
フランク・ケイン
ドバイ:サウジアラビアとロシアを中心とした産油国連合のOPECプラスは、今後3か月間の段階的な供給量の増加に合意した。これは、コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによる影響を受けている世界市場に対する慎重な姿勢を明確に示すものだ。
サウジアラビアのエネルギー相で、OPECプラスの共同議長を務めるアブドル・アジズ・ビン・サルマン王子は閣僚らに、「世界の状況は安定とは程遠く、完全な回復からも程遠いという現実が続いている」と述べた。
OPECプラスの閣僚級会合は、5月から7月にかけて35万バレルずつ生産量を引き上げることを決定した。
過去3か月間、脆弱な世界市場を安定させるために日量100万バレルの自主的な減産を行ってきたサウジアラビアは、来月から25万バレルずつ減産の縮小を開始する。
アブドル・アジズ王子は、サウジアラビアの増産分のほとんどは国内における季節需要の増加を満たすために使われると述べた。
ウィーンで開催された石油輸出国機構(OPEC)の閣僚とOPEC非加盟産油国の閣僚によるオンライン会合を受けた今回の合意は、依然として不安定な状況の中、市場に原油が溢れるリスクを回避した。
今回の合意はまた、ロシアやカザフスタンなど、大幅な増産を主張していた一部の産油国にとって安心感を与えるものとなった。
アブドル・アジズ王子は、「2月にも申し上げたが、世界のさまざまな地域で異なるシナリオが展開されている現在の状況下で船を操るには、舵をしっかりと握る必要がある。また、市場のニーズに対する柔軟性と即応性が必要だ」と付け加えた。
OPECプラスの共同議長を務めるロシアのアレクサンドル・ノヴァク副首相は、市場を過熱させないことが重要で、現在の市場は供給不足だと主張した。
閣僚らは、生産量の上限に対する順守率が113%に達していると報告し、OPECプラス加盟国は減産を厳格に遵守していると指摘した。
段階的な増産のニュースを受けた世界の原油市場は、ブレント原油がわずかに伸びて1バレル64ドル近くとなった。
また、OPECプラスの会合は、サウジアラビアが国内や中東で最近行っている「グリーン」イニシアチブを称賛し、気候変動に対する世界的な取り組みの重要な一部だと評価した。
アブドル・アジズ王子はOPECプラスに対し、「地球上のすべての人々、そして将来世代の人々の生命や暮らしに影響を与える気候変動のような重要なテーマについては、昨年の原油市場への対応で示したのと同じ団結の精神を発揮しなければならない」と話した。