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ヨルダンからワクチン接種を受け、涙・安堵感・感謝を見せるシリア難民

コロナワクチンの接種を受ける、ザータリ難民キャンプに暮らす64歳のシリア難民、ザイデ。(レイド・オマリ)
コロナワクチンの接種を受ける、ザータリ難民キャンプに暮らす64歳のシリア難民、ザイデ。(レイド・オマリ)
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18 Feb 2021 01:02:41 GMT9
18 Feb 2021 01:02:41 GMT9
  • 数十人のシリア人高齢者がヨルダンのザータリ難民キャンプでワクチン接種を受けた
  • ヨルダンは全国のコロナワクチン接種計画の対象者に難民も含めた最初の国となる

レイド・オマリ

ヨルダン、ザータリ難民キャンプ:ヨルダンの難民キャンプで暮らす73歳のシリア人女性、ウム・アリにとって、コロナワクチンの接種は感極まる瞬間だった。

「すでに困難な状況がコロナでさらにひどくなっていたので、とても安心しています」と5人の子の母親であるアリは目に涙を浮かべて語った。「私のような高齢女性にとって、ワクチン接種は本当にありがたいことです。ヨルダンに感謝しています」

ウム・アリは15日(月)に、ヨルダンのシリア国境に位置する広大なザータリ難民キャンプでワクチン接種を受けた。ウムは、住む場所を追われた80,000人のシリア人が暮らすこのキャンプで今週始まったワクチン接種計画の対象者の一人であった。

世界の裕福な各国が自国民へのワクチン接種を急ぐ中、ヨルダンは過去10年間にわたり中東を揺るがしてきた混乱により住む場所を追われた最も脆弱な人々の一部から接種を開始した。

コロナワクチンの接種を受ける、ザータリ難民キャンプに暮らす64歳のシリア難民、ザイデ。(レイド・オマリ)

「ヨルダンは全国的なコロナワクチン接種計画の対象者に難民を含めた最初の国です」と、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の報道官モハメッド・ハワリはアラブニュースに語った。「ザータリのワクチン接種センターはまた、国連が管理する難民キャンプに設置された世界初のセンターでもあります」

ヨルダンは1月13日に居住者に向けてワクチン接種を開始し、それから3日も経たないうちに、ヨルダン第2の都市イルビドに住むイラク人のライア・アル=カバシはヨルダンで接種を受ける初の難民となった。

歴史を通じて莫大な数の難民の居住地となってきたこの国において、重大な意義のある瞬間であった。

「ただただ生活が普通に戻ってほしいです」とアル=カバシは言う。「ワクチンはそのために必要なものだと思います」

コロナワクチンの接種を受ける、ザータリ難民キャンプに暮らす72歳のシリア難民、イブラヒム。(レイド・オマリ)

15日(月)には52人、また16日(火)には44人のシリア難民がワクチン接種を受けたとハワリは語る。接種計画は順調に進んでいるという。

世界最大級のこの難民キャンプでは新型コロナウイルス感染症の世界的大流行が始まって以来、約2,000人の感染者を記録している。

2,000人のシリア難民がワクチン接種を受けるために政府に申請を行ったとハワリは続けた。うち1,200人が、国が優先接種対象者に認定する高齢者、医療従事者、慢性疾患患者に該当した。

ワクチン接種はヨルダンの保健当局および国家安全保障危機管理センターにより行われ、国連が後方支援や運営上の支援を担った。

難民キャンプでシリア人男性2人と話すUNHCR職員。(レイド・オマリ)

今回の寒い冬も難民キャンプで過ごした難民らは、ワクチン接種を受けることができることによる安堵感や感謝の気持ちを語った。

69歳のイブラヒム・エルハマドはシリアで紛争が始まった2012年にヨルダンにたどり着いた。

「先進国の人々がまだ受けられないワクチン接種を難民キャンプで受けることができるなんて、とても恵まれていると思います」とエルハマドはアラブニュースに語った。

難民や亡命希望者を含め、ヨルダン国内で暮らすすべての人が無料でワクチン接種を受ける権利があるとヨルダンの当局者らは述べた。ヨルダンは1千万人の人口の20%に対して今年中に接種を行う予定だ。

コロナワクチン接種の前に体温測定を行う、ザータリ難民キャンプで暮らす65歳のシリア難民、ヤヒヤ。(レイド・オマリ)

アンマン、ザルカ、イルビド、ラムタといった都市圏のシリア難民もコロナワクチン接種を受けることになるとハワリは述べた。

「ワクチンはヨルダンに住むすべての難民およびあらゆる国籍の亡命希望者に投与されます」

UNHCRによると、ヨルダンの人口の約10パーセントが難民だ。

そこにはシリア人655,000人、イラク人67,000人、イエメン人15,000人、スーダン人6,000人、他52カ国からの難民2,500人が含まれる。その80パーセント以上が難民キャンプの外の市や町で暮らしている。

コロナワクチンの接種を受ける、ザータリ難民キャンプに暮らす65歳のシリア難民、オマル。(レイド・オマリ)

「難民へのワクチン接種を通じて、ヨルダンは、難民の命と尊厳がかかっている場合は特に、政策や意思決定の中心に人道主義を据えていることをあらためて示しました」とハワリは述べた。

国連難民高等弁務官フィリッポ・グランディは先月、ヨルダンは「全員の身を守るために」コロナウイルスにどう立ち向かうべきかのお手本を見せたと語った。

新型コロナウイルス感染症の大流行が始まって以来、ヨルダンは国家的対応策の中に常に難民を含めてきた。

ザータリ難民キャンプで難民がコロナワクチン接種を受ける準備を手伝う医師・看護師ら。(レイド・オマリ)

UNHCRの駐ヨルダン代表ドミニク・バルチュは最近、「いま新型コロナウイルス感染症の感染拡大を減らすには、私たちの社会や世界中の最も脆弱な人々が出自に関わらずワクチン接種を受けることができるようになる必要があります」と語った。

UNHCRヨルダンは今年、コロナ禍により課題が増えた難民支援のために3.7億ドルの予算を要請している。

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