

アラブニュース
ジッダ:シリアの政権は、バッシャール・アサド氏の大統領再選に向けて、5月26日に形だけの選挙を実施する予定だ。反体制派および米国は、この選挙の流れを「茶番劇」と評している。
選挙の候補者指名は11日後に締め切られる。候補者は過去10年間シリアに住んでいなければならないため、亡命中の反体制派の有力人物は立候補できない。
この選挙は、トルコが支援する主流の反体制派勢力によって却下された。同勢力は、アサド政権の爆撃から避難してきた数百万人の民間人が住むシリア北西部の地域一帯を支配している。
「私たちはアサド政権の議会には正当性がないと考えています。これは芝居じみた茶番劇であり、この犯罪政権をまた新たに作り直すための必死の努力にすぎません」と反体制派の有力人物であるムスタファ・セジャリ氏は述べた。
米国のリンダ・トーマス・グリーンフィールド国連大使は、「この選挙は自由でも公正でもありません。選挙はアサド政権を正当化するものではありません」と述べた。
英国、フランス、ドイツ、イタリア、米国の外相は、この選挙はアサド政権の再強化にしかならないと述べ、選挙のボイコットを呼びかけた。
アサド氏の家族とバース党は治安部隊と軍の支援を受け、50年にわたってシリアを支配してきた。同氏は、前年の軍事クーデター後の1971年に大統領に就任した父親のハフェズ・アサド氏の死後、2000年に権力の座に就いた。
今年は、シリア内戦の引き金となった、民主化を求めるデモ隊への暴力的な弾圧から10周年にあたる。内戦によりシリアの大部分は荒廃し、世界の大国を巻き込んで何十万人もの人々が殺害され、何百万人もの人々が住むところを追われた。
反体制派と西側の指導者たちは、人道に対する罪でアサド大統領を非難しており、退陣を要求している。
55歳のアサド氏は、前回の2014年の選挙では、88%の得票率で勝利した。それ以来、政府軍はロシア、イラン、そしてイラン政府の代理人であるレバノンの民兵組織ヒズボラの軍事支援を受け、反政府軍から領土を奪い返してきた。
しかし、シリアの大部分はいまだに政府の支配を逃れており、これらの地域では投票は行われない。その中には、反体制派の拠点である北西部イドリブ県が含まれる。同県は、シリアの旧アルカイダ系組織のメンバーが率いるタハリール・アル・シャームが支配している。
イドリブ地域には、他の反体制派グループも存在している近隣地区を含め、290万人が居住している。そのうちの3分の2にあたる人々が、戦争で破壊された他の地域から避難している。
また、トルコ軍と代理民兵によって支配されている国境地域に住むシリア人や、クルド人が多く住む北部の政権軍がいない地域に住む人々も投票できない。