
モハメッド・アブ・ザイド
カイロ:エジプトのイスマイリア経済裁判所が、スエズ運河の通行を塞いでいたコンテナ船は、この運河内で留め置かれたままとなることを認めるとの判決を3月に下していたが、この拘留を不服とした船舶を所有する日本企業の上告も棄却した。
世界屈指の大型コンテナ船、エバーギブン号が3月23日にこの運河で座礁し、6日間動きが取れなくなったことにより、この運河両方向からの通行を遮断した。
スエズ運河庁(SCA)がこの事故の賠償として、同船舶所有の日本企業、正栄汽船に対して、9億1,600万ドルを請求して、論争が起きている中で、この座礁船は3月29日に離礁して以来、同運河の中間にある湖に今も留め置かれている。
SCAはこの船舶の座礁した原因を調査しているが、その調査結果をまだ発表していない、とAP通信は報じた。
SCAが調査報告書を提出した後、この船舶の拘留を認めたイスマイリア経済裁判所は5月4日、判決を支持し、先月後半に申し立てられた上告を棄却した。
判決の根拠はすぐに明らかにされていなかったが、SCAは原告側が有効期限内に、この船舶の拘留に対する異議を、関係当事者各位に通知していなかったと主張した。
同裁判所は、このパナマ籍船を所有する日本企業の代理人、ハゼム・バラカット氏による原告側の主張を聴取した。原告側は、差し押さえ状の写しを提出するように要求していた。同原告側弁護士はこの船舶の船長が、差し押さえの決定を通知されていないと述べた。
バラカット氏はSCAが提出した全ての文書を再検討し、対応するために、24時間の猶予を要求し、この船舶の差し押さえは法的に無効だと主張した。
SCA側の弁護士が、特定の期日の間に上告が申し立てられるべきだったところ、原告側はこれに従わなかったと述べた。
たとえ正栄汽船のこのコンテナ船運航会社の者が毎日船上にいるとしても、正栄汽船はぐずぐず先延ばししたり、時間的猶予を要求したりする代わりに、自らの要求を関係当事者各位に伝えるべきだった、とSCA側の弁護士は付け加えた。
SCAは穏便に解決する方法を話し合っている。とりわけ、この船舶が損傷を受けておらず、コンテナを積んでおり、いつでも出発することができる状態なのだから、とSCAのオサマ・ラビー会長は述べた。
この事故に対する最初の賠償額は、推定10億だったが、この調査の結果次第では、総額が変わる可能性がある、と同会長は述べた。
また、同会長は事故の状況を明らかにするために、この船舶のブラックボックスも調査中だと付け加えた。
AP通信によると、この船舶の船主責任相互保険業者、UKクラブが、船舶所有企業はこの裁定を考慮して自らの選択肢を再検討しており、上告は5月20日までにしなければならないと述べたという。
UKクラブとエバーギブンの船舶管理会社、ベルンハルト・シュルテ・シップマネジメントは、この船舶拘留に対して失望を表明した。
「このカーゴ船に関して適用された拘留逮捕の法的有効性や、SCAの極めて高額な要求額を裏付ける証拠の欠如など、いくつかの根拠に基づいて」、先月上告が申し立てられたのだ、とUKクラブは述べていた。