
ナジア・フッサリ
ベイルート:レバノンのサード・ハリリ暫定首相が11月11日に「突発的な事態が起こらない限り、レバノンの新政府樹立問題に対する解決策の道筋」を発表する予定となっている。
この情報は、ハリリ首相率いる「未来運動」の政治局職員ムスタファ・アロウシュ氏が明かしたものだ。アウン大統領の出身母体「自由愛国運動(FPR)」のイブラヒム・カナーン議員が、自由愛国運動としては「テクノクラート(技術官僚)による政府」が樹立されるのを確信していると示唆した後、アロウシュ氏がコメントを出した。
ナビーフ・ビッリー国民議会議長が党首を務めるシーア派政党「アマル」のアリ・バジ氏はこう強調した。「政治的停滞を打破するため、今後は数時間単位が肝心要となる。アマルとしては障害を除去するため協力するし、我が国を良い方向に導く新政府の樹立を円滑に進めるため進んで尽力する」
こうした動きが出たのは、レバノンの抗議デモ活動が25日目に突入した日のことだ。抗議デモにより、ハリリ政権の退陣はすでに確定している。
市民運動活動家たちは、来週日曜日11月17日の座り込みに参加するようSNSでの呼びかけを強めている。闇マーケットで1ドルが2,000レバノン・ポンドに達すると(注:1ドル=1507.5ポンドの固定相場制)、実質賃金が25%下落し、購買力平価が35~40%低下して不満が高まっている。政治評論家のワリド・ファフレディン氏はArab Newsの取材に対し、複数の政党が為替レート悪化の原因をデモ隊に押し付けようと画策していたという。「これは攻撃手法として新しいものではありません。反政府デモが活発な場所では世界的に使われる手法ですが、効果はありません」と付け加えた。
「毎晩広場では活動家の間で議論と対話が行われています。複数の人物が、俳優のジアド・イタニ氏と私が関わっていた議論の1つを妨害しました」と彼は続けた。
「誰かがジアド・イタニ氏の発言を遮ろうとしました。そのうちの1人が私に襲い掛かり、頭部を殴りつけてきました。その後、同じ人物がジアドの握っていたマイクを壊そうとしました。しまいには、我々に殴りかかってきたのです。治安部隊が介入し、襲ってきた集団を排除してくれました。電話がかかってきて、襲撃犯たちは解放されました」
「この種の妨害行為は珍しいことではありません。ベイルート、ナバティーエ、ティールでは抗議デモに対する妨害、抑圧、襲撃が頻発していますから」
「この腐敗した政府の関係者は、皆こうした妨害活動に関わっています。なぜなら国民のことが煩わしいからです。だから抗議活動を妨害しようと躍起になっているのです。レバノン国民が抗議活動を継続するため、新たな手を次々と打っているのが分からないのです。もう反政府デモを止めることなど不可能なのです」
ファフレディン氏は、銀行員が通りに出て抗議デモに参加したことを明かした。銀行員たちが自力で超ドル高に対処せざるを得なくなったのは、政府の怠慢だと非難した。
ファフレディン氏は国会議員たちがかつて恩赦日の間に作成し、11月19日に成立する見込みの法案について触れて、こう述べた。「行政や金融に関わる汚職事件は全て裁判の対象外になるよう意図した、仕掛け地雷的な法案です」
イタニ氏は自分が受けた襲撃の黒幕が、イスラエルと密通しているとの容疑で自分を起訴した人たちだと述べた。この件は無罪という判決が出たが。
「広場で身元不明の人物がやってきて、お前がトリポリに行っただけで不愉快だと言いました。どうも私の言葉がしゃくに障ったようですね。国家に対する反乱の扇動と宗派主義は違法だが、今回は貧しい人々が起こした反政府抗議活動だと私は言ったのです。脅迫を受けていたのですが、ベイルートで現実となりました」とArab Newsに語った。
「政府の息のかかった人たちは私を黙らせたいと思っています。それでも私は不当行為を行った人物を告訴します」
人権NGO「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」は最近出した報告書で、レバノン当局に対し平和的なデモの参加者を保護し、平和的な集会を武力で解散させる動きを抑えるため、あらゆる対策を講じるよう求めた。