
ハジム・バロウシャ
ガザ市:ガザ地区のパレスチナ保健当局は、イスラエルとの戦闘で子供9人を含む20人が死亡したことを発表した。
イスラエル軍の発表によれば、空爆は月曜日に行われ、ハマスの上級司令官1名が殺害されたという。この空爆は、エルサレムのアル・アクサモスクの構内での衝突に端を発する暴力の渦中でハマスによって発射された数十発のロケット弾への報復だった。
イスラエル軍側は、攻撃対象としたのは「ハマスの軍事行動担当者」であったと発表し、実際に、ハマスの司令官が1人死亡したとガザのハマス関係筋は明らかにした。
イスラエル側との境界のガザ地区での緊張は、最近発生したアル・アクサモスクやエルサレム内のシェイク・ジャラー地区での暴力的な衝突以来継続している。
ガザのハマスの軍事部門であるカッサム旅団の報道担当者は、「エルサレムを占拠している敵を標的として、その犯罪と聖市への侵害、そして、シェイク・ジャラーとアル・アクサモスクにおける住民への弾圧に対する報復としてロケット弾の一斉発射を行った」と述べた。
ガザ地区との境界のイスラエル側の車両を狙って対戦車ミサイルを発射したと、同報道担当者は言った。
ガザ地区でのカッサム旅団によるこの攻撃は、午後6時までに、アル・アクサモスクとシェイク・ジャラーの住民を避難させ、被拘束者を解放するようイスラエル側に警告を発し他の地に行われた。
日曜夜と月曜朝にガザからイスラエルの都市を狙って発射されたロケット弾は、イスラエル側のアイアンドーム防空システムによって迎撃され死傷者は発生していない。複数の発火装置付き風船もイスラエルに向けて飛ばされた。
イスラエル軍は、この攻撃に対して、ガザ地区内のパレスチナ系組織の拠点への爆撃で応じた。
エルサレムにおいて自宅からの立ち退きを迫られている複数のパレスチナ人家族への支援のための境界での夜間の抗議行動も再開された。これは、2年前から続いている「帰還の行進」と呼ばれる抗議活動の一環として行われている。
この一連の展開に先立ち、カッサム旅団のモハメッド・デイフ司令官は、抵抗運動とは「傍観していることではない」と述べ、イスラエルはパレスチナ人への敵対的行動を中止しない限り「大きな代償を払う」ことになると警告を発していた。
デイフ司令官は、カッサム旅団の指導部は、「占領下のエルサレムで毅然として暮らす同胞たち」に敬意を表しつつ、「(シェイク・ジャラー地区の) 状況の推移を注視している」と語った。
デイフ司令官はイスラエルの指名手配リストに20年間以上載り続けており、イスラエルに対して行われた数々の敵対的軍事行動の計画と実行に加担してきたと非難されている。暗殺を目的とした数々の襲撃を、デイフ司令官は、生き延びてきた。最近では2014年のガザ侵攻の際にデイフ司令官の暗殺が企てられた。
エルサレムでは、郊外のパレスチナ人の住居をユダヤ人入植者に譲渡するという立ち退き計画に関連して、イスラエルの警察とパレスチナ人のデモ隊が暴力的な衝突を繰り返している。
旧市街を含む東エルサレムでは、不動産の購入や新しいビルの建設、裁判所命令を伴う立ち退きといった手段でユダヤ人の立場を強めようとする入植者たちからの圧力をパレスチナ住民たちは以前にも増して強く感じている。
また、イスラエルは、発火装置付き風船による攻撃はハマスによるものだとして、パレスチナの持つ漁業権を停止した。
ハマスによるロケット弾の一斉発射への報復として行われたイスラエルの空爆で燃え上がる炎。(AFP)
日曜日に、イスラエル政府のパレスチナ自治区における行動の調整担当者は、「ガザ地区の漁場を閉鎖することが決定された。この決定は直ちに有効となり、追って通知があるまで継続する」との通告を行った。
月曜日には、イスラエルはエレツ検問所の完全封鎖も発表した。イスラエル軍ラジオ局は、「ガザ地区のハマスは事態の激化に全力を尽くしている。それに対して我々は、あらゆる事態に対して準備が出来ている。ハマスに対しては我々に挑戦しないよう警告する」と述べた。
最近の閣議で、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、「イスラエルはガザ地区からのいかなるロケット弾発射に対しても激烈な報復を必ず行うことになるとテロ組織に伝えている」と話した。
コラムニストのムスタファ・イブラヒム氏は、アラブニュースに、現在の緊張の高まりはハマス側とイスラエル側双方の意図したものだと語った。
イブラヒム氏は、「現時点のガザの状況は、軍事的な対決に向けた展開の促進には適していないことをハマスは十分認識しています。そのため、ガザから発射されたロケット弾は射程距離が短いものだったのです…そして、イスラエルからの今回の反撃もイスラエル側は対立の激化を望んではいないことを示しています」と述べている。