
サイード・アルバタティ
ムカッラー:イエメンの保健相は、フーシ派が支配する地域に住む医療従事者に対し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種を受けるために、解放された地方に向かうよう促した。イランの支援を受けるフーシ派が、人口密集地域でワクチン接種計画を実行することを拒否したことを受けたものだ。
Qasem Buaibeh博士は、自身の公式Facebookページに「フーシ派が支配する地域でコロナウイルスワクチンの機会を奪われた医療従事者は、合法政府の支配下にある地方でワクチン接種を受けられる」と投稿した。
先週、オックスフォード/アストラゼネカのワクチンを36万回分受け取った直後、戦争で荒廃したイエメンは、数千人の医療従事者や高齢者、深刻な健康問題を抱える人々に接種を行うことを目指し、南部の州でワクチン接種運動を開始した。政府関係者や医療従事者、ジャーナリストは、一般市民に安全性を確信させるために、最初に接種を受けた。
しかしイエメンの衛生当局者らが26日にアラブニュースに語ったところによると、フーシ派は最初、1万回の接種に同意したが、後になって求めてきたのは、医療従事者250人が受ける500回だけだったという。首都サヌアだけでも多数の死者が出ていると報告されているにも関わらずだ。
アデンに拠点を置く国家コロナウイルス委員会の広報担当者であるIshraq Al-Subaee博士は、「(フーシ派は)新型コロナウイルス(の感染者の)の実数を公表したことがなく、自分たちの地域にはウイルスは存在しないと言っている」と話した。
このことを受けて、イエメンの衛生当局者らは医師らに対し、アデンやハドラマウト、タイズなど、政府が支配する地域に行くよう促した。
「彼らは、ここ南部のどの医療施設に来れば、ワクチン接種を受けられる」とAl-Subaee氏は述べた。
国家コロナウイルス委員会が26日に行った報告によると、新たに46人の感染が確認され、18人が死亡し、政府が支配する地域の累計感染者数は6183人となった。
25日には、同委員会はタイズ、ハドラマウト、シャブワ、アデン、ダーリウで32人の新規感染と12人の死亡を記録した。イエメンでは、昨年4月に南東部ハドラマウト県で新型コロナウイルスの最初の感染者が記録された。
実数は公表されている数の3倍以上だと、保健専門家らはみている。検査リソースが不足しており、フーシ派が、自分たちの支配下にある地域での正確な数を公表することを拒否しているからだ。
フーシ派は、サヌアやイエメン北部の他の場所でのウイルス感染に関するメディア報道を拒否しているにもかかわらず、複数の指導者が原因不明の死を遂げたことを最近、発表した。
26日、Al-Masdr Onlineや他の地元メディアは、フーシ派の軍事指導者であるYahiya Al-Shami将官が新型コロナウイルスによる合併症で死亡したと報じた。
Al-Shami氏は、国際的に認められたアブドラボ・マンスール・ハディ大統領に対してフーシ派が2014年後半に起こしたクーデターと、その後のイエメン全土での軍備拡大の「首謀者」とされていた。
2017年、アラブ連合軍はAl-Shami氏を、息子のZakaria氏を含む44人のフーシ派指導者とともに指名手配リストのトップに置き、Al-Shami氏の所在と逮捕につながる情報に2000万ドルの報奨金を出すことを発表した。
ソーシャルメディア上では、フーシ派関連のアカウントが最近、他の複数の軍事指導者や政治家がこの病気で死亡したことを発表した。
一方、海外に拠点を置くイエメン人医師のグループは、医療従事者を守るために新型コロナウイルスワクチンをイエメン全土に早急かつ迅速に配布するよう求めている。
海外在住のイエメン人医師らによると、パンデミックが始まってから、ベテラン医師を含む医療従事者153人が新型コロナウイルスで死亡したという。
「我々は、国際社会や地域、国連機関、地方自治体に対し、イエメンの全地域の全ての医療従事者にワクチンを届けるために行動を起こすよう、緊急に呼び掛けている」とこのグループは発表し、「医療従事者の死亡(数)の増加は、イエメンの崩壊しかけている医療制度の崩壊につながるだろう」と警告した。
ハドラマウト大学医学部の疫学の教授で、イエメンの保健相のアドバイザーであるAbdulla bin Ghouth氏は、アラブニュースに対し、イエメンでは新型コロナウイルスの第2波が起きていると述べた。第2波は今年の2月の第1週に始まり、今月に入ってピークに達し、720人が感染し、100人の死亡が確認されている。
「死者数が多いことを考えると、状況は依然として深刻だ」とbin Ghouth氏は話した。