UAEの探査機「ホープ」、1週間うちに火星の初の完全写真を提供

2021年2月10日にモハメド・ビン・ラシド宇宙センターにて、MBRSCのプロジェクト責任者オムラン・シャリフ氏(左)とUAE先進技術担当相兼UAE宇宙庁長官サラ・アル・アミリ氏(右)。(ANJPの写真)
2021年2月10日にモハメド・ビン・ラシド宇宙センターにて、MBRSCのプロジェクト責任者オムラン・シャリフ氏(左)とUAE先進技術担当相兼UAE宇宙庁長官サラ・アル・アミリ氏(右)。(ANJPの写真)
2021年2月10日にモハメド・ビン・ラシド宇宙センターにて、MBRSCのプロジェクト責任者オムラン・シャリフ氏(左)とUAE先進技術担当相兼UAE宇宙庁長官サラ・アル・アミリ氏(右)。(ANJPの写真)
2021年2月10日にモハメド・ビン・ラシド宇宙センターにて、MBRSCのプロジェクト責任者オムラン・シャリフ氏(左)とUAE先進技術担当相兼UAE宇宙庁長官サラ・アル・アミリ氏(右)。(ANJPの写真)
2021年2月10日にモハメド・ビン・ラシド宇宙センターにて、MBRSCのプロジェクト責任者オムラン・シャリフ氏(左)とUAE先進技術担当相兼UAE宇宙庁長官サラ・アル・アミリ氏(右)。(ANJPの写真)
2021年2月10日にモハメド・ビン・ラシド宇宙センターにて、MBRSCのプロジェクト責任者オムラン・シャリフ氏(左)とUAE先進技術担当相兼UAE宇宙庁長官サラ・アル・アミリ氏(右)。(ANJPの写真)
2021年2月10日にモハメド・ビン・ラシド宇宙センターにて、MBRSCのプロジェクト責任者オムラン・シャラフ氏。(ANJPの写真)
2021年2月10日にモハメド・ビン・ラシド宇宙センターにて、MBRSCのプロジェクト責任者オムラン・シャラフ氏。(ANJPの写真)
2021年2月10日にモハメド・ビン・ラシド宇宙センターにて、UAE先進技術担当相兼UAE宇宙庁長官サラ・アル・アミリ氏。(ANJPの写真)
2021年2月10日にモハメド・ビン・ラシド宇宙センターにて、UAE先進技術担当相兼UAE宇宙庁長官サラ・アル・アミリ氏。(ANJPの写真)
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11 Feb 2021 03:02:43 GMT9
11 Feb 2021 03:02:43 GMT9

アラブニュース・ジャパン

アラブ首長国連邦のロボット探査機「ホープ」が火星軌道に入り、火星への到達に成功した機関としては、NASA、ソ連、欧州宇宙機関、インドに次ぐ5番目となった。

ここ数日、世界一高いビルであるドバイのブルジュ・ハリファを始めとして、数多くのアラブ世界の著名な建築物やモニュメントが、赤い惑星といわれる火星を称えて夜間に赤くライトアップされた。

「本日正式に、火星軌道挿入の局面から火星軌道へと移行しました。今後2カ月をかけて我々は、『科学的軌道』に入るための宇宙船と科学的機器の準備を進めていきます」と、ムハンマド・ビン・ラシド宇宙センター(MBRSC)のプロジェクト責任者であるオムラン・シャラフ氏は、水曜日にMBRSCで開かれた記者会見でアラブニュースに語った。

正式名称を「火星軌道挿入」とする今回の局面は、「ホープ」が火星の重力に補足されて軌道に挿入可能になる速度まで落とすために、探査機の燃料800㎏のうちの約半分を27分で消費する重要な局面であった。探査機は、地上の技師たちのサポート無しで、回転してパワフルな制御ロケット「デルタV」6其をすべて発射させ、平均巡行時速を12万1000Kmから約1万8000kmにまで落とした。

「科学界に正確なデータを提供するという科学ミッションを開始するまでの現段階で、我々は、データの正確性を確認するために科学機器を調整する必要があります。1週間うちに最初の画像が入手できると思いますが。それは科学ミッションのための準備とは別になります」とシャラフ氏は述べた。

もし画像が入手できれば、探査機「ホープ」は、火星の大気圏と大気層の完全な写真を提供する初の探査機となる。

試行1回目での軌道挿入は、アラブ世界発の惑星間ミッションである5億Km近い7カ月の旅の終わり、そして科学的調査における飛躍的進歩の始まりを意味し、ホープが厳しい火星ミッションの統計の中で明るい側面への仲間入りをしたことになる。これまで火星に送られた探査機の約半数が失敗に終わっているのだ。

シャラフ氏は、UAEがこの複雑な作戦をやってのけた理由として、他国が直面してきた宇宙飛行の困難や課題を考えれば、ゼロからの出発ではなく、他国が得た結論からの出発であったからだと説明した。

ホープの技術者たちは2年という期間の中で、他のミッションのデータや、様々なシナリオで実施した10万回以上の試験から得られた仮設データを基に、探査機が無事火星に到達できるように作戦を繰り返し試行したのだという。

シャリフ氏は、宇宙開発諸国の間の平和的協力を目的とした国際協定「アルテミス合意」への義務をUAEが果たしていることに改めて触れながら、「このプロジェクトの初日から我々が政府から受けた命令は、他国から学べというものでした。どの国も宇宙探査を競争のように捉えがちですが、UAEはこれを国際協力による宇宙ミッションとして捉えています。 我々はすべてをゼロから単独で開発するのではなく、蓄積された調査結果を基にプロジェクトを構築しました。そのため、このプロジェクトには複数の大陸からの450名の人々に取り組んでもらっています。そのうち200名がUAEの人員です。つまりチームは、「火星ミッション」という使命の下で一丸となって協力したのです」とシャラフ氏は述べた。

今回のUAE火星ミッションは、かつては生物の生息が可能であった火星がなぜ今日見られる不毛な惑星へと変化したかという理由について探るという、惑星科学者たちが何十年も追及してきた、より大きな調査の一環である。

ホープの軌道はほぼ赤道と並行であるため、これまでのどの火星ミッションよりも高い高度を周回することになり、軌道上のどの位置にあるかに関わらず、科学者は惑星の半分の眺望が得られることになる。これまでの他の火星衛星は、そのほとんどが極付近を周回するため、火星全体の気象パターンの観測に制限があった。また、軌道が楕円であることから、砂嵐の性質や表面付近の他の気象条件によって火星大気が宇宙空間へ漏出する速度にどのような影響が表れるかについて、科学者はより詳細に知ることができる。

「目的は、火星の大気を調査し、この赤い惑星上で何が起きているかを理解することです。我々人類の目の前には死んだ惑星があり、惑星がこのような状態なるには、大気の歴史の中でこの惑星に何かが起きたわけです。我々の太陽系とその中で起きる変化、そして我々の星である地球周辺で起きる変化を理解するために、火星で何が起きたのか、何がこの惑星を変貌させているのかを我々は発見したいと考えています」とシャラフ氏は述べた。

ホープは科学ミッションではあるが、収集するデータそのものは二の次であり、一番の目的は、UAEが知識経済国家への変貌するのを加速すべく、若い人々に科学の実践をインスパイアすることである。

UAE宇宙庁長官を務めるサラ・アル・アミリ先進技術担当相は、このミッションは「若い世代が追う夢や、目指す職業の上限を引き上げたといえます。昨日を境に、UAEのどの家庭でも宇宙開発への認識が一変したことと思います。自分たちの子供らが、惑星科学者になる夢や宇宙開発の夢を目指すのであれば、誰もそれを不可能だと言うことはできないでしょう」と述べた。

「UAE火星ミッションの最も重要な目的は、UAEの宇宙経済への参入を後押しするために、若い世代の科学者や技術者たちが宇宙システム開発へと進むようインスパイアすることです」

「宇宙探査ほどユニークな挑戦だといえる活動は他にありません。UAE火星ミッションのようなプロジェクトの成果は、現在だけではなく、今後の年月で様々な部門の発展の中にこそ目に見える形で現れるものではありますが、しかしそれは、学齢期の子供たちの心の奥深くに染み込み、物の捉え方に変化を起こし、彼らを新たな機会の世界へと導くことになるでしょう」

「今回のミッションは、宇宙開発への投資がUAEの将来世代に良い刺激を与えると確信する強い根拠となります」

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