
ルアア・アル=アメリ
ドバイ:すし詰め状態の移民収容施設における抗議活動に対してとったイエメンのフーシ派による抑制の失敗が、火災に巻き込まれた数十人のアフリカ移民の死亡へとつながった様の詳細が明らかになってきた。
フーシ派が支配する首都サナアにおける火災によって、このイランを後ろ盾とする民兵組織の「非人道的な」難民の扱い方にスポットライトが当てられたことで、イエメンのみならず全世界で人々の怒りが増している。
ツイッターでは火災についてダンマリを決め込むフーシ派に対する批判と共に焼け焦げた死体の生々しい動画や写真が出回っている。
組織は死者・負傷者数に関する公式発表をいまだに行っていない。
Govt of #Yemen has categorically condemned the heinous crime committed by the #Houthi militias against #African migrants detained in prisons of Houthis in #Sanaa. 1/6@StateDeptSpox@UN_Spokesperson@UNHumanRights@HRWhttps://t.co/hVN6Ac9vpZ pic.twitter.com/C7yPvwv9Ha
— Yemen Embassy D.C. (@YemenEmbassy_DC) March 10, 2021
エリトリアからの移民コミュニティーのリーダーのひとりがAPに対して語ったところによると、少なくとも44名の移民が犠牲になったといい、死者はさらに増える可能性がある。
現地の報道によれば、900人を収容していた建物における火災の犠牲者は数百人にのぼることも考えられるという。火災は施設内で350人を収容していた格納庫で発生した。
国連の国際移住機関(IMO)は負傷者数が少なくとも170名、死者数は不明としている。
イエメンの人権保護機関ムワタナを含む現地の報道の多くは火災がフーシ派によって引き起こされたとしている。
フーシ派報道官への接触を試みたが連絡は取れていない。
ムワタナによれば、カーラン通りに面した施設に収容される移民たちが不当な扱いと劣悪な環境に対して抗議活動を始めて数日後、火災は発生した。
#BREAKING #Sanaa– The Ansar Allah (#Houthi) group caused the death & injury of scores of African migrants by starting a deadly fire in an overcrowded detention facility in Sanaa on March 7, Mwatana said.
— Mwatana for Human Rights (@MwatanaEn) March 9, 2021
Read the full statement: https://t.co/rNihjyELFj #Yemen #AccountabilityNow pic.twitter.com/jJY8IAUE55
施設に収容されていた移民のひとりによると、フーシ派は施設を出ることと引き換えに金銭を支払うことを移民に対して強要していたという。
目撃者によれば、日曜日午後の時点でフーシ派の警備担当は抗議を中断させようと試みており、移民がそれを拒否すると、彼らは格納庫に向けて「発射体」を投射し、そこから出火したという。
収容者のひとりはムワタナに対して「私たちは逃げようとしましたが、施設内の扉には鍵がかかっており、人が密集する中に閉じ込められてしまいました。爆発音が聞こえ、また友人が叫ぶ声が聞こえましたが、誰も助けることができませんでした」と語った。
ムワタナは「この悲惨な事故は、国際社会による調査と信頼のおける説明責任がイエメンには必要であることを物語っている」と訴える。
「各国政府は即座に具体策を実行し、移民・難民に対する暴力や不当な扱いを含むイエメンにおける全ての犯罪に対する説明責任と賠償を保証しなければならない」
This is a war crime that amounts to genocide. The Houthis perpetrators must be held accountable. #Yemen @UN_HRC #ICC #RomeStatus #UNSC @UKUN_NewYork https://t.co/Qx7TD5leNR
— Rasha Jarhum رشا جرهوم (@RashaJarhum) March 11, 2021
イエメンの人々はソーシャルメディアにおいて怒りをぶちまけている。多くのアカウントは「HouthisBurnBlackRefuges」というハッシュタグを「BlackLivesMatter」と共に用いて、死者に対する正義を訴える投稿をしている。
アラブニュースに対する公式の声明においてIOMは、サナアの収容施設における非人道的な環境を批判する見解を発表している。
「イエメンにおける移民収容施設のあり方についてIOMは正式に強く反対する立場を何年にもわたって取り続けており、特に非人道的な環境に置かれている移民たちを収容施設から解放することを訴え続けていく」という。
声明では「現地支配層が移民を収容することを選択するのであれば、その環境は人の尊厳を尊重するものでなければならない。サナアの移民収容施設の環境は、死者をともなう今回の火災の残酷さが物語るとおり、その基準を過去にも現在においても満たしていない」とも述べている。
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2014年にフーシ派によってサナアを追われたイエメン政府は国際社会による火災の調査を要求している。
イエメン情報相ムアンマー・アル=アリアニは、民兵組織が収容された移民から兵を募って内戦の兵力に充てている、と訴えている。
彼は「テロ集団フーシ派民兵組織が占拠した首都サナアで運営する移民収容施設における数百人の死者・負傷者を出した残虐な犯罪行為を我々は強く非難する」と語った。
情報相によれば、フーシ派は犠牲者を集団墓地に埋めることで虐殺を隠蔽しようとしたという。
イエメンは長年アフリカの角と呼ばれる地域を逃れる数百万人にものぼる難民の目的地となってきた。
多くの人々は数十年にわたってイエメンに定住しており、イエメン社会に順応しその一部となっている。
IOMによれば、2020年になってCOVID-19大流行に伴う移動の制限や国境の封鎖により、イエメンに到着する移民の数は大幅に減少した。昨年は総勢37,535人の移民がイエメンに入国したが、それと比べて2019年には推定138,000人、その前年も約同数が入国したとされる。
国連難民高等弁務官事務所のイエメン代表ジャン=ニコラ・ブーズがアラブニュースに語ったところによると、収容施設における火災についてはIOMが対応の指揮をとっているが、その他多くのNGOが協力して被害者の援助を実施しているという。
ブーズ氏によると、国連難民高等弁務官事務所はサナアのアフリカ人コミュニティーに対して医療援助だけでなく、心のケアも施している。
火災に関して彼は「サナアだけでなくイエメン全域のアフリカ人コミュニティーに多大な影響を与えた」と語る。